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第四十三話 二つ目の時

 「彩花!!記憶読め!!今すぐに!!」

 「え?」


 「今すぐだ!!」


 「わかったよ…」


 彩花はしぶしぶ俺の中にもどり、俺の記憶の閲覧を始めた。


 伊刻さんが話している最中だったが、そんなのしらん。さっき聞いた。


 「どうした?」


 伊刻さんとレンが困惑の表情を浮かべる。


 「説明が難しいんですが、【時の怪異】に助けられて、未来から帰ってきました。とだけ、」

 

 「詳しく話せよ」


 伊刻さんが槍を向ける。


 「まず、確認したいです。カイロを守る概念防御壁はどうやれば壊れますか?カイロタワー内にある管理施設を壊せば完全にそのシステムは瓦解するんですか?そもそも、ザマーレクに埋葬者が入り込むことは可能ですか?」


 ……やべー、全部口から出た。

 

 レンは困惑の表情を崩さないが、伊刻さんだけ顔色を変える。


 「もし、侵入が不可能なら、あの五人の怪人の中に………」


 「…中に?」


 考えたくないが、あの人たちの中に…


 「裏切り者がいる可能性があります」


 「それなりの責任を持ってその台詞を吐いているんだよな?サクラ」


 「はい。」


 伊刻さんは俺の目を見て溜め息を吐きながら槍を下す。


 「……証拠は?」


 「今の知識です。」


 「五人の怪人の名前」


 「ラシプ、シュウ、フィクス、アルス、アビです。」


 「ガチ、なんだな?彩花、記憶は見たか?」


 伊刻さんがそう聞くと、俺の奥で記憶を閲覧した彩花が俺から分離して椅子に座る。


 「……見ました。サクラは、本当に未来から来てます。ザマーレクが【四葬】の襲撃によって壊滅、【死の怪異】が目覚めてそこに居た【四葬】の二人によってサクラとレンは殺されかけて、そこから今の時間に帰ってきています。」


 「【四葬】……数十年もの間、顔すら見せなかったヤツらが現れたとはにわかに信じがたいが……信じるしかない…か」


 

 伊刻さんは椅子に座り頭を抱える。


 「猶予は?」


 顔を上げて、俺の顔を見ながら言う。


 「あと数時間、日が落ちると共に始まります」


 「【時の怪異】の力はどんな感じなんだ?」


 「えっと、時間逆行、遅延、停止、跳躍の四つの力を合計10回のみ俺が任意のタイミングで発動できます。ただ、どこまで戻れるかはわかりませんが、少なくとも、俺の道筋を辿る戻り方であること、今からオーストラリアやパリにいる時間まで戻れる気はしません。」


 「100年前に戻るとかも出来ない。と、あくまでもこのカイロでの戦い用ってことか……」


 「どうします?」


 伊刻に聞く。


 「この時間軸は捨ててでもその裏切り者を見つけろ。時間の力は誰にも言うな。ここの4人だけの秘密だ。分かったな?彩花、レン。」


 「わかりました」

 「え?あ、はい…」


 レンの歯切れが悪い。


 「どうかした?レン」


 「いや、僕には何が何だかわからない話でさ……でも、そっか…僕負けるんだ…」


 レンは悲しそうな顔をして俯く。


 「レンは強い。相性が悪かったんだ。」


 「そう……なのかな…」


 一旦の話はここまでにして、アルトライはザマーレクに到着した。


 「……よく見渡せ。10回の力は多くない。ここで得られるだけの情報を得ろ。」


 「『はい。』」


 伊刻さんに導かれて俺たちはカイロタワーに辿り着いた。


 そこでは、さっきと同じ会話が繰り広げられ、俺達は変化をもたらさないように同じ返答、同じ表情でその場を切り抜けた。


 解散が宣言され、アルトライに帰るふりをして、カイロタワー内に残った。レンには念の為、ザマーレク内をパトロールしに行ってもらった。


 彩花……どう思う?誰が怪しい?


 『順当にいくと、アビかアルスじゃない?』


 なんで?


 『だって、私達はその二人をあの戦いの間、一度も見ていない。』


 それは、殺されたからって


 『……まぁそうなんだよね…とにかく、監理施設でガン待ちがベターじゃない?』


 ああ。だからこうして……


 その時、足音が聞こえた。


 『誰か来たね?』

 

 黒いドロドロを出して、そこに目を構築し、覗き見る。


 『誰?』


 そこには、死体が来ていた。


 「やられた!!」


 すぐに飛び出し、死体を蹴り飛ばす。


 「花よ咲け!!」


 花の蔓で死体を拘束し、辺りを見渡す。

 

 レイビがここを壊した事なんて分かっていたのに……もっと目を増やしておくべきだった…


 『でも、破壊は防げたよ!』


 「ああ、確かにそうだ。これは、好転している証拠……


 「あっれ〜こ〜んなところで何してるの?」


 背後から聞こえた声、それは、狂人の声。

 

 「レイビ!!」


 「お名前しってるの!?な〜んでかなぁ、君の脳みそに聞いちゃおっと⭐︎」


 レイビはナイフを掲げ、俺達に切り掛かって、


 「ま〜あとでね!!」


 レイビがウインクして懐からボタンを出して…


 「まっ!!やめろ!!」


 「ポチッ」

 

 爆音と共に視界が弾け飛んだ。


 「時間停止!!」

 

 ー•ー•ー•ー•ー•ー


 時が止まる。


 「ギリセーフ…」

 『さぁ、答え合わせをしましょう』


 レイビは前の時間軸でも、今でもずっとお面を付けていた。


 このお面を剥がすと……


 「なーるほどね」


 ー•ー•ー•ー•ー•ー


 時が動き出した途端、俺達とレイビは爆発によって壁に叩きつけられた。


 「さぁ……その顔、見せてもらったぜ、レイビ…いや…」


 「…!!!」


 「『アビ!!!』」


 レイビ、いや……アビは不気味に微笑んだ


ご精読ありがとうございました!


レイビの正体はアビ…と


まぁ、伏線というか分かりやすくしすぎてたので、早めの開示です。

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