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第2話 始まり
「宮下!」
朝の通学中、校門の前で声をかけられた。
「佐々木、どうしたの?」
「これ、山野から。」交換ノートを渡された。
「あ、ありがとう。」
「あいつ、渡すの恥ずかしいから代わりに渡してくれって頼まれてさ。自分で渡せよな、じゃあ!」
と言って佐々木は走って行った。
佐々木は私と山野の共通の友達だ。
すぐにでも中を見たかったが、学校で見るのは恥ずかしいのですぐに鞄にしまった。
書かれている内容が気になって仕方がない。
早く帰って読みたい。
教室に入るとすぐに山野と目が合った。
照れくさそうに頭をかいている。
私は鞄からノートを少し出して頷いた。
山野も笑いながら頷いた。
ドキドキする。
初めての彼氏、初めての交換日記。
学校、早く終わらないかなあ。
その日の授業は全く頭に入らなかった。