会議2
龍鬼「お前達はパンデモニウムの戦力をどう見る?これは俺の見解だが今回現れた欺瞞神フェレドール・アテナは大幹部の中でも弱い方だと思っている。」
空王「その根拠は?」
龍鬼「パンデモニウムが起こしたテロの中で大幹部が現れたのは3回だ。そしてその現れた大幹部は3回の内2回はフェレドール・アテナだったからだ。」
魔王「そりゃじゃぁ根拠にはならないんじゃない?強い奴でも戦場には現れると思うんだけど。」
龍鬼「いや、そうとも言いきれない。現に現れていない大幹部の中には呪腕もいる。」
魔王「呪腕が...?」
龍鬼「それに、パンデモニウムでは力が強い者は人前に姿を表さない特徴もある。それ考えれば欺瞞神は大幹部の中でも下位の実力だと思うんだ。」
冥王「なるほど、それなら2回であっても姿を晒している欺瞞神が下位の実力と言っても差支えはないな。」
殺戮神「問題は、残りの大幹部がどれだけの強さか、って事だ。」
龍鬼「そう、もし残り大幹部の内半数以上が呪腕と同じ実力を持っているなら、国防軍、並びに日本政府の軍を合わせても処理しきれない。」
冥王「呪腕か...アイツの名が知られ始めてもう3年か...早いものだな。」
龍鬼「今分かってる大幹部は悪辣者、呪腕、堕落、鏖殺魔の4人。しかも悪辣者以外の3体は自我を保った状態で殺神に至った稀有な個体。正直、日本だけで対処できるか.....」
殺戮神「...策が無い訳ではない。」
魔王「と、言うと?」
殺戮神「相手に想像を絶する怪物がいるならこちらも相手の予想を上回る程のスピードで奴らの意識外で成長する者を育てればいい...」
大妖「それは一体どういう...」
殺戮神「今、この国にはめぼしい成長株が10人いる。そいつらの成長を期待するしか、俺達には出来ないだろう....」
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英雄「あはは、楽しい!!」
蓮斗「なんなんだこの人ー!?!?」
英雄「彗星魔法・星屑〝青炎〟」
天羽「ちょちょちょぉぉぉ!!」
蓮斗「闇系統最上位魔法・死界黎滅!!」
天羽「次元系統最上位魔法・世廻災禍!!」
英雄「おぉ、凄い凄い!私の魔法を打ち消すなんて、君たちやっぱり強いね!」
天羽「ダメだ、煽りにしか聞こえねぇ!!」
蓮斗「そう思っちゃダメだすけどその意見に同意します!なんですかあの威力!!」
そんな事を言いながら私と天羽は英雄と遊んでいた。英雄は正に怪物だった。彼女の行動一つに私達は最上位魔法で返す。そんな事をかれこれ10分以上続けていた。
蓮斗「こちらを殺す気がないとは言え、なんて威力ですか...!一発逸らすのにどれだけの魔力を消費すればいいんですか...!?」
天羽「みなまで言うな祇梨!あれは冠位だ!俺たちの常識が通用する相手じゃない!」
英雄「ねーねー、魔法で遊ぶのはもういいからさー...次は近接で遊ぼ?」
そう言いながら英雄は既に私達の間合いの中まで移動していた。異常な速さ、光速以上の速度で動いたにしては違和感のある加速。私と天羽は瞬間攻撃へ移る。
蓮斗「雷系統上位魔法・雷帝回蹴」
天羽「次元系統上位魔法・空間断層〝斬〟」
両者同時の左右からの挟み攻撃。しかしその攻撃は英雄に指一本で止められる。
蓮斗「嘘ぉー...」
天羽「まじかー....」
そう気の抜けた反応をした瞬間、英雄は手を地面につけそこを軸に強烈な蹴りを私達の腹部に叩き込んだ。
蓮斗「おぼふっ!!!」
天羽「ぐぇ!!!」
そう汚い声を出しながら私と天羽は蹴り飛ばされる。数百m吹っ飛ばされようやく止まる。急いで顔をあげると目の前に満面の笑みを浮かべた英雄が迫ってきていた。
蓮斗「あぁ、もう...!どうにでもなれ!!」
私はそう叫ぶと英雄と正面からの殴り合いに突入した。
英雄「あはは!やっぱり君強いね!手加減してるとは言え、私と殴り合える人間なんてそこまで居ないんだよ!」
蓮斗「お褒めに預かり光栄です!!!」
そう言いながら私は英雄の背後に目をやる。そしてタイミングを合わせて英雄を上へ蹴り上げる。
蓮斗「天羽君!!」
天羽「次元系統二重詠唱・空絶〝飛切〟」
英雄「!!」
天羽の魔法は英雄に直撃。効いてはいないだろうが、多少のダメージはあるだろと思った私は攻撃を畳み掛ける。
蓮斗「二重詠唱・黎滅蛇炎」
それを見た天羽も攻撃を再開する。
天羽「次元系統最上位魔法・次元龍〝跋扈〟」
英雄がいるであろう場所は爆炎に包まれ、私達は一呼吸置く。
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戦戒神「あの少年2人、中々強いな。あれってもう国防軍の団長クラスあるんじゃないか?」
龍鬼「ポテンシャルとか全部完璧に発揮できたらおそらくだが団長2人分の強さだろうな。」
戦戒神「へー、やっぱりあの2人って天才なんだな。」
龍鬼「まぁ1人は団長クラスでも制御できない怪物を制御できる才能の塊で、方やその才能を超える才能をもつ天才だ。成長途中でもその片鱗が見えてもおかしくない。」
空王「エリスが人間相手にあそこまで楽しんでる所、私初めて見たかも...」
冥王「まだ今は荒削りだが、成長すれば更に化けるかもな、あの2人。」
殺戮神「期待しておこう...。」
空狐長「へぇ、如月がそんなこと言うなんて珍しいな。ま、俺もその意見と同意見だけど。」
龍神王「楽しみだね〜。」
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天羽「大丈夫か祇梨?正面から殴りあってたが...」
蓮斗「骨が何本か逝きましたけど、なんとか。」
天羽「まじかー。今のうちに治しとけ?どうせすぐに復帰してくる。」
蓮斗「あれだけ攻撃加えてもピンピンしてる姿を想像できるのも、考えものですね...」
天羽「冠位なんてそんなモンだろ。切り替えていくぞ!」
蓮斗「えぇ。」
徐々に煙が晴れていく。そして姿を表したのは少し服の破れた英雄だった。
蓮斗「あれ、ダメージ通ってます?」
天羽「あるぇ〜...?結構マジで攻撃してたんだけどなぁ...自信なくすわ〜...」
そう言い天羽は乾いた笑いをだした。それは私も同じだった。先程の魔法は私の特殊異能で強化したものだった。大ダメージとまで行かずとも、多少はダメージがある想定だった。しかし、今見える状態では全くのノーダメージ。そこまでの力の差があるのかと私は自分の弱さを呪った。
英雄「うーん...」
英雄が声を上げた。その声は先程までの元気ハツラツとした声ではなく何か悩んでいるような声だった。その様子を見た私と天羽、冠位は不思議に思う。すると英雄が突然泣き始めた。
英雄「うわぁぁぁん!!」
蓮斗&天羽「!?!?!?」
冠位達「!?!?!?」
蓮斗「え、ちょ、泣き始めましたよ!?」
天羽「見れば分かる!なんで!?攻撃通ってないよな!?まさかトラウマ的な何かが...!?」
私と天羽がそう慌てふためいていると英雄の元に空王がたどり着き、優しく抱き上げていた。
空王「どうしたの、何かあったのエリス?」
そう優しく空王は英雄に語りかける。すると英雄は涙を拭きながら事の顛末を話し出した。
英雄「えっと、さっきあの二人の連携で上に蹴り上げられた時、思ってた以上の魔法が飛んできて、私つい、本気になっちゃって...権能使っちゃった...うわぁぁぁん!!!」
最後まで話し切ると再び英雄は泣き出した。私と天羽は冠位を泣かせた事で戦々恐々としていた。
蓮斗「........」
天羽「なぁ、祇梨。」
蓮斗「...なんです?」
天羽「俺達、もしかしなくてもやらかした?」
蓮斗「やらかしましたねぇ...」
天羽「俺達、死ぬのかな?」
蓮斗「...英雄は冠位神威の中でも愛されていると聞きます。そんな存在を泣かせたとなれば、とんでもないお叱りが来るでしょうね.....」
天羽「そん時は、一緒に土下座しような...」
蓮斗「えぇ...」
私達はそんな風に完全に諦め雰囲気の中会話をしていた。冠位達の方を見れば誰かがこちらに向かって歩いてきているのが見えた。殺戮神だった。
天羽「終わった。」
蓮斗「あぁ、とんでもない罰があるんでしょう...」
そう半ば諦めながら殺戮神と向き合う。
殺戮神「お前達...」
殺戮神がそう言う。私達は腹を括り話を聞く。しかし、殺戮神は思いがけない事を口にした。
殺戮神「よくやった。」
蓮斗&天羽「はい?」
殺戮神は私たちに向け「よくやった。」と言ったのだ。私達はてっきりお叱りを受けるとばかり思っていたのでその場にフリーズしてしまう。殺戮神はその様子を無視して話を続ける。
殺戮神「確かに英雄は泣いてるが、それはお前たちに対してのものではなく、冠位の掟を破ってしまった事に対してだ。お前達は何も悪くない。」
蓮斗「お、掟...?」
殺戮神「あぁ。冠位にはいろいろな制約があるんだよ。1つ、非冠位とは戦わない。1つ、非冠位相手に権能を使わない。1つ、権能を使うのは冠位相手のみ。こんな感じの制約がある。英雄は2つ目を破ってしまって泣いてるんだよ。」
天羽「2つ目...非冠位相手に権能を使わない、ですね。英雄は権能を使ったんですか?」
殺戮神「あぁ、使った権能は向こう側。」
蓮斗「向こう側...?」
殺戮神「向こう側っていう権能は簡単に言えば概念、言葉、次元の向こう側に入る能力だ。向こう側に入ったら攻撃はもちろん、能力の影響すら受けなくなる。英雄はそれを使ったんだ。」
天羽「それにしてもなんでそんな強い権能を...」
殺戮神「簡単な事だ。先程の攻撃はあいつが権能を使うと判断するほど、強かった。ただそれだけだ。」
殺戮神のその言葉に私と天羽は顔を見合わせる。その一言は紛れもない賞賛のものだった。それを受けた私と天羽は同時に地面に倒れ込んだ。
天羽「なぁ、祇梨。」
蓮斗「...なんです?」
天羽「今の言葉、すげー嬉しいな...」
蓮斗「そうですね...」
そう噛み締めるように私と天羽は言葉を交わす。そこには今までにないほどの達成感があった。
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英雄も泣き止み会議の結果を聞くことになった。
龍鬼「じゃあ君達にも話し合いで決まったことを伝えるね。」
蓮斗&天羽「はい。」
龍鬼「まず1つ、今回の件を受けて俺たち冠位は介入を少し増やす。2つ目、俺達が見込みのある者とした者達に特定の場所で訓練してもらう。3つ目、冠位指定執行官と共同で、日本の要所を守護する。これが今回の会議で決定したことだ。」
天羽「なるほど。それで見込みのある者達って?」
龍鬼「それは合計11名だ。」
蓮斗「多いですね。」
龍鬼「期待の数は多ければ多い程良いさ。君たち二人もその11人に入っているよ。」
蓮斗&天羽「え」
龍鬼「当たり前だろ?荒削りとは言え冠位のNO5に権能を使わせたんだ。少しは自信を持ちな?」
蓮斗「冠位の」
天羽「NO5...?」
龍鬼「君達知らなかったのか?英雄は冠位神威内の序列5位だぞ?」
蓮斗&天羽「え゛....」
その一言を聞いた瞬間私と天羽は同時に英雄の方へ目を向ける。そこには笑いながらピースする英雄の姿があった。
蓮斗「嘘だぁ...せっかく学校復帰したのにまた休むの...?」
天羽「仕方ないだろ...強くならないとまた大幹部と遭遇した時一方的にやられるだけだ。」
蓮斗「そう、ですね。あんな思いはもう十分です。覇王様、残りの9名は?」
龍鬼「龍鬼で良いよ。残りの9名は、美月和香織、
神崎莉央、荒山厳十郎、清水伊織、竹内慎司、天内佳奈、星見理人、西野美乃里、小鳥遊優里の9名だ。」
蓮斗「国防軍の団長と副団長、総司令官に香織さんまで...?」
殺戮神「美月和香織はこの中でもお前達を抜けば一番の期待株だ。しっかり強くなってもらう。」
天羽「優しくしてあげてくださいね...」
龍鬼「何はともあれ、今回の会議はこれで終了だ。今から君達2人共病室に戻すね。」
蓮斗「はい。今日はいい経験ができました。」
天羽「ありがとうございました。」
龍鬼「うん。気をつけて。」
蓮斗&天羽「はい。」
そう会話を終えると英雄がこちらに手を振りながら声をあげる。
英雄「次また遊ぶ機会があったら、今度こそ決着つけようね!」
その言葉と共に私たちの意識は途切れた。




