病
病の怪異はこれまで何度か五大怪異に数えられてきた。
黒死病、天然痘、コレラ、スペイン風邪……パンデミックが起こると共に病の怪異は力を得た。
世界で最も人を死に至らしめた怪異であると共に世界で唯一、消滅を経験したことのない怪異だ。
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唐突に警報がヴァルフォール管内に響き渡った。
皆が集まると水越とシップが慌てた様子で話し始めた。
「病の怪異を観測しました!場所は日本海です!」
「予測では2日後に新潟県に上陸するようだ。そこで、今から新潟県に向かい、病の怪異を迎え撃つ。」
「なら、全員で!」
「それは無理な話だよ、優希。」
水越が残念そうな顔を浮かべる。
「病は戦争の弱点だから、俺は病との戦いに向かえない。あと、真奈狐と彩花も連れていけない。そうだろ?」
「弱点…」
水越が来れない。
怪異は世界からの概念を糧に強くなる。故に、コロナウイルスが流行り、パンデミックが起こりかけている今、病の怪異は想像を絶する強化が施されているだろう。
そんな中で水越という最高の戦力が使えないという事は辛い話だ。
しかし、伊刻、八上、影神が居るというのに水越まで来たら過剰戦力だからまぁ、いいんじゃね?と優希は思った。
「ーーーーへぇ…病の」
彩花が何か呟いたように感じた。
ーーーーー新潟県新潟市 新潟駅前
人通りはそれなり。
伊刻、八上、影神、忍、優希の5人はそれぞれの配置を確認して2日後の戦いに備える事になった。
「魚食べたい。米食べたい。」
優希が忍に駄々を捏ね出した。
「……僕も行きたい。」
そう言って二人は新潟の街に繰り出した。
感想•美味しかった
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震え、苦しむ。
熱く、寒い。
いつでも、どんな時も、いつまでも。
嘆き、悲しめ、どこまでも
【病】は消えない。
お前達では拭えない。
お前達では抗えない。
大人しく
【病】に脅かされよ。
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海の向こう側から、巨大な漆黒の球体のような【病の怪異】がズンズンと向かってくる。
「先手必勝だ。」
配置についた5人全員がそれぞれ強大なエネルギーを収束させ始める。
「『ここに居る全員の力は倍増する』」
忍のバフが振り撒かれる。
伊刻の周囲に無数の槍が現れ、それらが一つに纏まる事で神の槍となる。
影神の体から影が溢れ出し、揺れる。
八上の握る大剣に赤い閃光が走る。
優希の体が燃え上がる。
槍が放たれる。
「グングニル!!!!」
無数の影の手が高速で放たれる。
「影の手!!!」
大剣が放たれる。
「オーバーブレイク!!!」
灼熱の炎が放たれる。
「終焉の劫火!!!」
全ての攻撃が病の怪異にぶつかり、爆発する。
しかし、それらは吸収されるように消える。
「無傷ね」
伊刻が呆れながら呟き、もう一度槍を放つ。だが、その槍も吸収され、病の怪異は進んでくる。
『抗うな。』
病の怪異がそう言うとそれは回転を始め、その球体の中心に一つの大きな眼が現れ、瞬きをする。
「「きっも」」
影神と八上の声が重なり響く。
『侵されよ』
病の体の表面から無数の手が立ち昇り、高速で迫り来る。
「避けろ!!!受けようと考えるな!!」
伊刻の声を聞き、全員はその手を避けることに注力する。
『病魔は避けられない』
忍と優希の眼前に避けようのない大きさと密度で手が迫る。
「クソガァ!!」
その手が二人に当たる事はなかった。
全ての手を伊刻が受けたからだ。
伊刻が膝から崩れ落ち、吐血する。
「はぁッ、ハッ…」
二人が伊刻に駆け寄る。
「くっるな!」
伊刻がふらつきながら立ち上がり二人を制止する。
「これは…病気だ」
その瞬間、病が笑った。
『"病魔の手"それは、この世全ての病魔を身体に流し込む手…よかったな。怪人でなければ即死だったぞ』
そう言いつつも病は再びその手を伸ばし始める。
「影!忍を守れ!八上!俺と詰めるぞ!優希!そこで最高火力貯めておけ!」
伊刻はふらつく体を槍で支えながら病から伸びる手を全て切り落とす。
「行くぞ!」「はい!」
伊刻と八上が病との距離を詰め、影神が影でドームを作り、その中に忍を入れる。
「エン!やるぞ!」『まかせろ!』
手のひらを合わせて手を擦る。
ゆっくりと手のひらを離してその中に火の玉を生み出す。
火の玉を回転させ、酸素を送り込む。
色がどんどん変わっていく。
「獄炎…」
漆黒の炎となり、回転が加速する。
「劫火…」
さらに炎が暗くなり、回転が加速する。
「……」
風が巻き起こり、熱波が周囲を乾燥させていく。
「………」
やがて炎は白く染まる。
「終焉の炎」
『出来た…』「これが最高火力だ。」
伊刻と八上の攻撃にびくともしない病の怪異を見て優希は少し狼狽えつつも自分を信じる。
「伊刻さん!!!」
「ぶっ…かませ!!!」
伊刻が吐血しそれを伊刻が支えながら優希と病の射線上からどく。
『「焼き尽くす大いなる炎」』
バスケットボール大の火球が放たれ、海上の病に迫る。その火力は上を通過しただけで地面が溶け、海の表面が蒸発するほどのもので
『ぬっ!』
病にその火球がぶつかり、爆発する。
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「水越さん!マズいです!今すぐにきてください!」
シップが焦り、館内放送を行う。
「どうしたの?」
「クウ!やばいんだよ!見て!」
頭を掻きながらクウがシップの指すモニターを見る。
そこには最後の五大怪異【罪】の反応が現れていた。
ご精読ありがとうございました。
誤字脱字報告お願いします。
これで現代の五大怪異は
死 病 人 悪 罪
と判明しました。




