第十九話 悪辣龍巣血戦 その五
龍人は、殺す以外に助ける余地はない。
龍人となったルーシーは、ビキビキと生々しい音を立てて歪な翼を生やした。
ゆっくりと翼を広げ、フラフラとルーシーは浮き上がる。
それを静かに見守るのは【花】。
『「ごめん…ごめん…ごめん…ルーシー」』
サクラは膝をつき、地面に手を置く。
「『彼岸花……』」
伸び、広がった彼岸花は、空のルーシーに強く結び付く。
《たすけ…て》
ルーシーは譫言のようにその言葉を繰り返す。
そこに意志はない。
彼岸花に掴まれたルーシーは悶え、燃え、彼岸花を脱する。
《アベル!!》
「『違う!俺たちは…サクラのおねにいちゃんだ!!』」
ルーシーの手から炎の球が放たれる。
「花よ…」
地面から数多の花の蔓が伸び、炎の球を包み込み、吸収する。
「『一思いに…やるしかない』」
花の蔓をさらに伸ばし、サクラはそれに乗っかり、万花万蕾の太刀を抜く。
《たすけて!》
「『助けるよ』」
いくつもの花の蔓が、ルーシーの体を貫いた。
《たすけ……》
ルーシーは抗うことをやめ、首を差し出すような仕草をとった。
龍が諦めたとは、考えられない――。
サクラの握る万花万蕾の太刀が、ルーシーの首を切り落とした。
《あ…べる…》
ーーーーー
「ルーシー…ルーシー…ルーシー!!」
少年は、少女を想う気持ちでエッフェル塔へ向かった。
しかし、エッフェル塔に着いた直後、彼は絶望する。
《あ…べる…》
何かよくわからない化け物が、少年――アベルの顔を見ながらそう呟いた。
「ルー…シー??」
知らない顔、知らない体。
でも、それが幼馴染であると分かってしまった。
「ルーシー…ルーシー…ルーシーッ!!!」
少年は慟哭し、絶望した。
ただ、そこに倒れ、絶望の涙に溺れた。
ーーーーー
ルーシーは灰となって消えた。
「『……行くよ…』」
影と鬼と激戦を繰り広げる龍を睨む。
ご精読ありがとうございました
アベル来ちゃった^^




