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Ep.3 転移

「さて…私に出来ることしちゃおっかなぁ?」


海上に立つ一人の女。


罪なる女。


眼前には動く大いなる巨木。


「ここで世界が創生されるのは正直困るからね!!」


「罪は精算されるされるもの。しかし、それは終わらない。人は罪を犯し続けるから。私は世界の代弁者。」


「終わらぬ罪業に囚われ続けよ。」


直径数百キロはあるだろう巨木の周囲に無数の鎖が現れる。


「その動きを止めよ!」


鎖が一つ残らず絡みつき、巨木の動きを止める。


鎖がミシミシと音を立ててちぎれていく。


「罪を重ねるか!!」


鎖がちぎれると、その倍の鎖が現れ、巻き付く。


やがて、巨木は鎖によって動きを止めた。


「さぁて、最低限働いたし、どうやら、運命も動き出したみたいだし、私はここいらでオサラバさせてもらおうかな?」


【罪の怪人】は飛び去った。


「どこに行こうかなぁ…あ!そうだ!"ニューヨーク"に行こう!"みんな"もそうするんでしょ?キャハ!!」


ーーーーー


急に辺りが揺れた。


「私を止めたね?"悪意の化身"…いや、"悪神の下僕"いや、彼女にそんな自覚はないか…とにかく、忌々しいね、【罪の怪人】は!」


その時、3つの気配が消えた。


それは、原初の怪異達の気配だった。


「あれ?消えたね」


花神が辺りを見渡す。


「何をしたのかな?水越争太」


すると、俺の目の前に水越が立ち、肩をすくめる。


「さぁな。急に"鎖に貫かれて"消えたよ」


「本当に!忌々しいなぁ!!」


周囲からいくつもの蔓が伸び、みんなを掴み、持ち上げる。


「銃剣!切り裂け!」


水越によって、俺の蔓が切り裂かれる。


「やれ!」


刀に全てを込める。


唐突な出来事で、花神は反応しきれていない。


「『ーーーわかたれよ。」』


エンと心が一つになり、放たれた袈裟斬りは、花神を二つに切り裂いた。


「彩花!!」


花神の中に手を捩じ込み、内に居る彩花に手を伸ばす。


「優希!!」


しっかりと手を握り、引き摺り出す。


「撤退だ!!」


水越が叫ぶ。


「御手杵!!」


灼熱の槍がいくつもの蔓を燃やし、壊す。


「影の手!!」


空から影の手が伸び、全員を握り、空へ持ち上げられていく。


全員がアルトライに入り込み、空高く上昇していく。


「このまま天井ぶち破って逃げるぞ!!」


水越が【戦争】の権能をアルトライに付与し、主砲を再び構築する。


「ぶちかませ!」


主砲が放たれ、空に穴が開く。


そこに向かって全速力でアルトライが入り込み、花神の冥界を脱した。


ーーーーー


「花神の核である彩花を引き抜いたから、この冥界はこのまま壊れるはずだ」


水越がそう言い、今回の作戦は終わった。


これで?


『終わりだと思うな!!』


大地を裂く程の怒号が響き、アルトライが揺れ、動きが止まる。


「なんだよ!!」


伊刻が窓から外を見る。


「マジか」


「ヤバいです!マガツコノハナサクヤヒメに取り付かれました!!」


シップが焦りながら報告する。


「無数の蔓に巻き付かれて、一ミリも動けません!!」


「え!!?なんで!彩花はここにいるんだよ!?」


夢結が焦りながら俺の腕の中で眠る彩花を指差す。


「まって!夢結さん!彩花がおかしい!透けてる!」


忍がそう叫び、彩花の足元を指差す。


ハッとして、彩花を見ると、確かに少し透けている。


「おいおい!マジか!これって!」


影神が焦りながら夢結と水越を見る。


「肉体が…ない?」


水越が呟く


「じゃあ!肉体はどうなったんだよ!!」


俺が叫び、皆を見る。


「確かに、あそこに立っていたのは、花神だった。だから、中に肉体があると思っていたのだが…」


「じゃあ、俺が切ったのが肉体だったのか!?」


「違う!なら、血が溢れる筈だ!」


「今確認しました。確かに花神の中に彩花さんの魂と肉体が押し込まれていました…」


シップとクウが過去の記録で算出した。


「俺にもそれが見えていた。だから、切ることを…」


「…もしかしてなんだが、人間から、怪人そして、神。進化のシフト先がこうなのだとしたら、」


伊刻がそう言うと、夢結が察したかのように目を見開く。


「もしかして、人間であった彩花ちゃんと怪異であった花、今回の創世が"あの日"と違ったのって、【戦争】が神になったあの日と、【花】だけが神になった今回。この差なんじゃ…」


その言葉を聞いた水越が、補足するように呟いた。


「つまり、【花】が更なる力を求めていたのは、彩花を神にするため?」


「何を言ってるんですか!?」


「つまり、【花の怪異】が【神】へと進化し、それにつられて、【新木彩花】という【人間】が、【怪異】へと進化してしまった」


つまり、今、俺の腕の中で眠る彩花は、【花の怪異】になったということなのか?


そんな、


そんなこと、


瞬間、船体が揺れ、警報が鳴り響いた。


「…逃げられるか?」


水越がクウに聞く


「振り解くのは無理です。水越さんも【戦争】の力をもう、そんなにつかえないでしょう?」


「ああ。」


「ですが、一つだけ、あります。この、量子テレポートシステムです。」


「はぁ!?そんなのあったの!?」


「しかし、これは、オーバーテクノロジー中のオーバーテクノロジー、システム理論が一ミリも理解できてなくて、ノータッチなんですよ。」


「動くかもわからないし、ぶっつけ本番ってことか」


「はい。」


「…やれ。俺が時間を稼ぐ。」


「…分かりました」


水越争太は覚悟を決め、甲板に出る。


「みなさん!今から、量子テレポートを行います!どうなるか一ミリも予測できません!しかし、これに賭けるしかありません!隣の人の手を握ってあげてください!手を、離さないように」


俺は忍と彩花と手を握る。


影神と八上が手を握る。


伊刻と夢結が手を握る。しかし、夢結が辺りを見回してたじろぐ。


「まって!争太は!」


夢結がそう言うが、クウからの返事はない。


「……量子テレポート開始まであと、10秒です」


「ねぇ!!争太は!!」


伊刻が暴れる夢結を抑える。


「大丈夫だ。アイツは、水越争太だ。」


ーーーーー


 風が強いな。


 「よお!元気か!ハナ!」


 眼前に広がるのは数多の花弁と、蔓。


 それに意志があるなんて、誰が信じようか。


 『水越争太ァァァ!!』


 正直、ミケが助けてくれたのが気に食わないが、それでなんとかなった作戦だ。


 しかし、それじゃあ、俺の格好がつかない。


 「カッコつけさせてもらうぜ?」


 蝶の羽を出し、空を駆ける。


 「銃奏」


 蔓の根元に無理やり、幾つもの銃を捩じ込む。


 「掃射!!」


 銃口が詰まり、全ての銃が暴発。


 いくつかの蔓がちぎれ落ちる。


 『無駄だ!!』


 奥からまたいくつもの蔓が伸びてくる。


 「次から次へと!!」


 戦闘機を出し、蔓にぶつけ、蔓を壊す。


 爆弾を出し、蔓にぶつけて、蔓を壊す。


 『邪魔だ!!』


 視覚外から迫る蔓に気づかず、腹部を貫かれる。


 「くっそ…」


 『壊れろ!!』


 眼下のアルトライがメキメキと音を立てて、ひび割れていく。


 「やめろ!!!」


 蔓の根元に向かって銃弾や、爆弾、戦争の全てを打ち込む。


 しかし、花神は止まらなかった。


 アルトライが二つに割れた。


 「そんな…」


 呆気に取られている隙に、蔓によって、壊れたアルトライに叩きつけられた。


 「ぐぁっ!」


 「水越さん!」「大丈夫ですか!!」


 シップとクウの元に倒れ、水越は朦朧とする意識の中で、アラームを聞いた。


 ーー量子テレポート開始ーー


 壊れた機械音声がそれだけを伝え、壊れた量子テレポートが始まった。


 『逃げられると思うなよ。』


 花神がそう言ったのが、聞こえた。

ご精読ありがとうございました。

誤字脱字などありましたら、報告お願いします。


さて、種まきは終わりました。

あとは、実を結ぶだけです。


ここからが本当の怪異譚です。

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