第六十六話 悪辣龍巣再戦
彩花とレンが目を覚まし、人の体に擬態した【夜】と忍を交えて5人で話を始めた。
最初の一言は意外にもレンが発した。
「あの、僕って、怪異なんですよ。
それでもやっぱり修行って効果あるんですか?」
それに対して【夜】は答えた。
『あるよ。
怪異は、生まれながらにして自分をよく知っている。だから、鍛錬を行わない。
でもさ、それってつまり傲慢が故の行動なの。
だから、怪異は怪人になった途端強くなることが多い。
それは、人が自分の力を更に知ろうとするからだ。
でもね、君は違うでしょ?
君は、明らかに【怪異】として異質だ。』
「えへへぇ」
何故かレンは照れる。
そして【夜】は続ける。
『そのくせして、お前達はあまりにも弱すぎる!!』
【夜】が背中から翼を出し、俺と彩花にその先端を突きつける。
『お前達が弱い理由は忍から聞いたな?』
ああ、聞かされましたとも。
そして、気がつきましたとも。
彩花とも記憶のすり合わせを行なっているため、彩花も俺みたいにバツが悪そうに俯く。
『だから、俺がお前らを強くする。』
それはありがたい。
『第一の試練だ。彩花は【花】の力だけ、サクラは【人】の力だけで、もう一度、超えてみせろよ……悪辣なる龍をな?』
【夜】はアルトライから飛び出し、体を変形させる。
その姿はさっきまでの無駄にデカい龍の姿と違った。
天を覆い尽くさんほど大きな翼を持ったドラゴンだ。
星の無い夜のように真っ暗だが、その姿の輪郭はよくわかる。
「【龍の怪異】……!?」
「なんで!?なんで、その姿を知っているの!?」
『全てを見ていたんだ……再現は容易だ。』
俺は彩花と顔を見合わせて、頷く。
さっき提示された通り、俺は【人】の力だけ、彩花は【花】の力だけを用いて、再び【龍】を穿つ。
「また戦うことになるなんてね……」
彩花が万花万蕾の太刀を抜き、呟く。
俺もそれに対するように呟く。
「絶対に負けないから、大丈夫」
『かっこいいねぇ……』
いつの間にか隣に【夜】が立っていた。
「は?」
じゃあ、空にいるのはなんだ?
『あれに俺の意思が入ったらお前らなんて簡単に倒せるからな。あれは、"【龍】の複製体"だと思っておけ。ちゃんと、喋るぜ』
空に浮かぶ【擬龍】を見上げる。
『あぁ、久方ぶりだな。』
その声は、禍々しく、恐ろしく、そして、忌々しい。
まさに【龍】そのものだ。
「はっ、気持ち悪ぃことしやがる」
『じゃあ、頑張れ〜』
【夜】はアルトライに入っていく。
それと同時に、【擬龍】は空で旋回し、喉元を光らせる。
その挙動を俺たちは知っている。
「龍炎……」
とてつもない熱量と爆風、辺り一体は光に包まれた。
煙が晴れ、辺り一面は焦土に成り果てた。
しかし、彩花とサクラは無傷でそこに立っていた。
何度も喰らい、何度も放ったその一撃を、防げないわけがない。
防げなければならない。
「ここからだ」「わかってるよ、サクラ」
サクラは体の一部を切り取って、刀の形に変形させる。
彩花とサクラは武器を構えて、臨戦体制をとる。
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龍炎を無傷で防ぎ切ったサクラ達を見て、【夜】は呟く。
『当然の第一関門突破かな〜』
指を鳴らすと、焦土と化した街を修復する。
その後、【夜】は振り返って、レンを見つめる。
『……さぁ、郡山レン……俺たちは俺たちで、怪異同士の高め合いを始めよう。』
【夜】の圧力を感じながらもレンは身構える。
「了解……です」
ご精読ありがとうございました。
忌々しい題名ですなぁ
さぁ、再戦の連戦を始めましょう




