第六十七話 氷夜の対話
わけがわからなくて、「お前は何が言いたい?」となったらいくらでも質問してください……
サクラ達が【龍の怪異】……?と戦っている最中、僕は【夜の怪異】に連れられて、海辺に来た。
「なにを……」
『お前は、他の怪異と根本から違う。その理由はよく分からないが、お前の出自を聞くに……【氷】の本体から心だけを抽出したってところに深い理由があると思うんだ。』
「心……そもそも、心ってなんなんだろうね……僕は本体と切り離されただけの存在なのに、本体と別の個体のように認識している。」
【夜】は考えるような仕草を取り、一人で納得したように頷く。
それを見て僕はよく分からず、首を傾げる
すると、【夜】は微笑んで説明を始めた。
『俺の仮説では、お前の身体は【怪異】から、人に近づいている筈なんだ。そして、そんな状態でも【怪異】の力を行使しているのなら、それはまさしく、【怪人】だ。』
「僕が……怪人?」
『人が【怪人】に、【怪人】が【怪異】に【怪異】が【神】になるように……逆があってもよかったんだ。
というよりも、既に似た事例はあった。
【戦争の怪異】は第二次世界大戦の時、【神】へ歩みを一歩進めた。
しかしその後、水越争太により【神】から【怪異】に戻された【戦争】は水越争太の体内に契約という形で封印された。』
「じゃあ、それと同じで、僕は【怪異】から【怪人】に?」
『しかしその仮説だと、人は【怪人】に上がるために【怪異】を必要としないことになる。
だって、人を必要とせずとも【怪異】であるお前は【怪人】になった……』
全てを見ている。と言う【夜】がそう言うのなら、これまでそのような事例は無かったのかな……
じゃ、そもそもが違うのかな……考える場所が違うとしたら?
「……スタート地点が違うって可能性は?」
『スタート地点?』
【夜】が僕の放った突拍子のない言葉に困惑しつつも問い返した。
それに対して頭の中を整理しながら話す。
「人と【怪異】はどちらもスタート地点。
人は人が拡張性のあるゴール地点。
【怪異】は【神】がゴール地点。
人のゴールの拡張性は【怪異】。
だから、【怪異】からしたら一歩下がることになるけど、人からしたら【怪異】と融合する事で新たなスタート地点に立てる。」
『だとしたら、【怪異】はなんで人になれる。』
「サクラを見てきた。
サクラは【人の怪異】で、人の性質を以て戦っていた。
そして、僕が見てきた中で人は流動体。いくらでも形を変えられていた。
でも、それはどちらかと言うと、人の性質じゃない。【怪異】の性質だ。」
『見えないな……』
「つまり、【怪異】は人と同じ性質を持つってことにならない?」
『ん?』
「えっと、だから、人は何者にもなれる。どんな姿にも、どんな性格にもなれる。
それは【怪異】も同じでしょ?」
『……"魔法"か。』
「魔法?」
『仮説だが、元々【怪異】は人と共にあるべき存在で、それがなんらかの原因……"世界の創世"で分たれた。その結果、人は【神】になる道を失い、【怪異】は人と共にあった影響で人の性質を受け継いだ。』
「その人の性質は、流動性とか、何にでもなれる事じゃなくて、"心"?」
『心を得た"魔法"それが、【怪異】の正体…』
「まって!!じゃあ、【怪異】と【怪人】の違いって何?」
『魂』
「魂…?」
『前に言っただろう?俺はすべてを見てきた。それは、これまで紡がれてきた幾つもの世界を、世界の創世で作り替えられてきたいくつもの世界を見てきた。
その中で、共通する"名前"がいくつもあった。それはたまたまではなく、"魂"が"名前"に結び付けられていたからだった。』
「魂が名前……郡山レン…」
『そういうことだ。お前は自分に魂を付与したんだ。
前例はあった。"崇拝されし者"だ。
【花の怪異】コノハナサクヤヒメや、【炎の怪異】カグツチだ。
奴らは人間から崇拝され、神の名を当てはめられた結果、神が如き力を得た。』
「名前が、力になる……」
『そう考えると、俺にこれほどの力があるのも納得だ。
俺にも名前はある。』
「なるほどね……あぁ、そうだ。
僕の授業は?」
『あっ。』
完全に会話にのめり込んでいて、全部忘れていた。
『お前は、【怪人】だ。だから、概念武装を手に入れてもらう。』
「概念武装……!?」
『コイツを相手にして……ね』
【夜】が指を鳴らす。
海が揺れ、波が立つ。
海から巨影が現れ、僕は後退りする。
「うっわ……マジか」
それは、永久凍土の大陸で戦闘を繰り広げた僕の本体。
『【擬•氷の怪異】……さぁ、氷を凍らせてみせな。郡山レン!!』
「面白い!!」
ご精読ありがとうございました。
言語化むっず!?!?
でも、小学校の頃から考えていた設定をようやく開示し始めれたので一人で勝手に楽しくなってます笑笑




