会議
???「おーい、起きろ〜!!」
蓮斗「ん.....」
天羽「へ.....」
そんな声が聞こえ私と天羽は薄っすらと意識を取り戻し始めた。誰かが呼んでいる、それだけはまだ動き出していない脳でも理解できた。
???「起きてよ〜も〜。起きないなら水かけちゃうよ〜。」
蓮斗&天羽「ん...!?」
その明らかにおかしい言葉に私も天羽も同時に意識が覚醒した。そして覚醒したと同時に後ろへ飛ぶ。その瞬間、私達が先程まで寝ていた場所に大量の水が降り注ぐ光景が目に入った。
蓮斗「......」
天羽「......」
唖然、ただその一言だった。誰かが私達に攻撃した?とそんな考えがよぎった時私達に誰かが声をかけてきた。
???「やぁ、起きたようだね。」
声が聞こえたのは私達の後方からだった。しかし、その声を聞いた途端私たちはまるで数百tの重りをつけられたかと錯覚する程の圧を感じた。冷や汗が流れその場に立ち尽くす私達を見て声をかけてきた主は不思議そうな声を上げた。
???「あれ、どうしたの?」
気さくとも取れる明るい声色、それに反比例し強まる圧。私も天羽も息ができなくなる。
蓮斗「(なんだ、誰だ....!?)」
天羽「(こえぇ...息ができねぇ....!!)」
声の主は私達を心配してかこちらに向かって歩いてくる。あと少しで手が私達の肩の触れる、その時
龍鬼「馬鹿、圧抑えろ。」
???「いった!」
誰かが声の主の頭を叩いたのだろう、声の主は痛がる声を上げ叩いた人物へ視線を向ける。叩いた人物は声的に龍鬼さんだろう。
龍鬼「俺達と違ってその子達は人間で、尚且つ子供なんだ。お前がいくらフレンドリーに接してもその圧を出しっぱだったら怖がられるに決まってるだろ。」
???「む、それもそうか...少年達よ、怖がらせてすまなかったな。」
その一言と共に先程まで感じていた凄まじい圧は嘘のように霧散し消えた。
蓮斗「ぶはぁっ、はぁ、はぁ、」
天羽「ゲホッゲホッ、オエェ...」
緊張の糸が途切れ息を深く吸い込む。私は膝から崩れ落ちながら息を整える。天羽に至ってはえずいていた。その光景を見た声の主はオロオロとしているのか影が行ったり来たりしていた。
龍鬼「大丈夫か?2人とも。」
そう言い龍鬼さんは私たちに手を差し伸べ立ち上がらせる。そして声の主が改めて私達に挨拶をする。
絶鬼「初めまして、俺は冠位神威、戦戒神の絶鬼。会えて嬉しいよ。」
天羽「ど、どうも...」
蓮斗「初めまして...」
私達の困惑するような返答に膝から崩れ落ちて地面に倒れた。
蓮斗「え、え?」
天羽「どうしたんですか!?」
私と天羽がそう動揺して声をかけると戦戒神は微妙に絶望の表情を浮かべていた。
絶鬼「子供に、嫌われた.....」
龍鬼「お前が冠位基準のまま行ったからだ。今後は気をつけろよ。」
絶鬼「ぐふっ...容赦なくトドメ刺すじゃんお前...」
龍鬼「事実だろ。」
そう言いながら戦戒神はうつ伏せ状態で落ち込んでいる。なにか悪いことをした気がするので私と天羽は戦戒神に謝った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
蓮斗「それにしてもさっき私達に水をかけようとしたのは誰なんですか?」
龍鬼「ん?あぁ、英雄だよ。」
蓮斗「やっぱり...それにしてもここは....」
創造神「それについてこれから説明するから君達はここに座って。」
そう言いながら創造神は私と天羽を椅子へと座らせた。何やら大事に巻き込まれたのは分かるが、急展開過ぎて私も天羽も言われた通り行動する事しか出来ない。
蓮斗「なんで、私達呼ばれたんですかね。」
天羽「分かんね。それにしても体の痛みがいつの間にか消えてるな。これも冠位が何かしてくれたのかね?」
蓮斗「恐らくそうでしょうね。っと、話が始まりましたね。」
そう言い私と天羽は背を伸ばし話を聞く。その話には驚くものがあった。
創造神「今回皆に集まってもらったのは他でもない、パンデモニウムのボスが判明したからだ。」
魔王「パンデモニウムって、確か人間のテロ組織でしょ?私たちには関係なくない?」
絶対神「こら、話は最後まで聞くものよ。」
魔王「はーい...」
創造神「関係は大アリです。パンデモニウムのリーダーはアルステラ。アルステラ・カタストロフィー、我ら冠位が初めて代行者に認定した男です。」
冠位「!!」
創造神のその発言にその場にいた冠位全員が驚愕の表情を見せる。
天羽「(アルステラ...?祇梨、お前知ってる?)」
蓮斗「(初めて聞く名前ですね。それに代行者?)」
私と天羽がそう小声で喋っていると冠位達の議論は白熱していた。
魔王「アルステラは数億年前に死んだって話だろ?それに人間だ。いくらこの世界の人間の寿命は長いと言っても、いくらなんでも生きすぎだ!」
大妖「確かに。人間の中には老化を止めるという荒業を使う者もいるとは聞くが、それはあくまで時間凌ぎ。人間の魂が摩耗するのはおよそ3000年。それを無視して2億年など、到底無理だ。」
蓮斗「(2!?)」
天羽「(億!?!?)」
私と天羽は不意に出たとんでもない数字に驚愕する。世の中には長命な人間がいるのは知っている。だがそれが万や億を超えると話は別だ。
蓮斗「(人間の魂の限界は3000年...それを無視する魔法なんて、なかった筈...)」
天羽「(いや待て祇梨、それはあくまで人間の話だ。考えてもみろ、大幹部ですらあんな怪物だったんだ。ボスがアレ以上の怪物でも不思議わない。)」
蓮斗「(確かに....!)」
私と天羽はそう話していると一際目立つ存在が口を開く。
滅亡神「まぁ十中八九、人間とは別の存在に進化してるだろうな。」
龍鬼「兄者もそう思うか?」
滅亡神「まず人間の規格ではそんな長い時は生きられない。だとすれば別の存在を取り込むなりして存在進化を狙う筈だ。」
殺戮神「存在進化...冠位指定執行官と同じレベルに進化してる可能性は?」
滅亡神「それは0だ。まず冠位指定執行官になる条件はある意味超高難易度。アルステラレベルだとまずなれん。問題はどの存在に進化したと考えるかだな。」
龍鬼「数億年単位で行動できる存在か...そう考えれば自ずと範囲も狭まるな。」
そんな難しい話に私達が着いて行けるはずもなく、私と天羽は上の空で全く関係ない事を話していた。
天羽「なー祇梨ー。」
蓮斗「どうしましたー?天羽君。」
天羽「おまえさー、あのフェレドールの能力どう思うー?」
蓮斗「そうですねー、理不尽を押し付ける理不尽魔法って印象ですねー。」
天羽「だよなー。」
蓮斗&天羽「あっはっは!」
そんな知能指数が著しく下がった会話をしていると突然何かが飛んできた。
天羽「あいたっ!」
蓮斗「えぇ、何?」
飛んできたものに目を向けるとそれは小さく丸められた紙屑だった。
蓮斗「紙屑?誰が投げたんでしょうか?」
天羽「祇梨、アレ。」
天羽が何やら引き攣った顔で何かを指さす。私はその指された方へ目を向けると英雄が笑顔でこちらを見ていた。
蓮斗「...笑ってますね。」
天羽「悪ってるなぁ...。」
蓮斗「遊びたいんでしょうか?」
私がそう言うと英雄は先程よりもより明るい笑顔を見せる。
蓮斗「この距離で聞こえるのか...」
天羽「流石冠位。色々規格外だ。」
そう言いながら私は英雄に手招きをした。それを見た英雄は先程よりも明るい笑顔を見せてこちらに駆け寄ってきた。
英雄「ねぇねぇ!私と遊ぼ!」
蓮斗「会議の方は大丈夫なんですか?」
英雄「うん!シズが後から教えてくれるって約束してくれたから大丈夫だよ!」
天羽「シズ?」
英雄「うん、空王〝シズレスト=フレストス〟の事だよ!あ、でのシズって呼んでいいのは冠位だけなんだ!ごめんね?」
蓮斗「いえ、冠位を呼び捨てにするなんて、ましてやあだ名なんて恐れ多くて出来ません。」
英雄「そうなんだー。じゃぁ、何して遊ぶ?」
天羽「そうだねぇ、英雄様は何がしたいですか?」
英雄「うーん、私、君達と戦ってみたい!」
蓮斗&天羽「はい?」
英雄「映像で見たんだけど、君達人間なのに強いから気になってたんだ!ダメかな?」
天羽「えーっと....」
天羽「(おい祇梨、どうする?)」
蓮斗「(どうするも何も、冠位と戦って無事で済む訳無いでしょうし...困りましたね...)」
英雄「やっぱり、ダメ...?」
そう言いながら英雄は私達を潤んだ瞳で見つめる。
蓮斗&天羽「ん゛ん.....!!」
その純真な眼差しに私達は罪悪感を覚えついにその遊びを受け入れてしまった。
天羽「俺達って、子供に甘いのか...?」
蓮斗「さぁ...でも、あんな悲しそうな目で見られると、受け入れてしまいますね...」
天羽「分かるわ〜。」
私たちがそんな会話をしていると不意に隣から視線を感じた。そちらに目を向けると空王がこちらを見つめていた。天羽もその視線に気づいたのか空王の方へ目を向けた。すると突然脳内に声が響く。
空王「すまないな少年達よ...少しの間、エリスの遊び相手になってくれ...」
その声が空王のものだろうか、どことなく申し訳なさを感じる声に私と天羽は顔を見合わせる。そして互いに頷き空王に向けて首を縦に振った。
空王「感謝する。」
その一言と共に空王は会議に戻る。そして私と天羽のペアで英雄の遊び相手になる。
英雄「じゃぁ、行くよ〜!」
英雄「彗星魔法・流星群」
蓮斗&天羽「はい?」
その言葉と共に私とあもう目掛け大量の星が降り注ぐ。その規模、威力、速度、どれを取っても現代では対抗できるものはないと思える程の圧倒的な魔法。天羽の魔法がなければ今ので終わっていた。
蓮斗「助かりました、天羽君。」
天羽「気にすんな。さて、俺たちも始めようか。」
蓮斗「えぇ。」
天羽「空間、時間、世界、生命の住む場所、触れる大地、触れぬ空気、世界を旅し次元の王」
蓮斗「鬼神、夜の闇、殺戮の王、暗き魂、死の大地、響く断末魔、月に照らされる骸、彷徨う亡霊」
天羽「空間系統根源魔法・次元覇者」
蓮斗「闇系統根源魔法・黒王戦鬼〝災禍〟」
天羽「分かってるとは思うが、英雄にとってこの戦いは、」
蓮斗「遊び。せいぜい、私たちにできることを精一杯やりましょう。」
天羽「おうよ。」




