戦闘訓練3
天羽「それじゃ、まずは肩慣らしから行くよ!」
そう言うと天羽君が突っ込んだ。そしてとてつもないスピードの連撃が飛んできた。正直いって目で追うのがやっとなほど早い。
蓮斗「早いね天羽くん。でも、こっちもやられっぱなしって訳には行かないよ!」
蓮斗もすかさず反撃に出る。流石と言うべきか2人は一進一退。どちらもとてつもないスピードで殴りあっている。30秒ほど経ってから天羽くんが後ろに飛び退いて詠唱を始めた。それに続き蓮斗も詠唱を始めた。
天羽「炎系統下位魔法・火弾」
蓮斗「水系統下位魔法・水弾」
当程度の相反する魔法が相殺しあって魔法は相手にあたることはなかった。だが魔法同士が衝突したことによって水蒸気が発生し両者の視界を奪った。
蓮斗「めんどくさいな、、」
蓮斗はそう言いその場で足を止めた。
煙幕を破り天羽くんが突っ込んでいき再び蓮斗と殴り合いを始めた。相変わらず目で追うのがやっとなスピードに加えて先程まで使わなかった足技まで出てきた。それには蓮斗も少し驚いた表情を出したがすぐにいつもの笑みを浮かべた。天羽くんが技を出しそれに蓮斗が対応する。そんな状態が2分ほど続いた。その時蓮斗が痺れを切らしたのか大きく拳を振り抜いた。それを天羽くんが躱し、詠唱破棄の魔法を放った。
天羽「風系統中位魔法・斬断風」
天羽くんが放ったのは中位魔法。その攻撃は蓮斗の腹部に直撃し、蓮斗は後方に吹き飛ばされその場に倒れた。天羽くんはすかさず蓮斗に接近し魔法を発動させた。
天羽「炎系統中位魔法・炎槍」
その魔法は炎の槍を生み出し接近戦に持ち込む魔法。蓮斗はまだ倒れている。勝負ありと思った次の瞬間
蓮斗「雷系統中位魔法・雷影」
放たれたのは雷影。自身の影に雷を忍ばせ接近してきた者に放電する魔法。天羽くんはそれをまともに食らったせいかダメージが大きい様だった。
天羽「ハァハァ、どうして斬断風を受けて動けるんだ?確実に命中したはず、」
天羽くんは理解不能と言った風に蓮斗に問いかけたがすぐにその表情を変えた。
蓮斗「特殊異能・万象の拒絶。ありとあらゆる魔法物理の事象を無効化することが出来る。その特性を利用して罠を張ってみたんだ。」
蓮斗はそう言い天羽くんに近づいて行った。
天羽「ハハ、成程そういう事ね。確かに君はそういった特殊異能を持っていたね。戦いが楽しくてつい忘れてしまっていたよ。」
そう言い天羽くんは笑った。
蓮斗「で、まだ続ける?」
天羽「いや、魔力がある限り君に僕の攻撃は通用しない。見たところ君の魔力は僕のざっと3倍程度ありそうだし、辞めておくよ。」
蓮斗「そう。君も強かったよ。」
そう言い2人の模擬戦が終わった。途中何回かヒヤヒヤしたけど無事に終わって安心した。
ふとお兄ちゃんの方に目を向けると2年生達が集まって唖然といった顔をしていた。
2年生A「なぁお前、あの二人に勝てる...?」
2年生B「いや、無理だろ。あの二人平然と中位魔法使ってたけど習うの1年の終盤だろ。それをあんな簡単に扱うのは正直いってまじでバケモンだろ。」
2年生C「それは俺も思うわ。正直言ってパンデモニウムの連中10人を1人で全滅させた奴とそいつに相性が良かったとはいえ完勝した奴なんて相手にしたくない。」
まぁ聞き耳を立ててみればそんな話ばかりしていた。するとお兄ちゃんが私に話しかけてきた。
翔「やっぱあの二人強いね。」
香織「お兄ちゃんはあの二人があんなに強いの知ってたの?」
翔「いや?ただシンプルに体の軸が全然ぶれないし、魔力量も多いの気づいてたし、まぁ人を見る目はある方だ。」
そう言いお兄ちゃんは笑った。するとお兄ちゃんがいきなりこちらを見た。
翔「お前、やっぱり特殊異能使ってるだろ?」
香織「んぇえ!?」
その言葉に私はびっくりして変な声が出てしまった
翔「やっぱりな。あの濃い煙幕の中で何してるのか見えてたっぽいし、こっから10mくらい離れた奴らの会話聞こえてるし、お前いつの間にそんだけ使いこなせる様になったんだよ。」
やっぱりお兄ちゃんはすごい。流石現在2年生の中で実技1位を取り続けているだけはある。
香織「いやぁ、何か力を自覚したら自ずと使い方が分かったって言うかなんというか、」
そんな話をしていると、模擬戦を終えた2人が戻ってきた。
香織「あ、2人ともお疲れ様ー」
蓮斗「はい。流石に少し疲れますね。」
天羽「あれで少ししか疲れてないの見るとやっぱり君は強いね。」
蓮斗「いえいえ」
2人は模擬戦前よりも打ち解けて見えた。
翔「さてと、そろそろ授業も終わるし、お前らには良いもん見せて貰ったしジュース奢ってやるよ。あとついでに香織にも。」
香織「ついでにってどういうことよ!?」
蓮斗「まぁまぁ。あとありがとうございます。」
天羽「ありがとうございます。」
そんなこんなで今日の戦闘訓練の授業は終わった。