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激戦の果てに

アルド「おいおい、なんだいその姿。真っ当な人間がしていい姿じゃないぞ。」

蓮斗「.........」

アルド「(返答は無し、見た感じ制御してた黒王戦鬼を割合的に表に出したのか...器用だな。)」

蓮斗「アルド・グレイヴ...」

アルド「なんだ?祇梨蓮斗。」

蓮斗「お前は、さっき、この国から手を引く、と言ったな...」

アルド「あぁ、そうだ。」

アルド「(呼び捨てに口調...性格そのものが変わってると見ていいな。だが、一定の自我は残っているな。)」

蓮斗「お前は、人を殺した事があるか...?」

アルド「.....鏖殺公なんて称号を持っちゃいるが、今まで人間は殺したことは無いよ。」

蓮斗「そう、か...」

アルド「(こっちの情報を引き出してるのか...?それにしては戦闘に関係ないものだな...)」

蓮斗「1つ、約束しろ...」

アルド「なんだ?内容次第だが聞いてやる。」

蓮斗「もし俺に負けたら、パンデモニウムをやめろ...」

アルド「...なぜ?」

蓮斗「俺は、お前の事を殺したくない...」

アルド「!!」

アルド・グレイヴは祇梨蓮斗のその言葉に驚愕する。今の今まで命の取り合いをしていた相手からの突然の予想外の言葉。困惑するなと言う方が無理な話だろう。

アルド「お前、それがどういう意味か分かった上で言ってるのか?俺この国に戦争をしかけた大罪人だぞ?正気の沙汰じゃない。」

蓮斗「じゃあこっちも聞くが、なぜお前は特殊異能を使っていないんだ?」

アルド「お前、気付いて...?」

蓮斗「お前は、自分の能力を霊魂破壊と言っていたが、俺の魂にも、天羽の魂にも、女王の魂にだって傷は付いちゃいなかった!」

アルド「.....!!」

蓮斗「お前は確かにパンデモニウムの大幹部だ。だが、その本質はただ戦う事が好きなただの男だ!」

アルド・グレイヴは祇梨蓮斗のその言葉が核心をついている事に気が付いていた。しかしそれを認めてしまえば自身の矜恃を破る事になる。

アルド「うるせぇ、俺はパンデモニウムの大幹部、アルド・グレイヴだ。そんな事、ありは...」

蓮斗「だったらなんで、俺も天羽も、女王も、この国だって、最初の初撃で滅ぼせた筈だ...!グフッ!!」

アルド「.........!!!」

血を吐きながらそう問いかける祇梨蓮斗の姿を目にしアルド・グレイヴは言葉に詰まる。

アルド「そうだったとしても、俺は大災害だ!人に理解されず、人に討たれる為にここに存在してる!俺はそういう存在なんだよ!」

蓮斗「.........」

アルド「俺という存在に、勝てない者に意味は無い!もし、お前のその願いを叶えたいなら、俺を倒してみせろ!!!」

蓮斗「そのつもりだ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シエル「女王陛下、ご無事ですか!?」

イルア「シエルか...お前の方こそ傷が大丈夫なのか?敵にボロボロにされたのだろう?」

シエル「私の傷は祇梨君に治して貰いました。とりあえず話は後です。今はここを離れましょう!」

イルア「分かった...して、現在の被害状況は...?」

シエル「それが、城下町全体の約3%の建物が倒壊、負傷者は出ていますが今の所死者がでたとの報告は上がってきていません。」

イルア「何...?これ程の攻撃を受けてたったそれだけの被害だと?」

シエル「はい、何らかの影響で怪物達が民間人に危害を加えていないのです。」

イルア「一体何が起こっているのだ...?」

シエル「その、そんな事より、驚きましたね...」

イルア「あぁ...」

シエル「まさか祇梨君が、黒王戦鬼だったとは...」

イルア「私も驚いている。少し前から気にかかってはいたが、まさかこんな事が起きえるのだな...」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

天羽「二重詠唱・空縮鏖嵐」

滝壺「終わった、ね...」

天羽「はい、特定神霊、全討伐完了です。」

滝壺「体の方は大丈夫?」

天羽「はい、まだまだ余力はあります。それより、ずっと邪神達を引き付けてましたけど魔力の方は大丈夫ですか?」

滝壺「こっちも問題ないよ。」

天羽「それじゃあ急いで祇梨の援護に...」

滝壺「それはやめといた方がいい。」

天羽「な!?なんでですか!急いで行かないとアイツが危ないですよ!?」

滝壺「映像を見ろ。」

天羽「映像...?」

滝壺のその言葉通り恐る恐る空に流れる映像を見る。そこには今まで見たことの無い、苛烈な戦いが映し出されていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蓮斗「はぁぁぁぁ!!」

アルド「おらぁぁぁぁ!!」

正面からの殴り合い、しかしそれは何人であろうと介入を許さない男の、信念をかけた戦い。

蓮斗「雷系統上位魔法・雷帝回蹴!」

アルド「ぐぁ!」

互いに防御を捨て、相手の攻撃を真正面から受け拳を返す。アルド・グレイヴは祇梨蓮斗の上位魔法を纏った蹴りを受け吹き飛ぶ。

蓮斗「二重詠唱・黒掌黎滅!」

アルド「死霊系統最上位魔法・死霊之群」

魔法と魔法が打ち消しあい消滅する。衝撃波を物ともせず互いに突っ込む。

アルド「まだまだぁ!!!」

蓮斗「負けねぇぇぇ!!!」

互いに負けられない、覚悟と根性の戦い。拳で打つ度響く重く鈍い肉を打つ音。しかし、二人はそんな事気にもとめず戦いを続ける。

アルド「(こいつ、やはり時間を追う毎に力が増してやがる!さっきの詠唱、あれはあくまで形!今の理性が徐々に無くなっていく姿を見れば、これは魔法ではなく、意図的な暴走!半暴走状態か!)」

蓮斗「余所見してんじゃねぇよ!」

アルド「ぐぅ!うるせぇ!」

その言葉と共にアルド・グレイヴは大地を凄まじい力で踏み付ける。瞬間、大地は隆起し計10本の岩の触手を生み出し祇梨蓮斗に襲いかかる。

蓮斗「しゃらくせぇ!!!」

祇梨蓮斗は超高速で走り触手を避けながら魔法を放つ。1本、また1本と破壊していく。超高速戦闘、一瞬の力の緩みが命取り。この場に立つ2人はそれを本能で理解し、集中を切らさない。

蓮斗「三重詠唱・黒来黎滅〝黒消〟」

アルド「ちっ!!」

蓮斗「ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

魔法の構築、展開のプロセスを無視し一括で発動させた代償で祇梨蓮斗の体に激痛が走る。しかしそれを無視しアルド・グレイヴに殴り掛かる。増強された魔法を受けきれず左腕が潰れたアルド・グレイヴも回復を待たずに戦闘を再開する。

アルド「傷が再生しない!これがお前の魔法の効果か!?」

蓮斗「あぁ、そうだ!俺の魔法は闇魔法!その本質は全ての系統を飲み込み黒に染め無効化する!それの三重詠唱だ!しばらく超速再生は使えねぇぞ!」

アルド「厄介だな!!!」

その言葉を皮切りに再び殴り合いに突入。ダメージを負っているにも関わらずその動きには一切の衰えはなかった。

アルド「雷系統最上位魔法・千変万化〝神雷〟」

超高速詠唱、回避しようとした祇梨蓮斗であったがアルド・グレイヴに拘束されこの攻撃を受ける事になる。

蓮斗「なっ!?」

アルド「逃げずに一緒に食らおうぜ!」

蓮斗「はなs..........」

声をあげるよりも早く神雷が2人に降り注ぐ。数千数万と変化する雷に打たれ2人の体は黒く焼け焦げる。

蓮斗「がはっ........!!」

アルド「く、くく...!さすがに自爆は堪えるな...!!だが、この無茶に見合うダメージが、入ったから、良しとしよう...!」

蓮斗「ア゛ア゛ア゛!!」

ダメージを負っても尚祇梨蓮斗の動きは止まらない。しかし先程までのスピードは出ていなかった。

アルド「ゲホッ、、さっきまでの、超スピードじゃねぇな...!確かにお前のその力は俺を超えるものだ、だが、お前はまだその力を完全には使い切れてない!だから、互角なんだよ...!」

蓮斗「ぜぇ...ぜぇ...」

互いに息が上がり魔法の出力も落ち始めた。それに呼応するかの様に祇梨蓮斗の意識が削られ始める。

蓮斗「(くそ...因子で縛るのもそろそろ限界か...だんだん、抑えが効かなくなってきた....)」

アルド「たく.....初めてだよ、お前みたいな奴に会ったのは。敵を殺さないなんて、夢物語でも追いかけてるのか?」

蓮斗「さぁな...ただ、俺はお前が、根っからの悪人に思えないだけだ。」

アルド「はは、なんだそりゃ。大層な評価しすぎなんだよ。...さっきお前が言ったあの言葉、まだ、変えるつもりはないのか?」

蓮斗「変えるつもりは無い。お前には生きて、今までやって来た事の罪滅ぼしをさせる。そして、友達に、なりたいもんだよ.....」

アルド「友達....ハハハ!まさか、そこまで頭お花畑だとは思わなかったよ。」

蓮斗「なんとでも言え。俺はお前に勝って、言った事、全部実現させる。」

アルド「ハハ、ほんと、嫌いじゃないよ、お前。」

2人が立ち上がり、お互いに振りかぶり拳がぶつかり合う。魔法の出力は落ちたが身体能力自体にはなんの影響もない。二人はそれぞれ広報に吹っ飛び、数百mの距離が空いた。

蓮斗「...俺はお前を殺さない...でも、お前はとてつもなく、強い...だから、殺すつもりで、行くぞ...!」

アルド「あぁ、来い!!!」

蓮斗「黒い空、夜の闇、這い寄る混沌、滅びの夢、血の雨、散乱する骸、黒き鬼、過去の幻影」

アルド「呼応する大地、何も無い地平線、光超える体、刹那の戦い、響く轟音、閃光の攻防」

蓮斗「闇系統二重詠唱・黒王鏖災鬼」

アルド「災速之神・閃乱光狂徒」

2人同時に発動した長文詠唱。魔法の名を呟くと同時に2人の姿が消えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

姿が消えたその刹那、その場を爆音と衝撃波が襲った。2人は今真正面からぶつかった。

蓮斗「はぁぁ!!」

アルド「噴ッ!!」

2人の凄まじい打撃がぶつかり合い周囲の木々が、山が、大地が消し飛ぶ。もはや、その姿は目で追うことすら困難なスピードへと至っていた。

蓮斗「闇系統最上位魔法・死界黎滅」

アルド「死霊系統最上位魔法・魍魎之波」

互いに魔法での迎撃&隙作り。その攻防は正しく大災害がぶつかり合う天変地異そのものだった。

蓮斗「(制限を無くした分、威力が上がっていたのは予想外だが、このまま押し切る!)」

アルド・グレイヴの腹に祇梨蓮斗の蹴りが入りアルド・グレイヴの体は上空へと飛ばされる。それを追いかける為に祇梨蓮斗は右腕に闇を集め翼を形成する。

アルド「なんでもアリか...!」

蓮斗「お前倒すまで、なんだってやってやる!!」

そう叫ぶと空中での攻防に移る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シエル「...........!!」

イルア「何も、見えない...!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神崎「見えないけど、頑張って祇梨君!」

香織「蓮斗がんばれ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

天羽「行け、祇梨!」

滝壺「君ならやれる、祇梨君。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国民「「がんばれーーーー!!!」」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今何が起きているかはごく一部の者しか見えていない。しかし、神聖国家アルベシアの国民は、たった一人の少年に対して精一杯の応援を送る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アルド「(右腕が治った!これなら!)」

蓮斗「おらぁぁぁぁ!!」

祇梨蓮斗の渾身の拳をアルド・グレイヴは両手で止めに入る。

蓮斗「(再生したのか....!だが、)」

蓮斗「負けねぇぇぇ!!!」

祇梨蓮斗の拳が徐々にアルド・グレイヴの防御を上回り始める。

アルド「うおぉぉぉぉぉ!!」

絶叫にすら聞こえる雄叫び。祇梨蓮斗とアルド・グレイヴの戦いはもうすぐ終わる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フーガ「あルドさマ゛ー...ジねぇ、グそがキいィ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蓮斗「っ.....!!」

完全な認識外からの攻撃、祇梨蓮斗はもはやこの攻撃を躱すすべを持っていなかった。






天羽「破断〝空絶〟」

その言葉と共に邪神の攻撃は切り裂かれる。そこには、天羽綾人の姿があった。それに気がついたアルド・グレイヴは最上位魔法をノールックで放ち天羽を吹っ飛ばす。

天羽「祇梨!約束まで残り30秒だ!一気に行けぇぇ!!」

蓮斗「天羽...ありがとう!」

その言葉をきいた祇梨蓮斗は再びアルド・グレイヴに目を移す。

蓮斗「アルド・グレイヴ...お前は俺なんかより圧倒的に強い...!だが、今回は勝たせて貰うぞ!!!」

アルド「ぐぅ、ぅぅぅあああああ!!」

祇梨蓮斗の腕から血飛沫が上がる。それと同時、アルド・グレイヴの防御が完全に破綻した。

蓮斗「貰ったぁぁぁぁぁ!!!!」

最後の力を拳に集中させアルド・グレイヴめがけ解き放つ。

アルド「....お前の勝ちだ、祇梨蓮斗。」

瞬間、祇梨蓮斗の拳はアルド・グレイヴを捉えた。全身全霊の攻撃を受けたアルド・グレイヴは地面へと凄まじいスピードで叩きつけられた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

地面へ倒れるアルド・グレイヴへ祇梨蓮斗が話しかける。

蓮斗「今回は、色々と巡り合わせがあったが、お前との戦いは、楽しかった。」

アルド「そうかよ...こうして負けて、生かされて、約束守らねぇのは、ダサすぎるな...」

アルド「俺の負けだ、お前との約束を果たそう...」

その言葉と共に、戦争は終わった。

かのように思えた。




アルド「.....!逃げろ!」

蓮斗「アルド・グレイヴ...?」

突き飛ばされた祇梨蓮斗はアルド・グレイヴに目を向ける。そこには剣で貫かれたアルド・グレイヴの姿があった。

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