弱さの秘密
蓮斗「闇系統最上位魔法・黒掌影触」
天羽「次元系統最上位魔法・次元龍〝虚空〟」
私と天羽の魔法がぶつかり合い凄まじい衝撃波が生まれる。しかし天羽はそれを無視し私めがけ突っ込んでくる。私は即座に反応し動くが、腕が切断された事により先程よりも動きが遅くなっているのが分かった。
天羽「どうした祇梨!腕が1本無くなったから、動きにくいか!?」
蓮斗「斬ったの貴方でしょう!!!」
私と天羽がその場で激突する。私は隻腕、天羽に至っては万全の状態。少々厳しいものがある。
蓮斗「くっ.....!」
天羽「(やっぱり、パワーもスピードも落ちてる!決めるなら今だ!)」
私を見る天羽の目が変わる。そして、今まで見せなかった動きを天羽が見せる。
天羽「風系統上位魔法・天乱砂塵」
突然私から距離を取り大規模な魔法を発動させる。先程までとは一変、視界が悪くなる。
蓮斗「(何だ...?何が狙いだ??)」
私が突然の奇行に焦りと困惑の感情が浮び上がる。しかしそれが、天羽の狙いだった。
天羽「次元系統最上位魔法・空斬之使徒」
突如、四方から先程天羽が出した空間を切り裂く天使が出現した。私は斬られる寸前で上へ飛び回避する。
蓮斗「(このタイミングでの奇襲...まさか!!)」
瞬間私のいる場所が暗くなった。急いで見上げればそこには先程の龍が数体出現していた。
天羽「次元系統最上位魔法・次元龍〝跋扈〟」
蓮斗「ヤバっ.....!!!!」
私が気がついた時には複数の龍は私の眼前まで迫っていた。当然、防御が間に合わない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
創造神「凄まじいな...あの歳であれほどまで練り上げられているとは。真祖達が気合を入れたか...」
龍鬼「いや、それもあるだろうが1番は彼の才能だな。祇梨蓮斗も確かに天才だ。しかし、ポテンシャルの一点だけ見れば、祇梨蓮斗より天羽綾人の方が数段上だ。今の状況で考えれば、勝つのは天羽綾人だ。」
創造神「そうか...だがその言い方では祇梨蓮斗が何かをやると思っているのか?」
蓮斗「あぁ。もしかしたら、黒王戦鬼の新しい一面が見れるかもな...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蓮斗「ん、ここは.....」
私が目覚めたのは知らない空間だった。そこには何も無く、あるのは果てしなく広がる黒い空間だけだった。ただ静かで、寂しい空間だった。
蓮斗「どこなんだ、ここ.....」
私は周囲を見渡す。やはりと言うべきか、この空間には何もない。ただただ広く、先が見通せない場所だ。私は宛もなく歩く。しかし、歩いても歩いても何も変わらず、何もいない。途方に暮れていると2つのシルエットが目に映った。
蓮斗「!!」
私は気付いたらそのシルエットに向かって走っていた。何故かは分からない。ただ、私はあの二つのシルエットを知っていたのだ。
蓮斗「やっぱり.....」
シルエットの元にたどり着いた私は自然とそう口にしていた。そこに居たのは黒い鬼と前世の私だった。何故ここに前世の私が居るのかは分からない。しかし、前世の私、滝沢修斗は私を光の無い目で見つめる。その目は何かを言っているのよな、そんな目だった。
蓮斗「居たんですね、私は.....」
私はそう彼に言った。しかし、彼は反応を示さない。ただ、私を見つめるだけだった。そんな彼を見ながら私はもう一体の黒い鬼に目を移す。鬼はその場に佇み、どこかを見つめている。その目は以前見た時と同じで、凄まじく強い怨念とそれに負けないほどの哀しみを宿していた。
蓮斗「まだ、恨んでいるんだな...」
やはり私が何を言おうとどちらも反応しない。ダメか、そう思った時。
修斗「お前は、何のために力を求める?」
滝沢修斗が私に問い掛けた。私はその言葉を聞き、直ぐに答えようとした、が、私は声が出せなかった。何故か、上手く思考が纏まらなかった。その意味のわからない状況で私は激しく動揺する。
蓮斗「私が力を求める理由.....?それは、」
私が頭を抱えその場に膝を落とす。それを見た修斗は口を開く。
修斗「お前は、祇梨蓮斗。俺は、滝沢修斗。俺達は同じ意思を持ち、同じ思考をする。だが、目的だけが、一致していない。」
蓮斗「目的...?」
修斗「俺の目的は、妻と娘に会うこと。お前は?」
蓮斗「私の目的...?それは、」
その質問を受け考えた時、初めに浮かんだものは、友人たちの事だった。
蓮斗「仲間を、守る事...?」
そう言うと修斗は目を閉じた。何故だ?何故、2人とも同じはずなのに、目的が違う?その考えが思考を埋め尽くす。その時、修斗が口を開く。
修斗「お前は俺であって、俺ではない。その逆、俺はお前であって、お前じゃない。祇梨蓮斗としてのお前、滝沢修斗としての俺。2つの理想が中途半端に混在する事で、お前は自分に呪めいた枷をしていた。それがお前が負ける理由だ。」
蓮斗「枷...?」
修斗「お前は今、自身の力で誰かを傷付けることを恐れている。だが、そうなっても先に進むと考える自身がいるのもまた然り。その歪さが、今のお前にかかる枷だ。」
蓮斗「.........」
修斗「皆を守りたいお前、妻や娘に会いたいお前。この二つが、同時に存在する限りお前は負け続ける。だから....」
蓮斗「目的を、1つにする?」
修斗「そうだ。だが、切り捨てるのではなく、2つを合わせるんだ。」
蓮斗「二つを一つに...?」
修斗「今のお前は完全な祇梨蓮斗ではない。俺と一つになった時、初めて本当の祇梨蓮斗になる。」
蓮斗「.......」
修斗「天羽との約束、忘れてないよな?」
蓮斗「もちろん。」
修斗「じゃぁ、二人で頑張ろうか。」
そう言い私と滝沢修斗は手を合わせる。ふと鬼の方を見るとこちらを見ているのが分かった。
蓮斗「貴方の力、お借りします。」
そう言うと同時にその場を光が包んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
天羽「終わりだ!!」
数体の龍の同時攻撃。防げたとしても、大ダメージは避けられない。天羽はそう確信した。しかし
蓮斗「闇系統最上位魔法・黒消滅閃」
次の瞬間、黒い閃光が龍に目掛けて放たれる。閃光は容赦なく龍を消し去り、天羽にまで届いた。
天羽「あっぶねぇ!!」
天羽は瞬時に閃光を躱す。それと同時に祇梨蓮斗へ視線を向ける。そこには先程と変わらない祇梨蓮斗の姿があった。
天羽「(あのタイミングで反撃...何か引っかかる...なんだ、この違和感は。)」
天羽は言い知れぬ違和感を祇梨蓮斗に対して抱く。しかしその違和感は次の瞬間確信へと変わる。
蓮斗「治癒系統最上位魔法・生命之癒」
切り飛ばしたはずの腕を一瞬にして再生させたのだ。その光景を目にした天羽は目を見開く。
天羽「(治癒系統の最上位魔法!?使えたのか!?いや、それよりやっぱりアイツ、何かさっきとまでとは明らかに違う!)」
何かを察したのか天羽が降りてきた。その目には明らかな焦りが見えた。
天羽「お前、祇梨だよな?」
蓮斗「えぇ。正真正銘、私は祇梨蓮斗ですよ。」
天羽「それにしては、さっきまでとは明らかに雰囲気が違うな。」
蓮斗「そう、ですか?確かに、迷いが無くなった様な気がしますよ。」
天羽「そうか、それは良かった。じゃあ続き、始めるか?」
蓮斗「えぇ、始めましょう。」
天羽「次元系統最上位魔法・次元龍〝跋扈〟」
蓮斗「今分かったんですけど、それ特殊異能で強化してますよね?」
その言葉と共に音もなく私は天羽に接近する。しかし、その程度では動揺はせずに私に攻撃を放つ。
天羽「二重詠唱・轟雷炎槍」
蓮斗「闇系統最上位魔法・黒消滅閃」
両者の魔法がぶつかり合う、しかし天羽の魔法が押し負ける。
天羽「なっ!?」
蓮斗「雷系統上位魔法・雷帝回蹴」
私の蹴りが天羽を捉える。
蓮斗「リベンジマッチと行きましょうか!」
天羽「望む所だぁ!!!」




