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決勝戦

翔「あの二人、ヤバくね?」

香織「私もそこそこ強くなったつもりだったけど、アレを見ると、自信なくす...」

翔「安心しろ香織。俺もだ。」

そう言いながら私たちが見ているのは決勝戦前の試合をダイジェストにした物だった。その映像は明らかに異常で、普通の単独戦ではありえないスピードで進んでいるのが分かる。

翔「普通、単独戦といえば1試合に15分は掛かる筈なんだが、あの二人が相手だと、一撃で終わるんだな....なんか、あいつらに先輩風吹かせてたの恥ずかしくなってきた。」

香織「あはは、あの2人はねぇ...色んな意味で天才だし、無茶苦茶だから...」

凛「アハハ....」

私はそう言いながら肩を落とすお兄ちゃんの背中を摩る。その光景を見ていた凛ちゃんも苦笑いを浮かべた。

翔「それはそうと、もうそろそろしたら決勝戦か...2人はどっちが勝つと思う?」

凛「そうですね、あまり魔法を見せていないって一点だけを見たら、蓮斗さんじゃないですかね?」

香織「うーん、私はどちらかと言えば天羽君かなー。実際に一緒に訓練とかしてたし、まだ本気も出てないし。」

翔「おぉ、意見が割れたな。」

香織「そういうお兄ちゃんは?」

翔「難しいなー、どっちも価値そうな雰囲気ありそうだからなぁ...だめだ、決めらんねぇ。」

香織「それアリなの?」

凛「それ位、あの二人が強いってことですよ...!」

翔「そーだそーだ。」

香織「もー、調子いいんだからー!」

翔&凛「アハハハハ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

司会「それでは単独戦の決勝進出を果たした両名の入場です!」

その司会の声が聞こえたと同時に私達は同時に動き出した。観客席の歓声は先程の倍以上。私も天羽もその歓声を背に受けながら闘技場に歩を進める。

司会「右コーナー、1年A組天羽綾人!左コーナー、1年A組祇梨蓮斗!両者準備完了です!それでは、試合、スターート!!!」

その声と共に私たちの戦いは始まった。

天羽「約束守ってくれて、良かったよ。」

蓮斗「正面切って宣戦布告されたんです。応じない訳には、いきませんからね。」

天羽「そうか。」

蓮斗「えぇ。」

天羽「じゃぁもう、言葉はいらないよな?」

蓮斗「もちろん。」

その一言を機に闘技場の雰囲気が一変した。先程までの普通の空気は消え失せ、その場には重たい空気が流れる。そして、次に瞬間。

天羽「水系統上位魔法・水蓮溶解」

蓮斗「土系統上位魔法・泥獣跋扈」

私と天羽の上位魔法がぶつかり合い相殺した。私の放った魔法が崩れると同時に天羽は薙刀を手に凄まじいスピードで距離を詰めてくる。

蓮斗「強化系統魔法・脚力・腕力」

蓮斗「氷系統上位魔法・氷爪乱舞」

私は2つの魔法を同時に発動させ天羽の薙刀と撃ち合う。流石と言うべきか、天羽の技術や力は以前と比べ物にならない程に練り上げられていた。

天羽「風系統上位魔法・斬乱変球」

蓮斗「ちっ!」

私は攻撃の合間合間に飛んでくる上位魔法に押され徐々に劣勢になる。しかし、負ける訳には行かない。故に賭けに出る。

蓮斗「二重詠唱・紫電水龍」

天羽「空間系統上位魔法・進変折鏡」

私の放つ魔法を空間魔法で進行方向を変え無事に避ける。しかし、避けた場所が悪かった。

天羽「な、んだこれ!」

蓮斗「土系統下位魔法・土中沼」

私は天羽が避ける場所を数カ所目星をつけその場に魔法を付与しておいた。天羽はそれに気付かずまんまとその沼にハマったのだ。しかし

天羽「しゃらくせぇ!!」

天羽は力任せで魔法を突破しようとする。徐々に下半身が沼を抜け始めたタイミングで私は攻撃する。

蓮斗「雷系統上位魔法・雷帝回蹴」

天羽「やばっ!?」

天羽は咄嗟に薙刀を自身の体と蹴りの間に割り込ませ威力を抑えた。しかし、威力が強すぎたせいか天羽は後方に吹っ飛んだ。

蓮斗「あ、せっかく沼に落としたのに...」

天羽「いってぇ.....危うく、やられる所だったわ。」

天羽はそう軽口を叩きながら立ち上がる。しかしいくら防御したとは言えダメージはある様だ。

蓮斗「鼻血、出てますよ。」

天羽「くっそ、防いだと思ったんだけどなぁ...」

蓮斗「さっき戦ってみて思ったんですけど、天羽君、君ずっと体を防御魔法で固めてますよね?」

天羽「お、バレた?正解。それはそうと、祇梨お前、加減してるだろ。」

蓮斗「やっぱりバレてますよねぇ...」

そう、私達二人はこの試合が始まってからずっと手を抜いている。これは驕りや相手に対しての手加減でもない。それは私も天羽も分かっていた。

天羽「いくらなんでも、今展開されている結界は弱すぎる。お前もそう思うだろ?」

蓮斗「えぇ。これでは私達二人が本気を出せば...いや、どちらか一方が全力を出せば壊れるでしょうね。だから天羽君は本気を出していなかったのでしょう?」

天羽「正解。下手な事すれば、観客席に被害が及ぶからな。それに、ここは全力で戦うには狭すぎる。」

そう、今私達はこの2つの問題を抱えながら戦っているのだ。私達二人が本気を出すか否かで迷っていると観客席の方から声がかかる。

龍鬼「何か、お悩みかな?」

天羽「覇王様、いやそれがーーーーーーー」

天羽は覇王に今の現状を事細かに話した。それを聞いた覇王は何かを考えている。

龍鬼「うーむ、俺は君たちの本気の戦いが見たくてここに来たからなぁ、それが会場の問題で見れないのが残念だな....あ、そうだ!」

なにか閃いたような顔をして覇王は司会席に向かう。突然の事で司会をする生徒は呆気に取られている。そんな彼からマイクを借り覇王は喋り出す。

龍鬼「皆、今彼らは結界の問題で本気が出せない。そこで提案だが、俺の作る世界で2人に戦って貰うのはどうだろうか!?」

覇王は突然そう言った。観客席に座る者や教師陣も全員が驚く。しかし、次の瞬間その困惑は好奇心へと変わった。

「あの二人の全力が見たーい!」

「やってください、覇王様ーー!!」

そんな声が闘技場を包んだ。それを聞き笑みを浮かべる覇王はこちらを向き質問をする。

龍鬼「君達は、どうする?」

それだけの質問だった。それに、私達の答えは決まっている。

蓮斗&天羽「「お願いします!!」」

龍鬼「いい返事だ!」

そう言うと同時に覇王は片腕を上げ詠唱した。

龍鬼「境界虚空〝久遠世界〟」

そう言うと同時にその場を光が包んだ。その場にいた全員が眩しさのあまり目を瞑る。そして私と天羽は気がつくと別の場所に立っていた。

天羽「はは、やっぱ冠位やっべー.....」

蓮斗「同感です....」

圧巻の一言だった。私たち二人が呆然としていると覇王の声が聞こえた。

「その世界は永遠に続く世界だ。どれだけ暴れても、壊れはしない。だから、楽しめ。」

天羽「.......」

蓮斗「.......」

私達はその言葉を聞き静かに笑う。そして2人が向き合う。

天羽「ここまでお膳立てされて、全力を出さない訳にはいかないな。」

蓮斗「えぇ。お互い、本当の切り札を出しましょうか。」

そう言うと両者同時に詠唱する。

天羽「空間、時間、世界、生命の住む場所、触れる大地、触れぬ空気、世界を旅し次元の王」

蓮斗「鬼神、夜の闇、殺戮の王、暗き魂、死の大地、響く断末魔、月に照らされる骸、彷徨う亡霊」

天羽「空間系統根源魔法・次元覇者」

蓮斗「闇系統根源魔法・黒王戦鬼〝災禍〟」

両者共に、今自身の出せる最高を出し相手へと向かう。

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