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青を翔ける  作者: 倉津野陸斗
第4章 思いの丈
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ひかり

「久しぶりだ」


 そう言う俺に、雄也が振り返りながら言う。


「本当? めっちゃ快適だよ」


 そう答える雄也についてホームへ向かう。エスカレーターを上がりきると、すでにひかり号は到着していた。車内は清掃中らしく、窓越しに忙しなく動き回る清掃員たちの姿が見える。

 雄也は慣れた様子で指定された場所へと進んでいき、その後ろを俺が追う。


 清掃が終わるとすぐに乗車開始のアナウンスが流れ、俺たちは乗り込んだ。九号車――つまり、グリーン車だ。


「なんか、雄也っていつもグリーン車だよな」


 雄也は笑いながら、少し得意げに言う。


「一ヶ月前に予約したから割引効いてるんだよ。安くなるし、座席も広いし最高でしょ」


 確かに、広々としたシートは普通車とは違うゆとりを感じさせる。特に長時間の移動では、この快適さがありがたい。雄也のこういうところ、無駄がなくて感心する。


 席に着くと、どこか新鮮な感覚が胸に広がった。昔乗った新幹線と何かが違う気がする。シートの質感、窓から差し込む光、全体に漂う落ち着いた雰囲気――きっと、それは目の前の雄也が隣にいるからなのだろう。


「ほら、もうすぐ出発だよ」


 雄也が窓の外を指差しながら笑う。その笑顔に、胸がじんわりと温かくなるのを感じながら、俺は視線を外に向けた。新幹線が動き出す瞬間が、これほど楽しみだと思うのは初めてだった。


「なんか、ちょっと変わった?」


 そう問いかけると、隣の雄也が少し首を傾げながら答える。


「何が?」


「新幹線がなんか昔と違う気がする」


「これ、N700Sっていう新型の車両なの。電光掲示板も液晶になってるし、間接照明になったし、いろいろ進化したよ」


「へー、すげぇ」


 雄也の説明に感心しながら、新幹線の車内を見回す。確かに昔の新幹線とは違う。

 車内全体がどこか柔らかく明るい雰囲気で、落ち着いたデザインが目に映る。技術の進歩を感じる細やかな工夫が随所に見られるようだった。


 シートに座ると、そのフカフカとした感触に思わずため息が漏れる。長時間の移動でも快適に過ごせそうだ。


「これ、めっちゃ快適だな」


 そう呟きながら、座り心地を確かめていると、定刻通りに新幹線は静かに滑り出した。車内は驚くほど静かで、まるで揺れている感覚すらない。


「すげぇ、今の新幹線」


「だろ?」


 雄也が少し得意げにニヤリと笑う。その笑顔に思わず心が和む。こいつは本当に新しいものが好きで、しかもよく調べている。そういうところが、なんだか子どもっぽくもあり、大人びて見える瞬間もあるから不思議だ。


(なんだよ、可愛いやつだな)


 心の中で密かにそう思いながら、再び窓の外に視線を向ける。東京駅を出発した新幹線は、しばらくして独特のオルゴールのような音楽を車内に流した。

 それが妙に心地よく、雄也と二人で旅をしている実感がじわじわと湧いてくる。


 座席に深く腰を預けると、隣の雄也も同じようにリラックスしているのが分かった。


 これから始まる時間が、どれほど楽しいものになるのか、俺はまだ知る由もなかった。

 そして、期待で胸が膨らんでいく。

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