組織
前回のあらすじ•伊刻さんが強かった。
「伊刻さん、あんた化け物っすか?」
そう聞くと伊刻さんは「ちげーよ」っておでこにデコピンしてきた。
「お前の炎見えたぜ。まだまだ五大怪異には届かないけど、あれなら大半の怪異をぶっ焦がせるな。」
「そうなんですかね、」
「うん。死の怪異は上澄の上澄だからな。でも、いつか…」
言い終わる前に伊刻さんは焦り、振り向いた。
「影神!」
伊刻さんの影から影神さんが現れた。
え?なんで?
「真奈狐のこと連れて来い。今すぐにだ。」
「わかりました。」
影神さんが影に沈んでいく。
「優希と、えっと…」
「あ!忍です!琴乃葉忍…」
「おーけー、忍!優希!俺の後ろで体育座りしとけ、マズいのが来やがった。」
死の怪異を前にして余裕を見せていた伊刻さんが見るからに焦り出した。
「マズいのってのは、なんかんですか?えっと、」
「伊刻だ。伊刻湊。まずいってのは、」
その時、高笑いが聞こえた。
拍手が響き渡った。
伊刻さんの目の前に3人の人が、いや、怪人が降り立った。
「【怪人協会】……!」
怪人協会と呼ばれた3人は左から女、男、男で
女は眼鏡をかけて綺麗な黒髪を後ろで結んでいて、前髪で目が見えない。
真ん中の男は色素が抜けきっているのかアルビノなのか真っ白で紫の目が目立って見えた。
右の男は神父服みたいなのを着てオールバックにしていて、不気味な雰囲気を纏っていた。
そして、真ん中の男が喋り出した。
「やぁ、ミナト君。そろそろ一緒に行かないかい?水越争太と居るのは疲れるだろう?アレは怪人の中でも神に近い男だからね、」
「黙れエルネス•バード。お前みたいな外道に着いて行くわけないだろう。それに、今日は幹部の二人まで連れて、そんなにウチの炎と言葉が欲しいのか?」
ウチて。
でも、外道?この人が?どんなことをしてきたんだろうか…
ふと、横で体育座りをしている忍の顔を見ると同じことを考えているみたいで変な方向を見ていた。
俺も忍の横に座った。
「とにかく、エルネス•バード、ミケ•アルテミス、ヴォルフ•ビーツ。お前ら怪人協会にこの二人は渡さない。」
伊刻さんがそう言うとエルネスは残念そうな顔をして肩を落とした。
「それは残念だよ。じゃあ、拉致るか。」
そういうと、女、ミケが地面から鎖をこちらに伸ばす。
ガキン!と音を立てて伊刻さんが槍でその鎖を弾き飛ばす。
「……【鎖の怪人】【羽の怪人】【力の怪人】」
そう呟く。
「不足はないな………はやく来い。真奈狐」
伊刻さんの槍が震える。
「ヴォルフ、久しぶりだけど、大丈夫そう?」
「ええ。二年前のリベンジマッチ、本気でやりますよ。」
「ミケも、お願いね。」
「……はい。」
ヴォルフ、ミケと伊刻さんがぶつかる。
なんでこの人達が戦ってんのか分かんないけど、ワンチャンマズい?
『さっきの大技でそれなりに体力を消費しているだろうし、相手は怪人協会だろ?マズいかもな。』
その、怪人協会ってのはなんなの?てか、エンは知ってるんだ。
『悪名高い。と言えば良いのか…まぁ、アイツらは怪人同士で手を取り合って頑張ろうっていう名目で、自分たちを忘れた人間を許さねえまじ。っていう組織で、人間のことを怪人の力で殺しまくっている集団だ。』
ヤバすぎるでしょ。
『なるほど。協会の敵対組織ってのがあるって聞いてたが、それがヴァルフォールだったんだな。』
なるほどね。
伊刻さん達の戦いは壮絶で、ヴォルフが拳で伊刻さんの槍を壊し、ミケの鎖が伊刻さんの足を捕まえてその隙にヴォルフが伊刻さんを殴る…が、伊刻さんがなんとかそれを避けて…三次元的な戦いだなぁ。としか言いようがない。
「さて、と、」
そう言ってエルネスが歩み寄ってきた。
俺と忍は立ち上がり警戒する。
「こんにちは?」
っ!?
いつの間にか隣にいて、逃げ出そうにも肩に手を乗せられて動けなくなった。
「逃げるなって〜」
「…エ、エルネス•バードさん?何のようでしょうか…」
「僕達と一緒に来ないかい?」
「メリットは?」
「仲間がいっぱい居る。」
「それなら、ヴァルフォールの方がいっすね。」
「美人さんいるもんね?でも、こっちにも居るよ?」
「そう言う問題じゃ…」
目の前で羽が揺れた。
「じゃあ、何の問題があんの?」
エルネスの紫の目が俺の顔を覗き込んできた。
「なぁ?何の問題があんの?」
「えっと…」
「問題しかないわよ?だって、優希君は私のものだもん。」
「……夢結真奈狐」
エルネスの腕がかすかに震えた。
「さぁて?その手を離して貰えるかしらぁ?」
「……はぁ、わかりましたよ。」
フワッと羽が舞ってエルネスが消えた。
「夢結さんが出てくるのは話が違いますよぉーまぁ、今回は諦めます。そもそも怪人同士で戦うのは…」
そういってエルネスが空を見る。
ヴォルフと伊刻さんが異次元の戦いを繰り広げている。
その下には諦めたように座るミケが居た。
「あの二人は犬猿の仲だからなぁ。ヴォルフ!ミケ!帰るよ。」
「いいんですか!?」
「今回は新入り君に挨拶に来ただけ!」
そう言うエルネスと目が合う。ので、舌を出して威嚇しておいた。
「フハッ。バカにしやがって。」
そう言って3人は消えた。
「あれ?ヴォルフ!!どこ行きやがったァァァ!」
伊刻さん…
「湊ぉ〜?な〜にしてるのぉ〜?」
「あぅ。」
その後、数分間にわたって伊刻さんは夢結さんに説教された。
ーー
「で、優希君、忍君。君たち、これからどうするつもりなのかな?もしかしてずっと神社の中で過ごすつもりじゃないだろうね?」
夢結さんが何でそれを知って…
でも、確かにそうだよな
「あの、皆さんと一緒に行くってのはできないんですか?」
忍が言った。
「でも、それじゃ、」
「彩花ちゃんを守れないって?大丈夫だよ。守れる。」
「え?」
「ヴァルフォールの組織目標は怪異で困った人を助ける。それが出来るのは怪人である私達だけだからね。それと、ウチのシップとクウの力によって怪異が何処にいるのかよくわかる。」
「つまり、すぐに駆けつけられるってことですか?」
「うん!」
忍と顔を合わせ、頷く。
「僕達を」「連れてってください。」
ーー
優希と忍がヴァルフォールに入った。
「もしもし、争太?」
《伊刻か。どうした?》
「優希と忍が加入したぞ。」
《あっはは!そうか。忍君が怪人になるのは分かってたけど、こんなに早いとは…》
「俺もそう思った。びっくりしたよ。」
《で?本題はそこじゃないだろ?》
「ああ。怪人協会が動き出した。二人を勧誘するために。」
《だろうな。あの"予言"の怪人が優希だと思ったってことだろ?》
「違うのか?俺はてっきり…」
《"厄災"を引き起こす怪人はまだ契約を結んでいないと思っている。》
「根拠は?優希はかなり怪しいけど…」
《一度も怪人契約を結んでこなかった"原初"の怪異である"炎"がここに来て唐突に契約を結んだ。炎にも何かしらの思惑はあるだろうが…》
「違うと」
《炎は逆だと思うんだ。》
「逆?」
《そうだ。炎は厄災を止める為のピースになると思うんだ。》
「根拠は?」
《勘だよ。水がピースなら炎もピースになるっていう。》
「なるほどな。それで、今後も新木彩花は見張っとくべきなのか?」
《そう。頼んだよ。》
「で、お前は何してんの?」
《エベレスト来てる〜》
「そこで何してんのか聞いてんだよ。」
《"闇"の監視。》
「はぁ〜!?また五大怪異かよ。」
《まただよ。人に続いて…》
「あー言ってなかったな。今日、死の本体とやりあった。」
《は?????》
「負けなかった。」
《だろうな。じゃなかったら電話かけられねぇもんな。》
「さて、と。」
《おつか……なぁ、》
「ん?」
《人、死、闇と五大怪異が立て続けに動き出している。》
「だな。」
《残りの二体がどう動くか分かんないから、》
「どっちも所在が分かんなぁんだからどうしようもないだろ。」
《…だよなぁ、おやすみ〜》
ピッ。
「………エベレストである必要はあるのか?」
ご精読ありがとうございました。
誤字脱字、文の間違いがあったら報告お願いします。
最後の電話ですが、軽く内容を決めただけでノリで書いてるので読みづらかったらすみません。
ヴァルフォールの目的は
「怪異で困った人を助ける」というのはちょっと誤訳っすね




