闇晴れる。
ーーシンガポール
闇の中で水越争太は考えた。
闇の怪異の本体が闇に紛れている以上、闇を払い、その体を露見させなくてはならない。故に、闇を払う方法を考えていた。
「争太!!閃光弾ってのじゃだめなのか!?」
伊刻の声がどこからか響く。
閃光弾。確かにそれなら闇を払う事はできる。
しかし、それはほんの一瞬。
その一瞬の間に何が出来る?
水越はその一瞬の間、身動きが取れない。
伊刻はその一瞬で決定打を打つような攻撃を放てない。
影神も同様に……
「影神!!もし、俺が閃光を使ったとしよう。俺の影は濃くなるな?それでお前が強化できるなんて事…」
するとどこからともなく声が聞こえる。
「あります!!」
水越はそれに賭けることとした。
「……閃光ッ!」
激しく光り、辺りが照らされる。
そして、一瞬見えた闇の本体。
「影の帯!」
影の帯が闇の本体を掴んで離さない。
「伊刻!」「伊刻さん!」
「最初っからこうしていればよかったのでは??」
伊刻の周囲に真紅の槍が無数に現れる。
それらは円環を成し、回転する。
回転速度が上がるにつれ、激しく槍が燃え始める。
「貫け、レーヴァテイン」
影に導かれ、炎の槍は闇を貫いた。
闇は晴れ、五大怪異の一角が落ちた。
ーーーーーーーいただきます
ーーー3月1日
一月ほど前から騒がれていた新型感染症が最近になって一気に拡大してきた。
人の往来が減ったことにより、怪異の出現率が上がり、ヴァルフォールは少々忙しい日々を過ごしていた。
「そういえば、裕也達が闇の怪異を倒したってのにこれといった変化、おこりませんね」
「…だよな。本当だったら新しい闇の怪異が生まれてどこかでパニックが起きる…はずなんだけどな」
伊刻と八上がそう話していると水越が部屋に入ってきた。
「まぁ、何もないことは良いことだろ?パニックなんて起こって良いものじゃないしさ……」
そんな事を言う水越だが、その言葉の裏には何か不安を抱えているようだった。
最近、コロナウイルスという病気が流行り出した影響で【病の怪異】が活性化し始めた。という報告を匿名で受けたが、ヴァルフォールはまだ【病の怪異】を観測できずにいた。
加えて、世界各地で強力な怪異が急に消失する事件も起きていた。
新たな闇の怪異の出現がなく、
病の怪異の観測が出来なくて、
強力な怪異が消失して、
そんな状況だ。
皆、どこかで焦りを感じている。
ーーーーー
キャハッ!!
「この世はぜぇーんぶ私の物!」
月明かりに照らされてとある女が舞い踊った。
ーーーーー
「ーー。俺はいつまで傍観者でいなければならない?」
純白の羽が舞い上がる。
「会長…例の件ですが…やはり、ミケの部下が動いていました。」
「そうか…水越にも報告しておいてくれ。」
「演技でも、外道扱いされるのは悲しいからな」
ご精読ありがとうございました。
誤字脱字とかそういうのありましたら報告おねしゃす
ワイルズにうつつを抜かしておりました。




