魔法の授業と嫌な感覚。
午前の授業が終わり私たちは4人で学食に来ていた。しかし模擬戦で本気で動き回ったせいか体の調子が少し悪い。それが表情に出ていたのか香織が心配そうに話しかけてきた。
香織「蓮斗、大丈夫?顔色が悪いように見えるけど、無理してない?」
蓮斗「はい大丈夫ですよ。先程少々激しく動きすぎて疲れが出ちゃっただけですので。」
香織「それなら、、良いんだけど、、、」
そう言い香織は前を歩く翔さんと天羽の元に歩いていった。香織はたまにとてつもない勘の良さを発揮することがあるから内心焦ってしまった
蓮斗「(何故か先程の模擬戦から体に嫌な感覚がある。これは一体ーーーーーー)」
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午後の授業が始まった。内容は魔力と属性についてのものだった。
先生「まず魔力とはこの世界に充満するモノであり生きとし生ける者全てに宿るとされています。その魔力には複数の属性があり主な属性を五大属性といいその他の属性を番外属性と言います。」
話を聞いている最中も午前中から感じている嫌な感覚が続いている。まるで体の奥を枯れた草木がまとわりついて来る様な形容し難い不快な感覚。冷や汗がとめどなく流れていくのを感じる。ふと視線を右に逸らすと香織と目が合った。香織は心配そうにこちらを伺っていたので心配させまいと笑顔を見せた。それはそれとしてこの感覚はいつまで続くのか内心焦りがでてきた。
先生「番外属性の主に知られている属性は【闇・神聖・特質】の3つだ。この3つの中でもっとも使用者が多いとされる番外属性は【神聖】だ。邪を祓い生命に安らぎを齎す、そう言われている。そしてその次が【特質】属性だ。特質属性とは一言で言えば摩訶不思議な属性だ。例えば火魔法に水の性質が加わったかの様なモノで、言い表せる言葉が意味不明の一言に尽きる属性だ。そして最後が【闇】だ。」
その一言だった。その一言と共に私がずっと感じていた不快感がさらに強くなった。先程まではまだ少し触られてるくらいの感覚だったが、「闇」の一言でその感覚が体を激しく掻き毟るかの様なものに変化した。
先生「闇属性とは現在使用できるものは1人としていない。ましてや世界の歴史でも一人しかいない。だがそれと同時に闇属性は世界で最も忌み嫌われている属性だ。」
教室に居る全ての生徒は理解ができないのか首を傾げている。
先生「一国を壊滅寸前にまで追い込み数十万の命と引替えに討伐されたからだ。」
その瞬間全員が戦慄した。当たり前だ、たった一人が数十万規模で人を殺し、国を壊滅寸前にまで追い込んだのだ。驚かない方がおかしい。しかし、この話を聞いていると何故か体の不快感が増していっている。このままでは倒れてしまうと思い私は保健室に行くため先生に声をかけようとした。
「ユルサナイ」
蓮斗「は?」
「ユルサナイユルサナイユルサナイ」
蓮斗「何だこの声.....」
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」
「スベテホロボシテヤル」
その一言を聞いた瞬間私の目にはある光景が見えた。大勢の人間がその場で絶命し全てが炎に包まれるもの。地獄。その一言に尽きるものだった。そしてその地獄の中心に1人の〝鬼〟が立っていた。そしてその〝鬼〟はこちらに目を向けこう言った。
「ユルサナイ」
その瞬間私は意識を手放し力無くその場に倒れ込んだ。でもあの〝鬼〟何故か他人事には思えなかった