王の怪異と炎の神
前回のあらすじ•夢に落ちた
「ここは、どこだ?」
辺りを見渡すと一面の、荒野?
『お主が吾輩の敵であるな?』
うわっ!
後ろを向くといつの間にか小さな女の子が立っていた。
「えっと、君は?」
『吾輩の名前は【王の怪異】である!ひれ伏せい!』
丈のあっていないマントが靡く。
「王の…怪異?」
『なるほど。確かに王の怪異が五大怪異として数えられていた時代は物凄く長い。つまり、』
『死ねい!』
「え?」
ーーー
気がつくと荒野の真ん中に立っていた。
「は?」
『死んだな。』
「苦しくなかったけど?」
『よかったな。感じる間もなく死ねたみたいだぞ』
「嘘でしょ。」
あんな女の子にワンパン!?
『おい!お主、吾輩の敵であるな?』
っ!
今度は大きく後ろに飛んで距離を離した。
「えっと、俺の名前は東雲優希!炎の怪人だ!」
そう名乗ると王の怪異はワッハッハと笑いグッドポーズをした。
なんで?
『よい心掛けであるぞ!うむ!優希だな!覚えたぞ!では吾輩も名乗るとしよう!吾輩の名前は、【王の怪異】である!ひれ伏せい!!』
平伏しておこう。
「ははぁ〜」
『なんと!なんと!くるしゅうないぞっ!うれしいのぉ!!だがの、吾輩とお主は戦わなければならない運命にあるようでな、』
なるほどな、ゲームでよくあるどう頑張っても戦うことになるイベントみたいなやつだな。
なら、
「分かりました。では、炎の怪人、東雲優希。」
腰を少し落とし戦闘体制を取る。
『うむ。なれば応えよう!王の怪異!参る!』
瞬間、俺と王の怪異の間が縮まった。
相手がものすごい勢いで攻めてたのだ。
うおっ!
横に飛び避けて火球を王の怪異目掛けて投げつけた。
『愉快じゃ!!』
王の怪異は火球をその小さな手で切り裂き、そのまま前のめりになりながら俺に向かって詰めてくる。
「獄炎ッ!」
人の怪異を焼き尽くした炎を出し、目眩しをする。
『ぬっ!見えぬぞ!』
声が聞こえたところ目掛けて飛びかかり、蹴りを打ち込む。
『捕まえたぞ』
王の怪異が足を掴み、不気味な笑顔を浮かべる。
「あ、」
『極刑じゃ』
「ちょっ!」
いつの間にか目の前に現れたギロチンの刃がもの凄い勢いで加速して俺の首を切り落とした。
ボトッと首が落ちた音と衝撃を感じながら意識を手放した。
ーー
「え?無理じゃね?」
『多分だが、これ、弱体化してる。』
「え?無理じゃね?」
『大丈夫。まだ十分も戦っていないから。』
何が大丈夫なのかわかんない。
『おー!お主が吾輩の敵であるか?』
うーわもう来たよ。
とにかく、攻撃のレパートリーを覚えよう!
ーー
「あっ!まって!」
『待たぬ!』
ザクッ
ーー
「くらえ!」
『この程度で吾輩を倒せると思うな!』
「え?」
ザクッ!
ーー
「ヤダァ!!」
『嘆くな!楽しかったぞ!』
「まだ一分もっ
ザクッ!
ーー
ザクッ! ザクッ! ザクッ! ザク……
ーー夢内部時間 3時間後
「あー、むり。最長戦闘時間は二分。」
どうすんの?これ。
『攻撃が通らない理由に気づいたか?』
「多分ね、マント。」
『俺もそう思った。多分だが、あのマントには概念的な防御が積まれている。』
概念?てことは、バカ強いんだろ?
そんなんどうすりゃええねん。うーむ、
「じゃあまず、マントを脱がす?」
『いや、無理だな。』「だよな。」
「概念的ってことは、弱点がある?」
『可能性はある。』
「じゃあさ、これまでやらなかったことやってみる。よく見ててくんね?」
『おし。』
振り向く。
『おっ!よっ!お主が吾輩の敵であるか?』
これまでの逆、つまり、
「あ?」
『む。』
「なんだ?チビ。王様ごっこか?」
そう。逆に貶してみる。
即死の可能性はあるが、
『わ、わ、吾輩は王であるぞ!不敬であるぞ!』
王の怪異が地団駄を踏みだした。
あれ?
「そんな地団駄を踏むガキが王とは思えませんけどぉ?」
煽れ、煽れ!
『なっ、そんな、吾輩が、王として、』
効いてる!
『え、これ正攻法なの!?』
「お前みたいなガキが王になれるわけないだろ!」
『そ、そんな…』
あ、マント落ちた。
『マジかよ!?』
『許さぬ。』
あれ?なんか、身長伸びて…
『許さぬ。』
あれ、なんか、髪色が赤黒くなって…
『許さぬぞ!愚民がァァァ!!』
ああああ!!!キレたァァァ!?!?
小学生くらいの身長から一気に高校生くらいまで成長した王の怪異はその手にいつの間にか握られた剣を鞘からぬき、構える。
『死ねェェ!!』
極光を纏ったその剣が結構離れた位置にいる俺に向かって振るわれた。
まっずい!
右に向かって飛び、避ける。すると、俺が立っていた場所が地面ごと斬れる。
あー、これ、ヤバいわ。
『死ね!死ね!死ね!死ねェェェ!!』
なんどもなんども剣が振るわれ、俺は炎の壁を作りながら走り続けて避けていった。
『マントが取れたってことは攻撃が入るってことだ!』
「んなこたぁ分かってんだよ!」
俺は何度も剣を振るう王の怪異を指差してつづける。
「あんなの!あんな攻撃!よけながら!攻撃に転ぜるわけないよね!!?!?」
『俺にキレてもしょうがないだろ。』
「なんかいい攻撃方法ないの?」
『一応?』
「おしえろ!ぎゃっ!」
鼻先かすった!
一旦急ブレーキをかけ、目眩しで辺り一面に炎の壁を出し、うつ伏せになる。
『小賢しいことしおって!!その程度で逃げれるとでも思っておるのか!?』
ビュンビュン、ビュンビュン斬撃が飛んでくる音が聞こえる。
「それで、いい攻撃方法ってのは?」
『実はな、怪人契約するの、これが初めてなんだよ。俺。』
はぁ、
『それで、ふと思い出してな、何百年か前に俺の知り合いが怪人契約したんだよ。それで、たまたま一緒に戦う機会があったんだ。そこでソイツが怪異時代では出来なかった技を使ってたんだ。』
ふむふむ。
『それが概念系の武装。』
お?
『つまりな、これ、俺らもできるんじゃないか?と』
おーー!
『一旦、俺に変われ。任せろ。』
任せた。
そうして俺は目を閉じて身体の操作権を炎に渡した。
『…死んだのか?おい!死んだのか!?』
え、なんか焦ってね?まぁ、とにかく、やってくれ!
「よし。ふぅー……」
集中しろ。思い出せ、アイツは詠唱していた。
真似てみよう。
我が名は◯◯◯◯。
名を捨てし神なれど、
人と共にある為に、
その御技を今一度、
現世にて繰り出さん!!
瞬間、俺たちの周りに猛々しい炎が現れて、気がつくと炎の渦の中心に立っていた。
そうだよ。俺は、我は、
◯◯◯◯なんだよ。
だったら、俺はこれを造れる。
「ーーーー神剣…鍛刀。」
そう呟くと俺の手の上に、炎で象られた一振りの刀が現れた。
「出来たぞ。優希。これが、俺とお前の【概念武装】だ。」
「ありがとう。これで戦える。」
俺が刀を手に取ると周囲の炎が呼応するように揺れた。
「炎よ、集束しろ。」
全ての炎が刀に集まり、その刀身が現れる。
紅く澄んだ綺麗な刀だ。
『…生きておったか』
王の怪異がその剣をもう一度構える。が、一旦剣を下げた。
『なんじゃ、その、刀は』
震えるように刀を指差す。
「俺の刀だ。」
『炎の怪異、貴様、"崇拝されし者"か!!』
あ?んだそれ。
「なんだよ、その、崇拝されし者ってのは、」
『なにかの超常現象や概念が崇拝され、それが反映されることで怪異が生まれる。』
怪異の生まれ方って一貫性がないのかな?
『つまり、崇拝が先なのだ。だが、貴様らは怪異となった後に神として崇拝された者だ。それが"崇拝されし者"それは最早、神と言って差し支えない。』
なるほどね。
炎に対する思いとかが力になるよりも、
炎の怪異に対する思いの方が力になる。だから、怪異よりもワンランク上にいける。
これであってる?
『そういうことだ。そして俺はそれを忘れていた。』
なぜ?
『…ある戦いがあってな。』
それが例の怪異として力を使うとヤバい原因?
『そう』
まぁとにかく、俺は豪運だったわけだ。
神と力を合わせて戦えるんだろ?
『まぁ、名を捨ててるけどな。』
じゃあ、名前をつけよう!
かわいいのとかっこいい。どっちがいい?
『じゃあ、あえての、かわいいので!』
おーし!
『どうしたのじゃ。その力の強大さに怯えておるのか?』
「ちげぇよ。最高なんだよ。」
刀を王に向ける。
「やるぞ。王の怪異。俺と、炎が相手だ!」
『怪異と人が手を取る。なんとも忌々しいの。まるでかつての吾輩を……見ているようじゃ。』
王の怪異が悲しげな顔を浮かべた後すぐに剣をこっちに向けた。
『死ねい!』
斬撃が飛んでくる。
「こんぐらい、斬り落としてやるよ!」
刀を振る。
飛ぶ斬撃を相殺した。
「マジかよ。」
『すげえ!!すげえ!!行っけぇぇぇ!!!』
地面を踏み、半ば吹き飛びながらも王の怪異に近付いていく。
『吾輩に近付くな!』
「嫌だね!」
力一杯、刀を振り、王の怪異の胴を斬る。
『その程度!』
刀を掴まれる。
『折ってやる!』
『火力を出せ!』
「オオオオオオオオ!!!!」
刀に力を送る。
『熱い!!熱いが、この程度でぇ!!』
「燃えろおおお!!獄炎!!!」
王が刀を掴む力が弱まる。
『斬れる!』
「ウラぁぁぁぁ!!」
一気に刀が入る。
『いやじゃ!こんな!こんなところで!』
「終わりだァァァ!!!」
その時、俺の刀が王の怪異の体を二つに切り裂いた。
ーー
「………あの、」
『勝ったよな?俺ら。』
たしかに王の怪異を倒した。というのに。
また一から。
「え?なにか足りないの?」
『……なぁ、そういえばさ、王の怪異って、ちょっと成長してたよね。』
「え、もしかして、」
『小学生→高校生→』
「大人モードに殺された?」
『ある。』
「はああああああ!!!」
『おちつけ。トライアンドエラーだ。』
なるほど、確かにこれは、現実時間で1時間かかるかもしれない…
「やるぞ。」『負けねぇ。』
ーー1時間後
『死ねぇぇぇい!!』
「死ぬぅぅ!!!」
ーー3時間後
『吾輩のこの姿を見る者が現れるとは…』
「ここからだ。」
ザクッ!
ーー5時間後
ーー6時間後
ーー10時間後
ーー50時間後
「終わりだ。」
『そうか…吾輩はここで終わりか。』
刀が王の胸を貫通し、王は泡となって消えた。
『…』「…」
「『勝ったァァァ!!!』」
こうして俺らは夢の世界から解放された。
いくつかの必殺技を引っ提げて、
五大怪異やべぇ、まじやべぇ、
でも、今の俺なら、倒せる。
そうして、意識が途絶えた。
ご精読ありがとうございました。
誤字脱字、キモい文があったら報告お願いします。
以下、王の怪異についてです。
まず、最後の形態を飛ばした理由ですが、今後、王の怪異の最終形態と戦う時がくるからです。その時にお出ししたくて幕を閉じました。
姿について
王の怪異の姿は数百年前に契約した女の子の姿です。無意識のうちにその姿をとっています。
マントについて
王であることが揺るがなければ、そのマントは王を守ります。
もっと詳しい話はまたいつか。




