目覚めと学校。そして…
前回のあらすじ、夢から覚めた。
「あらぁ、おはよう?」
視界いっぱいに夢結さん。
「おはようございます。」
「倒せたのね?」
「はい。なんとか、」
ベットに連れてってもらえたようで、俺は立ち上がる。
「どうして、見ず知らずの俺のために…」
そう言うと夢結さんは微笑んで頭を撫でてくれた。
「怪人は、世界から忘れられる。でもね、同じ境遇の怪人同士は絶対に忘れないの。だからこうやって助け合うの。」
なるほど。
あー、なんか、心が少し楽になった。
『覚悟?』
ウルセェ。
覚悟が揺らぐことだってあるだろ。
『まぁ、そうだよな』
それで、
「これでもうアイツらを守るために戦えるんですね?」
「ええ。五大怪異の一角を落としたのよ?」
そう聞くとなんか、すげぇやつに思えるぞ。
『何乙したんだ?』
ウルセェ。
「じゃあ、僕は行きます。」
あ、形代?持っていかないと…
「影なら争太が持っていってくれたよぉ」
「まじすか!今度あったらちゃんとお礼しないとな。」
そうして俺は帰る…
あれ?
「すみません。ここ、どこっすか?」
「だよねぇ!!ちょっと待っててねー"湊"呼ぶから!」
そう言って消えた。
消えた!?
『幻影だったのか…』
「怖すぎる。」
……ねぇ、
『お?なんだ。』
なんか、視線感じない?
そう思って振り向くと、いつの間にかシップが立っていた。
「こんにちは!優希さん!」
「こんにちは?」
シップが俺の隣に座ってくる。
え?なに?
「あ!今、怪異なのになんで定住してても冥界発生しないんだ!って思ってますね!?」
「いや、別に……確かにぃ!?」
そうじゃん!てか、冥界って言葉、知ってはいるけどなんなのか一ミリもわかってないな。俺。
『領域◯開、固有◯界、U◯Wだな!』
うわ!わかりやすい!俺の知識乱用しやがって!
『あ!あれかも!O◯Tのやつ。』
うわ!タチ悪い!
でもなんとなくわかった。
「で、なんでなの?」
「はい!実は私、人の死体に入り込んでいる怪異もどきなんです!」
「それ以上話さないで。」
ーー
しばらくシップとお話ししていたら夢結さんが部屋に入ってきた。
「ごめんね〜、湊、連れてきたから!」
そう言うと奥から白髪の青年が入ってきた。
「よう!伊刻湊だ!よろしくな!」
「東雲優希です!よろしくお願いします!」
「おうよ!えっとー?他のみんなには会ったのかな?」
「多分ねぇ、八上君だけ会ってないかなぁ?」
後一人いるんだな。
ねぇ、エン。
『お?』
この人、なんの怪人だと思う?
あと、鬼?と槍?がいるんだよね?
『槍だと思う。』
じゃあ、こたえきいてみよう!
「伊刻さんは、なんの怪人なんですか?」
「俺はね、槍!」
すっげ、エン正解だよ。
『コイツもあり得ないぐらい強いぞ。』
まじかよ。
「じゃあ、帰るよ!手、出して?」
そう言って伊刻さんが手を差し出してきた。
「ほい。」
とそこに手を置いた。
「飛ぶから。気を付けて」
え?
ーー
「ギャァァァーーー!!!!」
現在上空わかんないmゥゥゥ!!!
「きっもちいい!!」
伊刻さん!?
「なんすか!コレェえええ!!」
「最高だろ!?最高だよな!」
「聞こえなぁぁぁぁ!!!」
『まだ夢の中なのか?』
※現実です。
ーー
「よし。到着!」
気がつくといつもの町だった。
いつの間にか日が出ていた。
「寿命が、ないはずの寿命が縮まった…」
「……なぁ、もし、もしもだぞ?もし、心の底から助けが欲しい時、ここに連絡しろよ?」
そう言って伊刻さんは俺に電話番号が書かれた紙を渡してくれた。
「ヴァルフォールはお前をいつでも歓迎する。」
「ありがとうございます。」
そう言ってその紙をポケットに入れて俺は深々とお辞儀をした後に家に向かって歩き出した。
「孤独ってのは辛いからな」
伊刻さんがそう呟く。
ふと、振り返って見たらそこにはもう伊刻さんはいなかった。
「ありがとうございました。」
ーー
見慣れた町、見慣れた道、目を瞑ってもあるから。
公園を横切って、コンビニを過ぎて、忍の家…を過ぎて、バス停を過ぎて……少し歩いて…
「……あぁ。」
俺の家だ。
車庫を見る。
俺が書いた落書きも、俺の自転車も、俺の何から何まで、そこにはなかった。
「……ここまで消えるかよ。」
ガチャっと扉が開いた。
家から妹とお母さんが出てきて、
「いってきまーす!」「気を付けてね」
部活かな?なんてことない日常だ。
この家には子供は一人しかいない。
俺の家はもうどこにもない。
「……さぁて、寝床どうするかな?」
『……いいのか?』
「なにが?」
『……いや、』
「覚悟、決めたはずなのにな…どうしてかな、」
涙が止まらない。
ーー
ひとしきり泣いた。
「行くぞ。」
俺は家から離れて、近くの神社に行った。あの日の神社ではない。
「ここさ、あけっぱなんだよねぇー」
賽銭箱を乗り越えて、社の扉を開ける。
中には畳が敷き詰められていて、そこに寝転がる。
「一回はやってみたかったんだよ。」
『怪人は人には見えないからな。ちょうどいい。』
こうして俺は眠りについた。
ーー
今日から二人の護衛に着く。
屋根から屋根へ飛び乗って二人が学校に向かうのを見届ける。
「なんか、久しぶりに来た気がするな」
学校に入り、校内をうろちょろする。
見慣れた人、見慣れた場所。
制服じゃないだけでなんか違和感あるな。
「よし。危険はなかった。」
校内を巡回したけど、怪異の気配はなかった。
『いや、あった。』
???
『図書室に微かだが気配があった。』
なんで言わないの?
『悪意を感じなかったから?』
…信じるぞ。
「屋上行ってみるか」
入ったことのない屋上から見た街はなんかよかった。
「こういうのいいよね。風が気持ちいいよ。」
『ああ。』
……ねぇ、
『ああ。』
「あれ、なにかな?」
遠くになにかドス黒い煙のようなものが立っている。
火事?
『違う。黒煙じゃない。あれは、怪異の……オーラ?』
なぜ疑問系?
まぁとにかく、
「こっち向かってきてるよね。」
『…まずいかもな。』
黒い気配はこちらに向かってきている。
迎え撃つ?
『そうだな。変に手を出すよりもこちらへの敵意を確認してからだな。』
にしてもデカい気配だな。
『デカ過ぎないか?』
……もしかして、
『五大怪異……』
ーー
揺れる。揺れる。
誘う。近し者を。朽ちた者を。老いた者を。
惑わす。喪いし者を。奪われし者を。
拐かす。魅入られし者を。
我は神として。
世界は我を恐れ、怯えよ。
我が来た。
【死】は汝らのすぐ隣に居るぞ。
【死】は汝らを見捨てない。どんな時でも。すぐ近くにある。
甘美なる【死】などこの世には無いのだと。
享受しろ。
ご精読ありがとうございました。
スターレイルをやりながら書いたので、誤字脱字、キモい文がありましたら報告お願いします。
以下、死について軽く
死は長年、五大怪異の座についてきた存在です。
かつて死を倒した者がいましたが、死はその翌日には完全復活を遂げました。
死はいつも近くにあります。
死は人の弱った心に囁きます。甘美なる死の誘惑を。
しかし、この世に甘美なる死はありません。
死は必ずどんな形でも苦痛が伴います。
それでも死は甘美なる死をちらつかせます。
死はとても狡猾で残酷な存在です。




