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罪なるかな

 怪人協会は慈善団体である。

 話が違うではないか?そうだ。

 彼らは路線変更を行なったのだ。

 

 嘘です。


 もともと彼らは慈善団体なのだ。

 怪人となり人から忘れられた人を救い上げる慈善団体。

 それがどうして殺人集団と呼ばれたのか。

 

 それは、口裏合わせだ。


 怪人協会内での裏切りを悟ったエルネスは旧友だった水越に相談した。

 そこで水越が出した答えは逆に裏切り者の意思に乗っかろうというものだった。

 「そうしてイキりだした奴が裏切り者〜」

 エルネスはそれに乗った。

 が、すぐに後悔した。

 裏切り者が行なっていた行為が殺人行為だったからだ。

 行為そのものをしないとしてもそのように思われるのは嫌だな。と思ったからだ。

 しかし、それでもそのように振る舞ってきた。

 

 結果、裏切り者が判明した。


 ーーーーー栃木県•日光東照宮 3月3日 19時25分


 本殿の前に純白の翼を携えた男、エルネスが神妙な面持ちで立っていた。

 そこに男と女が近づいてきた。

 ヴォルフとミケである。


 「お呼びですか?」


 ミケの鋭い眼光がエルネスを刺した。

 エルネスもミケを睨む。

 「心当たりはあるんだろ?その眼。」


 ミケの両眼にはバツのマークが浮かび上がっていた。これまでそんなものは無かった。

 「会長は私の眼を見ていたんですね」

 ニタニタとミケが笑う。

 「そんな表情できたんだな。隠キャ女のフリは終わりか?」

 「そうですよ〜」

 ミケがメガネを外し、髪を解き、前髪をかき分ける。

 俯きがちでよく見えなかった顔だが顔を上げて髪をかき分けると物凄く整った顔立ちだった。

 「あー、見にくいな」

 ミケが懐から丸メガネを取り出し装着した。

 なかなか似合う。

 「さて、殺人行為やその他諸々…どう説明してくれる?」

 「説明も何もないですよ〜!私は殺りたいことを殺ってるだけっすよ〜」

 ヘラヘラとした態度を崩さずにミケは笑う。

 「人の道を外れた行いだ。」

 「だから?」

 「お前を許さない。」

 エルネスが羽を広げる。それに続くようにミケの隣に立っていたヴォルフが拳をミケに向ける。

 「はぁ…」

 ミケが呆れたようにため息をついた。

 「えぇ?お二人が私に敵うとでも思っていらっしゎるの!?」

 「鎖の怪人風情が…」

 ヴォルフが殴りかかる。

 が、


 「馬鹿にしないでね」


 ヴォルフの身体に鎖が巻きつき、持ち上げられる。

 「この程度…」

 力の怪人であるヴォルフが全力で鎖を引き千切ろうとするが一向に引き千切れない。

 「なっ!?」

 鎖に囚われたヴォルフを見てミケが腹を抱えて笑う。

 「無様ですね!!なんですか?鎖の怪人風情?馬鹿なんですか?」

 「契約怪異すらも騙していたのか?」


 「当たり前じゃないですか〜」


 ミケがエルネスを見上げ、微笑む。


 「私の名前は"ミケ•アルテミス"。またの名を、【罪の怪人】」


 ミケの眼が怪しく光った。

 「そうか、お前が最後の五大怪異か。」

 ミケがにこやかな表情を浮かべる。

 「罪が最後に観測されたのは10年前、お前が俺の下に来たのが9年前。その一年の間に計画を練ったのか」

 「そう!」

 ミケがピョンピョンと飛び跳ねる。

 それを見ながらエルネスが笑う。

 「いいのか?10年前に罪を観測したのは"ヴァルフォール"だぜ?ここで罪の力を使っても…さ?」

 「キャハハッ!おっかしいー!ヴァルフォールは今、病の怪異戦の真っ最中でしょ?すぐにここに来れるわけがないの!」

 「知らないのか?病は戦争の弱点。水越争太は病の怪異戦に赴いていない。」

 ミケの表情が陰る…が、すぐに満面の笑みになる。

 「じゃあ都合がいい!!キャハハハッ!!!」

 破茶滅茶に高笑いしてミケが手を上げる。

 その手は開かれている。

 「じゃあ、先駆けとしてぇ」

 ミケがヴォルフを見つめる。

 「っ!?」

 「ヴォルフくぅ〜ん!ばいばーい!」

 ぎゅと手が閉じる。それと共に鎖がヴォルフを締め付ける。

 「やめろぉ!!!!」

 エルネスの無数の羽根がヴォルフを縛る鎖を腐食させる。

 「あっがっ…」

 ヴォルフが地面に落ち、悶える。

 「ふーん、やるじゃーん!ヴォルフも、一瞬で灰にならない辺り侮れないね」

 瞬間、ミケの眼前にエルネスが迫る。

 怒りに染まったエルネスが羽根で作られた剣を用いて接近戦を仕掛けてきた。

 「へぇ、そういうことしちゃうんですね」

 エルネスの剣が地中から出現した鎖に塞がれる。

 「あなたは罪深い。」

 「そうだな。」

 羽が広がり、羽根が舞う。

 月に照らされて淡白く光る羽根が周囲に出現した鎖を腐食させてミケを襲う。


 「……ほら、こうしてまた、罪を重なる。」


 どこからともなく鎖が現れて全ての羽根を叩き落とす。

 「腐食しない!?」

 「"断罪の鎖"を腐食させるなんて、罪深いですよ?」

 

 ーー羽根の能力が無効化された…どういうことだ?罪の能力だよな……何か条件があるのか?


 ーー断罪の鎖って言ってたよな。


 ーーそれを腐食させることが罪深いとも言っていた。


 ーー結果、鎖を腐食できなくなった。


 ーーもし、仮にミケが罪だと思った行動がミケに通じなくなる能力だとしたら説明はつくか?


 ーー大いに。


 ーー炎の怪異に炎が通じないように


 ーー水の怪異に水が通らないように、


 ーー罪の怪異に罪が通じないってことか


 ーー罪と思えば罪になる。

 

 ーーこれは…一撃必殺が有用だな


 ーーというかそれしかないだろ。


 ーー"私"の本当の力、使わせてやる。


 「ありがとう」

 エルネス眼が金色に光り出す。

 「っ!」

 ミケがその異変を察知し、無数の鎖を出現させる。

 「アンタも!!力を隠していたのか!?」

 「そう。」

 エルネスが羽を広げ、己を覆い隠す。そこに全ての鎖が突き刺さる。

 反応はない。


 「乱暴だな。」


 全ての鎖が崩れ落ち、羽の中から無傷なエルネスが現れた。

 「なに?その姿」

 「……これは…」

 エルネスの頭上にエンジェルヘイローが現れた。

 「まさかアンタ…」

 その時、ヴォルフがミケを羽交い締めにした。

 「今です!!!」

 「いいね」

 無数の羽根が螺旋を描くように舞い、ミケにその先端を向ける。

 「死ね」

 全ての羽根がミケ目掛けて放出される。

 

 「私を殺そうとするなんて、罪深いよ?」


 羽根がミケに突き刺さる瞬間、無数の鎖が現れて全ての羽根を撃ち落とす。

 「くっそ!」

 鎖はそのままエルネスとヴォルフを縛り上げる。

 「あーあ、負けちゃった〜」

 「なんなんだよお前!」

 「ヴォルフく〜ん、そんなに語気荒くしないで〜」

 ケラケラと笑う。

 「残念だけど、君たちはここで敗退ね〜?"新世界"に君達は乗り込めない!」

 「"世界の創世"の話かな?」

 「さっすがエルネス•バード!!よく知っているね!」

 「かつて【戦争】がそれを望んだ。しかし、水越争太がそれを防いだ。お前じゃあ無理だよ。今のお前は確かに強いが、あの頃の【戦争】には程遠い。ましてや【花】が復活しそうなんだぜ?」

 ミケの表情から笑顔が消え、怒りに満ちる。

 「そんな酷いこと言っちゃうんだ。」

 エルネスを縛る鎖が更にキツくなる。

 「もういいよ、エルネス•バード。死んで」

 

 「エルネス!!!!!」


 空からの掃射。

 ミケはヴォルフとエルネスを盾にするが、ヴォルフとエルネスを貫通して銃弾がミケに降り注ぐ。

 「嘘でしょ!?馬鹿じゃないの!?二人とも死んじゃって…」

 鎖が壊れ、二人が落ちる。

 血は流れていない。

 「嘘でしょ、なんで無傷なの!?」


 「それはこっちのセリフだ。なんで無傷なんだよ。キメェな。」

 空からゆっくりと一人の青年が降りてくる。

 「遅い」

 「最速でーす。」

 水越争太だ。

 「ミケ……いや、"罪"の怪人……お前はここで、」

 水越が満面の笑みで言う。


 「"詰み"だ」


 どうやら氷の怪異が到来したようだ……

ご精読ありがとうございました。

誤字脱字報告おねがいします。


あと少し、あと少しで俺の好きな

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