第6話 変化
あれから私は、あまり学校へ行かなくなった。
学校で起きること全てが面倒に思えてきたからだ。
部活で水泳部に入っていた私は一日の授業が終わり、部活が始まる夕方頃には学校へ行く。
部活は好きだった。部員以外とは会わなくて済む。
夏は水泳、冬は筋トレと8kmマラソンをする。
日中は私とみさき、あと、仲良くなった有里
この三人で二つ上の男の先輩グループとカラオケに行くことがほとんどだった。
朝の10時から夕方まで遊び歩くことが多くなった。
この頃はまだ携帯電話が普及しておらず、ポケベルというものを持っていた。
そのポケベルで連絡を取り合い遊んでいた。
将来なにをしたいのか、何になりたいのか、そんなことはどうでも良かった。
この生活は楽しい。
好きな事をして好きな友達と自由に笑う。
それだけで良いと思っていた。
私はそのうち夜も遊ぶようになり、先輩のバイクに乗せてもらって遠くへ行ったり、公園やビルの下でたむろすることが多くなった。
それでもふっと我に返るとき、
そのときはいつも山野が頭に浮かぶ。
あれから私達は会っていない。
山野がポケベルを持っているのかさえ知らない。
持っていたとしても、連絡先も分からない。
冬の真夜中
「会いたいなぁ。」と白く小さな声で呟いた。