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一方的

殺戮神「.....」

フェレ「はぁ、はぁ...」

フェレ「(ど、どうして殺戮神がここに...冠位は人間が相手では戦わないのでは無かったのか...?)」

殺戮神「.....」

フェレ「あ、貴方は殺戮神で、間違いない、ですよね...?」

殺戮神「.....」

殺戮神は何も話さない。ただ静かにそこに倒れる少年二人を見ている。なにか2人に対して思う事があるのかこちらには一切意識を向けずただそこに立っている。

フェレ「(今なら、逃げれるかも...)」

殺戮神「あー...」

一言。たったその一言だけで私はその場に縛り付けられたかの様な圧を感じた。

殺戮神「俺はな、この少年達がどう生きるのか、どんな物語を紡ぐのか、それが、気になるんだ。」

殺戮神はそう言いポツリポツリと話し出した。

殺戮神「俺は悠久の時を生きる、言わば亡霊だ。何も感じない、何が目的なのか、それすら分からない。ただ、生命が作る物語を見るのが好きだ。」

そう言いながら殺戮神は倒れている2人に歩いて行く。ゆっくり、しかし確実に。

殺戮神「俺は本来、世界には干渉しない。厄災以外で出張る事は絶対にない。」

一歩一歩、彼らに近づく。

殺戮神「でも、一つだけ干渉する理由がある。」

ついに殺戮神が2人の元へ辿り着く。そしてゆっくりと屈み、2人へ触れた。

殺戮神「面白い物語を打ち切られる時だ。」

殺戮神はそう言い、ゆらりと私に目を向けた。その眼には何の感情も籠っていない。いや、初めから感情なんてものは無いのかもしれない。

殺戮神「お前は、今のこの子達が戦うには強すぎる。だから、俺が来た。龍鬼も、許してくれた。」

殺戮神が口にした名は冠位神威の覇王の名前だった。その名を言った時殺戮神はゆっくり立ち上がる。そして、こう呟いた。

殺戮神「虚無支配・体臓修復」

その一言と共に、倒れている2人の体が徐々に再生していく。いや、戻っていく。

フェレ「(どういう事...!?あの二人の怪我は私の魔法で治す事は出来ないはず...!!)」

殺戮神「お前程度の魔法を、俺達冠位が、破れないとでも思ったのか...?」

フェレ「っ...!!」

そして2人の体はものの1分で治った。切り飛ばされた腕や足は生え、骨折した箇所も全て元通りになっていた。

殺戮神「ところで、お前は誰なんだ?」

そう思いがけない質問を殺戮神は私にした。私は、認識すらされていなかったのだ。

フェレ「フェレドール・アテナ...パンデモニウムの大幹部よ...」

殺戮神「フェレドール...あぁ、人間の身でありながら、神の名を持つ人間か。確か能力は嘘吐きだったか?」

フェレ「知っていたんですか...?」

殺戮神「そういう人間がいるとは知ってはいたが、お前だったのか...」

フェレ「そういう貴方は、冠位神威で最強の殺戮神。冠位の称号を持つ30体の上位存在の頂点に君臨する原初三兄弟の末弟。確か名前は、如月...」

殺戮神「お前、賢いな...俺の名前を知ってる存在なんて冠位達だけだと思っていた。」

フェレ「こう見えて研究者なんです。貴方々ほど、興味を唆るものはない...!!」

フェレ「(喋れ!喋り続けろ!今の状況を打破できる策を思いつくまで、話すのを止めるな!!)」

私の脳内はそんな思考でいっぱいだった。殺戮神、彼の行動一つで我らの目的は破綻する。故に、私は

細心の注意を払い、殺戮神と会話する。

フェレ「話を戻しますが、貴方はその少年たちが作る物語が見たいが為に冠位の掟を破って介入して来たと...?」

殺戮神「あぁ、そうなるのかな?」

フェレ「それは、冠位どうかと思いますが...!?」

殺戮神「何か、お前は勘違いをしていないか?」

フェレ「勘違い...?」

私はその一言を聞き鼓動が早くなる。何か間違いを犯したのか私は思考を高速で巡らせる。そんな中殺戮神はゆっくり話す。

殺戮神「俺達が禁止しているのは冠位以外との戦闘だ。遊ぶ分には問題ないよ。」

遊び。彼はそう言った。そう、彼にとって今この場で私と戦うことは遊びという認識なのだ。

フェレ「遊ぶ分って、どういう意味ですか...!?」

殺戮神「俺達冠位はその力のほぼ全てを次元の強化に当てている。故に、冠位同士での戦い以外では魔力の約99.9%を使用しない。これを遊びと言わず、なんと言うんだ?」

フェレ「....はっ......?」

意味が分からなかった。先程少年達を治した魔法も、私の魔法を打ち消した時も、1mmも本気を出していない。彼は今そう言ったのだ。

フェレ「う、嘘だ...!あの魔法は私が30年かけて作り上げた最高の魔法なんだぞ...!それを、本気を出さずに...そんな事出来るわけない!!」

そう言い私はその場に剣を出現させ殺戮神に目がけ駆け出す。しかし私の剣が殺戮神に届くことは無かった。

フェレ「あれ....!?」

気が付けば私は先程の姿勢に戻っていた。出したはずの剣も無くなり、先程の場所に同じ姿勢で立っていた。訳が分からない、何かされた形跡も、行動した跡もない。

フェレ「殺戮神!!」

再び私はスタートを切った。しかし、やはり元の場所に戻っている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

何度繰り返したのか分からない。幾度殺戮神に向け攻撃を仕掛けても元の場所に戻される。その奇っ怪な状況に私の精神は徐々に削られていった。

フェレ「なんで、どうして、攻撃できないの...?」

私は膝から崩れ落ちながらそううわ言の様に呟く。すると殺戮神が首を触りながら話し出した。

殺戮神「お前は今、合計で278回俺に斬りかかった。だが、お前は俺に攻撃の意思を向けた瞬間お前の思考は殺されリセットされる。思考だけ死んでその度に蘇生しているんだ。」

フェレ「はぇ......?」

殺戮神「これは俺の本質的な力と思考改変が合わさってできた物だ。故に、人間ではまず対抗はできない。これに抵抗できる存在がいるのであればそいつは、冠位指定を受けるだろうな。」

フェレ「何よ、それ...そんなの、反則じゃない...」

私の口からそんな言葉が勝手に出ていた。もはや私に、あの存在を相手に戦う気力は無かった。ただそこに居るだけで次元の違いをまざまざと見せ付ける程の明らかにレベルの違う相手。

フェレ「こんなの、どうすれば....」

あぁ、嫌だ。私は欺瞞神なのに、頭の中を巡る思考は全て事実だった。だめだ、勝てない。

殺戮神「...年端もいかない少年達を痛ぶっていたお前が、そんな顔をするんだな。」

気がつけば私は涙を流していた。これは、実力差から来るものではない。目の前に立つ死そのものに対しての恐怖、それに加え少年達の前に姿を表した後悔。それが寄り集まり吐き出された感情。私はここで死ぬ。そう思った時

長野「obaohihdompqjiguwwonrokaa!!!」

私が改造した愚者がその場に倒れる少年達に向け飛びかかった。千載一遇のチャンス、私は即座に転移魔法を発動した。

殺戮神「やっぱり、馬鹿だな...お前。」

その一言と共に転移魔法が砕け散り、愚者の首が刎飛んだ。

フェレ「ぁ、あぁ.....!!」

殺した。今目の前で、殺戮神は私の可愛い愚者の首を刎ね、殺した。その光景を目にした私はもはや、声すらあげる事が出来なかった。ガタガタと体が震え、涙で顔がぐちゃぐちゃになる。ふと目を右に向けると刎られた愚者の顔が目に映る。なんと愚者は首だけになっても生きていたのだ。

フェレ「ひっ.....!!」

私はそんな情けない声を出した。愚者はパクパクと口を動かし苦悶の表情を浮かべていた。

殺戮神「今、そいつから死ぬ権利を剥奪した。だから、そいつはそのまま生き続けるよ。」

フェレ「し、死ぬ権利...?」

殺戮神「あぁ、俺の権能の一つ、剥奪。対象の持つ権利を自由に剥奪することが出来る能力。ただそれだけの能力だ。」

殺戮神はそう言いながら倒れている2人を呼び出したであろう天使に介抱させていた。無茶苦茶だ。そして殺戮神がこちらに振りむく。

フェレ「えっ.....」

眼前に殺戮神が居た。目先30cmの距離にいつの間にか移動していた。私は一瞬も彼から目を離していない。なのに、認識した時にはもう目の前にたっていた。

殺戮神「お前、どうしようか。」

殺戮神は絶対零度の目線で私を見ながらそう呟く。私は全身が震え、体から出る液体を全て出しながらその場に固まる。

殺戮神「一つ質問する。お前達のボスの名前は、なんだ?」

予想もしていない質問が飛んできた。

フェレ「アルステラ.....」

殺戮神「!!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

龍鬼「アルステラ....!?」

創造神「まさかっ.....!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

殺戮神「それは、事実なのか...?」

フェレ「は、はい....」

殺戮神「状況が変わった。龍鬼。」

龍鬼「分かってる。」

殺戮神がそう名前を呼ぶと覇王と創造神が姿を表した。いきなり冠位が二柱現れ、ますます生きた心地がしない。

龍鬼「本来は処刑対象だが、そいつの名前が出てくると話が変わってくる。紫音はすぐに冠位に招集をかけろ。大至急。」

創造神「分かった。」

フェレ「....???」

殺戮神「お前、さっきの答え、本当に間違いじゃないんだな?」

フェレ「はい...真実です...」

殺戮神「.....。チッ、面倒な事になった...」

私は訳が分からずその場にへたり込む。目の前で冠位である三柱が慌てている様子を見て、逆に恐怖を感じる。

龍鬼「お前には詳しく話を聞かせてもらう。話を聞き終わるまで大人しくしていれば殺すことは無い。だから全て話せ。この条件呑めるな?」

そう言い覇王が私に圧を飛ばす。私は壊れた玩具のように首を縦に振った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シルグ「ハハッ、フェレドールの奴、冠位に捕まったのかよ!あの気狂い、調子に乗ったツケが回ったな。」

サーレ「おぉ、同士よ、貴女のことは忘れません...!!どうか安らかに...」

弘樹「喋ってないで、会議を始めるぞ。」

シルグ「へーへー。」

暗い空間に置かれた円形の机。そこには11個の椅子が置かれ、異常存在達が腰を下ろす。そして1人の男が玉座に座り口を開く。

アル「会議をを始めようか....」

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