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第四十三話 悪意とゼンイ


 「さぁ……その顔、見せてもらったぜ、レイビ…いや…」


 「…!!!」


 「『アビ!!!』」


 アビは不気味に微笑んだ


 「すごいねぇ…どうやって剥いだの?」


 「『企業秘密だ!!』」


 爆発によるダメージは再生した。


 ここでアビを、レイビを倒すよりも、謎を一つ無くす方が得策か?


 「アルスはどうした?」


 「へぇ……すっごいねぇ〜わかっちゃうんだ」


 はい。殺した確定。


 その時、外で爆音が響き渡った。


 「み〜んながきた!!どうする?あそぶ!?」


 ここにレイビが居るのなら……


 「さぁね」


 俺達は体をドロドロに変換して水のようにカイロタワーを駆け登る。


 「逃げるは無しだよーーー!!!」


 レイビがナイフを構えながら追いかけてくる。


 レストランに辿り着き、そこには伊刻さんと夢結さんが何かを話していた。


 「伊刻さん!!映画館に向かって!!【王】が来てる!!」


 「掴めたか?」


 「『ガッチリと!!』」


 伊刻さんは焦りながらも笑い、レストランを後にした。

 夢結さんがその背中を見届けて笑いかける。

 

 「話は聞いたよ。私達はその後ろの……」


 物音と共にアビが、レイビが現れる。


 「そう、アビちゃんが敵だったんだね…」


 夢結は切ない顔をしながら唇に人差し指を持っていく。


 「『暖かで残酷な夢へ(おやすみなさい)』」


 夢結から煙が溢れ出し、辺りを包む。


 『吸っちゃダメ。これは、夢結さんの魔香。すぐに深い眠りに誘われるよ。』


 「大丈夫。俺の呼吸はそういう体でやっているだけだから、何も吸収していない。」

 『人の怪異すぎるよ!!』


 煙を吸ったアビは倒れ、眠りについた。


 「アビちゃんは私が……」


 夢結さんが言葉を発し終わる前に異様な気配が二つ降り立った。


 前と同じなら、ここに現れるのは……


 「ふひっ……レイビ倒されてる」


 「愚かですね。【夢】の権能には気をつけるように伝えていたのですが……それにしても、眠りとは……眠りは、【死】によって与えられるものでなくてはならない!!!!」


 伊刻さんが倒したと言っていた、【火】と【土】の【四葬】…ソウカとソウド。

 ここでこの二人と戦うことで後の攻略を楽にする。ここで時の力は使わない。


 「夢結さん!アビを連れてアラトライに行ってください!!」


 「一人で二人を?」


 「二人で、ですよ」


 俺達は分裂する。


 「俺がソウドを」「私がソウカを」


 「「倒す」」


 その答えを聞いて夢結さんは微笑み、アビを抱えて窓から飛び降りる。


 「ふっ……ふひ…倒せると?倒すなんて…無理無理無理!!あぁ!!嫌い嫌い、嫌い!!」


 「無理ですよ。貴女には倒せません。」


 ぶつかった。


 ーーーーー


 映画館、唯一の避難所であるそこに現れると言われた【王の怪異】。


 後輩に託された。


 【槍の怪人】として、【王の怪異】を倒す。


 映画館に到着すると、そこでは多くの人達が既に倒れて亡くなっていた。

 中では二人の怪人、ラシプとシュウが【王の怪異】と一触即発、睨み合っている状態であった。


 「下がれ、ラシプ、シュウ。後は俺がやる。」


 ラシプとシュウはその声を聞いた瞬間、緊張の糸が解け、腰を抜かした。


 「ほぅ……【槍】とは……なかなか歯応えのある奴が来たようじゃな…許す。【風】、【弓】よ、この場を離れよ。ここから先の戦いに汝らは邪魔だ。」


 「早く行け。街道でレンが戦っているのが見えた。カイロタワーで真奈狐とサクラが戦っている。頼んだぞ」


 ラシプとシュウは立ち上がり、映画館から出て行った。


 「数十年前……俺と、【槍】の意識が混同した。あの日から俺は【槍の怪人】から【槍の怪異】に近づいた。"お前もそうなんだろ"?」


 「…………分からぬ。もう、分からぬのだ。この身体も、この概念武装も、なぜ吾輩はこの身を…捨てられないのだ?ずっと、脳裏に響くのだ。"王よ、負けないでくれ""王よ、戦うことをやめるな"と。それが誰の声なのか、振り払えないのか、何も分からないのだ。」


 【王】はどこか哀しげな表情を浮かべながら話す。


 「今はただ、戦おう、【王の怪異】」


 「ああ、吾輩達はそういう存在だ。」


 ーーーーー


 何度も、何度も、人は輪廻を重ね、世界は回っていく。


 傍観者である星は既に瞳を閉じた。

 

 死はいつまで経っても、平穏を得られない。


 悪が世界を回す限り、そこに死は必要だから。


 悪が世界を手放さない限り、概念は変わらないから。


 全てを持つ者よ、我はいつまで死を齎さなければならない?我は、いつ、己に死を齎せる?


 ーーさぁね……分からない。でも、今世の君を殺す者は、すぐそこに来ているみたいだよ。


 ならば、我はその者に死を齎す。


 ーー結局君も、この円環に囚われただけの存在だ。この物語で君はどこまでも敵。


 ーー次の物語でも、その次でも、幾つもの物語を、世界を踏み越えた先で君はまたここに帰ってくる。


 ーー安心して、いつか、俺が全てを持ってこの円環を終わらせる。


 ーーその時まで君は、君たちはこの物語を紡ぎ続けろ。


 ーー今世の君たちは悪に、"アリア"に届くことはない。


 ーー今はただ、全うするんだ。


 分かった。ならば、再び無へと還れ。全神よ。忌々しき、創世神よ。


 【死】は繭の中で蠢き、どこか遠く、人の届かぬ無の世界とほんの少しのお話を繰り広げた。

ご精読ありがとうございました。


怪異譚として重要な回であり、俺の物語として重要な回だった。


さぁ、死滅没落都市、楽しんで?

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