第12話 午前0時
その日の23時頃に浜崎くんから電話がかかってきた。
少しでも良いから会いたいと。
私はすぐに言われた場所へと向かった。
どうしたのだろう。
やっぱり何かあったのかな。
こんな時間に会いたいと言われたのは初めてだった。
待ち合わせ場所に浜崎くんの姿が見えた。
座り込んで下を向いている。
「浜崎くん?」
と声をかけると目を押さえながら私の方を向いた。
「こんな時間にごめん。会いたくて。」
と私を抱き寄せた。
「何があったの。大丈夫なの?」
と聞くと浜崎くんは押さえていた手を離して目を開けた。
血が出ている。
出ているというより流れている。
「目どうしたの。病院に行こう。」
と浜崎くんの手を引っ張る私に
「大丈夫。喧嘩でちょっと目をやられただけだから。血はすぐに止まるよ。心配しなくていい。」
と言った。
そしてもう一度私を抱き寄せ
「花、会いたかった。」
午前0時、浜崎くんが耳元でそう囁いた。
家に戻ったのは夜中の1時だった。
あの後私達は抱きしめ合いながら時間を過ごした。
何だか悲しくなってきて私は泣きながら浜崎くんの目を何度もハンカチで拭った。
あんな目になるまで喧嘩をするなんて。
暴走族がどういうものなのか、何をしているのか
知っているつもりだった。
だけど...
分かった気になっていただけだ。
このまま浜崎くんと一緒にいても良いのか。
もっとひどい状況になるかもしれない。
その時に私は浜崎くんのことを心から好きでいられるのだろうか。
答えが見つからないまま、眠たくなってきて
私は目を閉じた。




