勝敗
蓮斗「闇系統最上位魔法・死界黎滅」
天羽「行け、次元龍」
私が魔法を発動すると同時に天羽は展開していた次元龍を私に向かわせる。流石の反応速度、私の魔法が炸裂する寸前で次元龍は私の魔法に到達し、相殺して見せた。
蓮斗「あと少しだったのに....!!」
私はそう恨めしそうに言いながら天羽へ向けて走り出す。しかし、1歩踏み出した途端地面が隆起する。
天羽「土系統上位魔法・土龍双牙」
天羽は次元龍の影に隠れながら魔法を発動していたのだ。私は両サイドから迫る龍を躱し破壊する。しかし、一瞬だけ天羽から意識を外したと同時に天羽が急接近。私は袈裟斬りをまともに食らう。
蓮斗「い....たいでしょう!」
天羽「オェ.....」
その言葉と同時に私の拳が天羽の腹にめり込む。天羽はおおよそ人には聞かせられない声を発し、左手で腹部を抑えた。
蓮斗「二重詠唱・鬼哭雷煉」
間髪入れず魔法を放ち天羽を吹っ飛ばす。
蓮斗「ほんっとにその防御魔法邪魔ですね!!!」
天羽「お前も常時攻撃無効化してんだから文句言うなバーカ!!」
蓮斗「人にバカって言う方がバカなんですよ!!」
天羽「なんだと!?」
私と天羽はそう罵り合いながら戦闘を続ける。この時私も天羽も、覇王の力で外の観客たちに見られているのをすっかり忘れていた。
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会場は2人の罵り合いと戦闘の温度差で沈黙していた。香織達は何も言えずに翔さんに至っては頭を抱えていた。
翔「あの二人って、ここまでアホだったけ?」
香織「天羽君も蓮斗も普段は理性的だけど、戦闘になるとはっちゃけるからね...」
凛「なんか、想像してた蓮斗さんの姿からどんどん離れていく気がします....」
そんな事を言っている時、覇王は腹を抱えて爆笑していた。
龍鬼「アハハハハ!なんであんな小学生レベルの悪口言い合いながら戦うんだよ!一周まわって面白いわ!」
創造神「2人とも語彙力が落ちているね。」
創造神は覇王が爆笑している隣でそう真面目に考察しているのだった。
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蓮斗「雷系統上位魔法・雷獣強襲」
天羽「もう上位魔法なんて役に立たねぇよ!!!」
そう言いながら天羽は私の魔法を切り捨てながら私に迫る。やはりと言うべきか、天羽の決定打は近接による直接攻撃しか無いようだ。本来であれば距離を取り魔法で飽和攻撃をするのが有効だろうが、この時の私は躊躇なく近接戦を始めた。
蓮斗「どうしたんですか天羽君!?切っ先が一切当たっていませんよ!!!」
天羽「うるせぇ!そんなこと言うんだったら大人しく斬られろ!バカ祇梨!!!」
蓮斗「誰が斬られろって言われて斬られますか!少しわ頭使って発言してくださいよ、単細胞の天羽君!!!」
天羽「潰す!!」
蓮斗「やってみせなさい!!!」
天羽「次元系統最上位魔法・世廻災禍!!」
蓮斗「闇系統最上位魔法・天獄之龍王!!」
何もない空間から放たれる無数の攻撃。私は魔法を発動させながらそれを回避する。
天羽「何だこのバカデケェ龍は!?邪魔くせぇ!」
天羽は私の発動した魔法を斬った。だが、それは悪手だった。
天羽「なんだ!?」
天羽が斬った断面から無数の黒い剣が飛び出し天羽目掛けて斬撃が飛ぶ。天羽はそれに対応しようと薙刀を上げようとしたその時。
蓮斗「隙ありィィィ!!!」
私の渾身の蹴りが天羽の横っ面を捉える。天羽は意味不明といった表情を見せるが私の姿を見て表情が変わった。
天羽「お前、魔法を無視して....!!」
そう、私は天羽に攻撃を命中させる為あえて天羽の放った魔法を避けずに影へ潜っていた。しかし、魔法を避けなかった事は私にとっても痛手だった。体にできた無数の傷。これは容易に治せるものでは無い。
蓮斗「何動揺してるんですか!まだ戦いは終わってませんよ!?」
私は体に走る激痛を無視しながら天羽へ再度攻撃を加える。
天羽「(くそ、不意打ち食らったせいで体が思うように動かない...!!どうする!?)」
蓮斗「どうしたんですか!?脳が揺れて気持ち悪くなりましたか!?」
天羽「っ....!!やかましい!!」
その一言と共に天羽が動き出す。私の攻撃は徐々に天羽によって弾かれ始めた。依然として私の怪我は治りきっていない。ほんの少しづつ体から力が抜けていくのを感じる。
蓮斗「ぐっ......!!」
背中の傷が激しく痛む。一瞬たりとも油断のできないこの状況、その一瞬の力の緩みが私にとってこの試合最大の痛手だった。
天羽「二重詠唱・空斬龍王!!!」
打ち合いの最中構築していたであろう魔法が一瞬力が緩んだタイミングで放たれる。20m程の巨龍、その大きな爪は正確に私を捉えた。
蓮斗「っ......!!!!」
私の体はその巨龍の爪で引き裂かれた上、後方へ激しく吹き飛ばされる。体には2つの深い切り傷と吹っ飛ばされた事により全身を激しく地面へと叩き付けられた。
天羽「はぁ、はぁ...一瞬とは言え、隙ができて良かったよ...祇梨、俺の勝ちだ....」
天羽はそう、重い体を薙刀で支えながらそう言う。その顔は疲労で曇っており、凄まじく体力を消耗しているのだろう。息が上がり1歩も動けずにいた。
蓮斗「(くそ...治らない...身体中が痛い...やば、意識が...)」
私も満身創痍だった。魔力はほぼ空になり身体を治すこともままならない。もはや私に戦う力などほとんど残ってはいなかった。
天羽「いくらなんでも、少しはしゃぎすぎたな...」
蓮斗「そう、ですね...でも楽しかった...まさか天羽君がこんなに強くなってるなんて思いもしませんでした...」
天羽「俺だって、真祖に訓練をつけてもらったんだ。これ位は出来ないと真祖達に顔向けできない。お前も、そうだろう?」
蓮斗「えぇ...私も何人かに鍛えて貰いました...少しはその成果を見せれたんじゃないかって思ってます。ただ、このままでは終われない...」
天羽「やっぱりお前は、そう言うんだな...」
蓮斗「私にも、負けられない意地がありますから...次で最後です。」
天羽「あぁ、お互い今の自分の出せる最大火力で行こう。」
蓮斗「黒い空、夜の闇、這い寄る混沌、滅びの夢」
天羽「消える世界、止まる時間、絶える生命、永遠の幻想」
蓮斗「血の雨、散乱する骸、黒き鬼、過去の幻影」
天羽「星々の輝き、空を泳ぐ龍、災禍の時」
蓮斗「闇系統二重詠唱」
天羽「次元系統二重詠唱」
蓮斗「黒王鏖災鬼」
天羽「破断〝空絶〟」
私は今持つ全ての魔力を解放し全身全霊の超高速の突進、それを迎え撃つ天羽は空間を断ち全てを破壊する斬撃を放つ。魔法発動1秒で互いにぶつかる。私の蹴りと天羽の薙刀がせめぎ合う。どちらも全力、一進一退の押し合い。
天羽「祇梨!!!」
蓮斗「天羽!!!」
互いの名を叫び力が籠る。そしてその時は来た。私の足は切断され、天羽の薙刀は砕け散った。一瞬の動揺を見せ天羽は焦る。しかし、足の一本が斬られようが私は止まらない。
蓮斗「貰っっったァァァァァァ!!!」
薙刀を失い、体力の限界を迎えた天羽に私の攻撃は防ぐ事は出来なかった。私は蹴りを止め拳を天羽の腹部に叩き込む。天羽はそれを食らい、後方へ倒れ込む。
天羽「くそ...あと少し、だった、のに......」
そう言い天羽の意識は失われた。私も体の限界を悟りその場へ倒れ込む。もう、1歩も動けない。しかし、最後の力を振り絞り腕を上げる。その瞬間、一時間を越す戦いの勝敗は決した。
蓮斗「私の、勝ちだ.....!!!」




