第9話 決意
浜崎くんのことをどんどん好きになっていく。
こんな気持ちは初めてだった。
山野と別れた後、同じ学年の翔太とつき合ったが、
上手くいかず、結局すぐに別れることになった。
山野も翔太も数ヶ月しか続かなかった。
でも浜崎くんは違う。
頼りがいがあるし、私を守ってくれる。
私は幸せだった。
初夏のある日、有里に呼び出された。
会うなり
「ねえ、花って浜崎くんとつき合ってる?」と
強い口調で聞かれた。
本当の事を話そうか、迷った末に
「つき合ってないよ。」と答えた。
有里は
「本当に?」と言う。
「本当だよ。」と私は言った。
有里は怒りっぽく、自分の思い通りにならないと気が済まない性格だ。
今打ち明けたら関係が壊れる気がして言い出せなかった。
そもそも内緒でつき合った時点でもう壊れてしまっているのかも知れない。
有里は安心した様子で、
「みさきも誘ってカラオケ行こう!」と言った。
有里は数日前、浜崎くんに告白したらしい。
みさきから聞いた。
みさきが
「だけど断られたらしいよ。」と言った。
私は
「あのさ、みさきに話したい事があるの。二人だけで話せない?」
と聞くと、
「いいよ、じゃあ明日話そうよ。」
みさきは微笑んでそう言った。
みさきにはちゃんと話したい。
たとえ分かってくれなくても。
そう決意した夜だった。