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観光

女王との謁見も終わり私たちは晴れて神聖国家アルベシアへと足を踏み入れた。大国の中央街という事もあり活気が溢れ人の往来も多かった。

蓮斗「多いですね、人。」

天羽「流石大国。色々な種族がいるな。俺エルフ生で見るの初めてだわ。」

香織「私も〜。神聖国家って名前だからもっと堅苦しい場所だと思ってた。」

そんなことを話しながら歩いていると屋台が出ているのが目に入った。

神崎「お祭りかな?」

滝壺「あぁ、今日はアルベシアの豊穣祭なんだよ。なんでも、上半期の収穫量と下半期の豊作を願ったお祭りだそうだよ。」

蓮斗「なるほど、ならこの人の多さはお祭りが関係してたんですね。」

滝壺「そうだろうね。俺達も行ってみるか?」

香織「え、いいんですか!」

滝壺「訓練を始めるにしても相手さん方の準備もあるだろうし、今日1日くらい羽を伸ばしてもバチは当たらないよ。」

香織「じゃぁ、行っちゃおー!」

神崎「おー!!」

蓮斗「はしゃぎすぎちゃダメですよー!」

天羽「美月和さん達お祭り好きそうだもんな。」

滝壺「俺達も行こうか。」

蓮斗&天羽「はい。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

屋台を見渡せばアルベシアの特産品やアクセサリー、果ては魔法具なんかも売り出されていた。

蓮斗「今日は豊穣祭なのでは...?」

滝壺「この魔法具にもアルベシアで作られた植物が使われてるんだよ。アルベシアの土地は地脈の流れが活発でその影響を受けた土壌で作られた植物なんかは魔力を通しやすくて魔法具の染料なんかに使われるんだよ。」

天羽「はえー、よく考えられてるんですね。」

滝壺「まぁそういう関係で豊穣祭の時に食事以外にもアクセサリーや魔法具が露店で売られてる訳。」

香織「みんなー!この串焼き美味しいよー!」

蓮斗「あはは、あっちの2人は魔法具より美味しいものの方が良いらしいですね...」

天羽「魔法も良いけど、祭りを楽しむのも悪くないか...じゃぁ俺たちも行きましょ。」

滝壺「そうだね。何か食べたい物とかあるある?ここは俺が奢ってあげよう。」

天羽「良いんですか!?あざーす!」

滝壺「はっはっは、本物の大人買いを見せてあげようじゃないか!」

蓮斗「やり過ぎないでくださいね...」

そんな事を言い合いながら露店を巡っていると何やら人だかりが出来ていた。

神崎「どうかしたのかな?」

天羽「トラブルがあったにしては、そんな殺伐とした雰囲気じゃないな...美月和さん、見える?」

香織「んーっとね...占い屋さん?」

全員「占い...?」

香織「見聞きした感じ、占いが当たってて凄いってなってるね。私たちもやる?」

蓮斗「私はパスで。」

神崎「どうして?」

蓮斗「私は見られるとバレる可能性ありますし、騒ぎになったらまーた面倒事になる未来が見えるんで。遠慮しときます。」

香織「そっかー...じゃあ私がやってみようかな!」

天羽「おーおーいいんじゃない?」

香織「そうと決まればレッツゴー!」

そう言い香織は占い屋の方へ向かった。私は万一バレるのを避けるため遠目でその状況を見守る。

占い師「おや、旅行客ですか?珍しいですね。」

香織「はいっ!今日からしばらくこの国に滞在するんです!だから運勢を占って貰おうかなって!」

占い師「ふふ、良いですよ。では、どんな運を占いますか?」

香織「そうだなー、じゃあこの国に滞在してる間のことを占ってください!」

占い師「良いでしょう。では私の手に手をかざして下さい。かざしたら3回深呼吸をして。」

香織「はーい。」

香織は占い師の指示通りに手をかざし深呼吸をする。占い師も集中するためか目を閉じる。20秒ほど経ってから占い師がゆっくりと目を開き話し始める。

占い師「見えた未来は3つ、1つ目は疲労困憊になる貴女の姿です。2つ目は貴女とこの国の住人が一緒に食事をする光景です。ただ...」

香織「ただ?」

占い師「3つ目に見た光景が断片的ではっきりとした状況が分かりません。それでも良いですか?」

香織「はい!大丈夫です!」

占い師「よろしい、では3つ目。私が見た光景は大勢の人と君、角の生えた、鬼人族のような影だ。」

香織「鬼人族...?あっ...」

香織はそんな声を漏らしながらこちらへ目を向ける。当の私は声が聞こえないので状況を理解していなかった。

香織「ありがとうございます。えっと、お代は?」

占い師「ふーむ、ほんらい3万取るところだが3つ目があやふやだったからね、1万で良いよ。」

香織「え、良いんですか?ありがとう!」

占い師「気にするな。祭り、楽しんで行きな。」

香織「うん!」

そう話しながら会計を済ませ香織達がこちらへ戻ってくる。しかしその表情にはどこか違和感があるような気がした。

蓮斗「どうしたんですか?浮かない顔して。」

天羽「いやぁ、あの占い師の話だと鬼人族みたいな影があったらしいんだ。でもお前、この国にいる間はアレ使えないだろ?」

蓮斗「え、えぇ。もしかしたら鬼人族に何か関わりがあるのかもしれませんね。」

香織「そーだと良いんだけど...」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気を取り直して私達は祭りを巡っていた。華やかな街並み、様々な露店、パレード。とても活気に溢れ私達は祭りを堪能していた。

天羽「最近は殺伐とした事ばっか起きてたから、こう言うのもたまにはアリだな。」

蓮斗「そうですね。」

そう話しながら歩いていると私は不意に誰かとかぶつかってしまった。相手の方を見ると10歳そこらの少年が転んでいた。

天羽「バカ祇梨。ちゃんと前見て歩け!」

蓮斗「君、大丈夫?ごめんねぶつかっちゃって。どこか痛い所はある?」

少年「えっと、足がちょっと痛い.....」

少年は右足を怪我していた。擦りむいたのだろう、少しばかり血が出ていた。

蓮斗「ごめんね。今、治してあげるから。」

蓮斗「治癒系統下位魔法・再生」

魔法を発動させ患部を癒していく。少年の怪我はものの10秒で治り少年も元気を取り戻した。

蓮斗「今回は本当にごめんね。次からは気をつけて走ってね。」

少年「うん!ありがとう!」

蓮斗「礼には及びませんよ。」

そう会話を切り上げると少年は走り出そうとする。しかし走り出す前に少年はこちらに振り向き名前を名乗った。

少年「僕、カリス!お兄ちゃんは?」

蓮斗「私は蓮斗。よろしくね。」

カリス「そっか!またね、蓮斗お兄ちゃん!」

そう言いカリスは手を振り終えると人混みの中に消えていった。

天羽「祇梨ー、本当に気をつけろよ〜。」

蓮斗「はい、肝に銘じます。」

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