第7話 初めて
中学二年の春。
相変わらず学校へは行っていない。
有里は先輩グループの一人、浜崎くんの事が好きだった。
そんなある日、私は浜崎くんから告白された。
浜崎くんは有里の気持ちも知っている。
実は私も少し前から浜崎くんの事を好きになっていた。
だけど有里のことを考えて諦めようと思っていた。
浜崎くんにその気持ちを伝えると
「誰にも内緒でつき合うのはどう?」と聞かれて私は迷った。
「返事はいつでも良いから考えてほしい」と言われ、
「分かった。」と返事をした。
どうしようかとあれこれ考えた。
浜崎くんの事は好きだ。
だけど有里の事も好きだ。
有里に相談しようかと思ったが一瞬でやめた。
有里は了承してくれないと分かっている。
内緒、でなら、、
有里にも知られずにつき合うことが出来る。
不覚にもこの時、そう思ってしまったのだ。
そして数日後、浜崎くんに「内緒でならつき合う」と伝えた。
浜崎くんはすごく喜んでくれた。
同時に罪悪感もあったが私は浜崎くんを選んだ。
浜崎くんはふたつ年上ということもあって、リードしてくれるしとても優しい。
ポケベルで連絡を取り合い、浜崎くんの高校が終わる夕方頃、誰も来ないであろう遠くの公園で会った。
二人になるとなんだか緊張してうまく話せない。
浜崎くんは明るくて体つきも良い。
毎日ランニングしたり、筋トレをしているそうだ。
顔も整っていてとにかく優しい。
友達の事、学校での事など色んな話をした。
私は浜崎くんとつき合って良かったと思った。だんだん日が落ちてきて、
「そろそろ帰ろうか」と私が言った。
浜崎くんは少し黙って、
「花、キスしてもいい?」
と言った。
高なる胸の鼓動を感じながら、
私は「うん。」と言った。
夕暮れの公園。
二人はキスをした。
14歳、私、宮下花のファーストキスだった。