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クラス対抗戦

蓮斗「とうとう始まりますね、対抗戦。」

天羽「そうだな〜。祇梨の方の仕上がりはどうだ?いい感じか?」

蓮斗「ぼちぼちと言ったところです。」

香織「ねーねー、なんかいっぱいカメラ持ってる人が来てるけど、あれなんだろう?」

蓮斗「あぁ、あれは報道のカメラですね。一応この学園は日本にある魔法学園の中では最大手ですからね、目玉のイベントにはテレビの取材が来るらしいですよ。」

香織「そうなんだぁ。」

天羽「(美月和さんは翔さんから聞いてたんじゃないのか?)」

何やら天羽が頭上に?マークを浮かべているように見えたが私は整列がかかったので足早にそちらへと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

開会式の挨拶も終わり、そろそろ始まるかと思った時、生徒達が騒がしくなった。私も皆が見ている方へ目を向けるとそこには冠位「覇王」と「創造神」が立っていた。

蓮斗「嘘。」

天羽「今まで、冠位がこの大会に顔を見せるなんて、無かった筈だよな?」

そんなざわめきが生徒たちを包んだ。しかし覇王が口を開いたと同時に全員が口を閉じた。

覇王「いきなりの登場、驚かせてすまない。俺達は今日、来賓として来ている。だからあまり緊張しすぎず、全員全力で競技に望んでくれ。以上だ。」

そう言い覇王と創造神はマイクから離れ来賓席へと向かった。

蓮斗「なんか凄い人がゲストで来ましたね。」

天羽「な。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

クラス対抗戦の陣地守りは翔さんが在籍する2年A組が勝利した。やはりと言うべきか学園内でもトップクラスに優秀な翔さんのいるチームが圧倒的だった。

蓮斗「みなさん、お疲れ様です。」

私はそう言いながらたった今協議を終えたクラスメイトに飲み物を渡しながら話しかけた。

美濃部「あぁ、ありがとう祇梨。」

佐藤「ありがとうー。」

全員疲弊しているのか地面に突っ伏している。流石に陣地を守る班と相手陣地を攻める班に別れての戦いは難しかったのだろう。

美濃部「くそー、やっぱり勝てなかったーー!!」

天羽「そうは言っても、結構食らいついてたじゃん。凄え見応えがあっていい試合だったぞ。」

佐藤「そう言ってくれると助かる〜。」

そう言いながら陣地守りに出場したクラスメイトは自身の控え室へ戻って行った。

蓮斗「それにしても、」

天羽「あぁ...」

天羽&蓮斗「翔さんめっちゃ強かった。」

そう私たちはハモリ表彰台に立つ翔さんの姿を眺める。試合中の翔さんは正しく鬼神だった。守りを自チーム全員に託して一人で他チームを襲撃していた。その光景を見て私達は変な笑いが出たのはここだけの話である。

天羽「お、そろそろ宝探しが始まるな。」

蓮斗「そうですね!」

宝探し、それはこの学園のどこかに隠された魔法具、不可視ノ腕輪を探すゲームだ。この競技は探索を得意とする生徒や、戦闘を好まない者が多く参加する競技だ。香織はこの競技で勝つと宣言し控え室を出ていった。私達はただ、香織を応援するだけだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「それでは、宝探し、開始!!!」

その声を聞いたと同時にスタートラインにいた生徒が同時に動きだした。私も動こうとしたが、あまりの人の多さにもみくちゃにされる。

香織「んぐ...動け、ない!!」

何故か誰も動かない。それに疑問を持った私は必死に体をよじって空中に飛び出した。その瞬間、目を疑う光景が目に入る。壁だ。スタートラインの目前に氷の壁ができていたのだ。その壁はとても厚く、とてもだがすぐには破壊が不可能だった。

香織「なんであんなものが、あっ!」

私がふと目線を右にずらすと氷の壁の向こうで動く影が見えた。それは3年の草薙颯太の姿だった。

香織「まさか、スタートと同時に氷の壁を作って、みんなが出られない間に探そうって事!?」

私がそう言うとこちらに気付いたのか草薙先輩がこちらに笑顔で手を振ってきた。

香織「私もしかして今、煽られた?」

ほんの少しだけムッとするが、これも立派な作戦だ。だから文句は言わない。

香織「相手が先にやってきたんだし、私も本気を出そう...」

香織「二重詠唱・炎疾風」

私が魔法を発動すると同時に氷の壁が瞬時に溶け始め、ものの1分で溶けきった。それを皮切りに宝探しに出場していた生徒が動き出す。魔法で飛ぶ者、身体強化で走る者、様々な方法でちりじりになる生徒達。私も負けていられない。

香織「特訓の成果、見せるぞ!」

私はそう言うと深く息を吐く。そして集中する。

香織「特殊異能解放・同一化〝鑑定眼〟」

その詠唱と共に私の目は変化した。私の同一化は今はまだ何と同一化するかはわかっていないが、今まであった能力は世界の記憶に記録される為、私はその世界の記憶と同一化する事で、今まであった能力をある程度扱えるようになった。

「上手くいった!よし、草薙先輩より先に魔法具を見つけよう!」

私はそう意気込み校舎の方へ向かった。下を見ると何やら他生徒が行き詰まっているように見えた。下を見ながら飛んでいると何かに触れ、進路を妨げられた。

香織「なにこれ...!通れない!」

何をしても先に進めず私はその場に留まることになった。一通りの手段で見えない壁を破ろうとしたが何も効果がなく、校舎に進むことはおろか、その場から動けなくなっていた。

香織「はぁ、一体何が.....」

一旦魔法を止めて私は地上に降りる。他生徒もこの仕掛けに手を焼いているのか誰も前に進んでいなかった。私も突破口はないかと考えているとふと1つの疑問が頭をよぎった。

香織「見えない壁、これって魔法具の効果なんじゃ...確か不可視の腕輪の効果は装着者に不可視を付与するって効果だったよね?じゃあこの壁も腕輪の効果が魔法に乗ってるんじゃ...」

そう私の中で結論がでた。ならば鑑定眼では相性が悪い。

香織「同一化〝千里眼〟」

私は鑑定眼から千里眼に同一化を切り替えこの壁の発生源を探す。するとこの不可視の壁が屋上から展開されているのに気がつく。

香織「場所は分かった。でもどうやってこの壁を突破すれば...」

私は思い悩んだ。さっき複数の魔法を放ったがその全てが意味をなさなかった。じゃあどうすれば、そう思った時以前蓮斗が言っていた事を思い出した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

蓮斗「どれだけ強いモノにも弱点はあるんです。それが属性だったり、手数だったり、本当に色々です。もしそれが分からない状況だったら、頭を空っぽにして今の自分にできる最大をやってみるのも良いと思います。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

以前模擬戦をしている時に蓮斗に言われた事。その言葉はまさに今の私に必要なものだった。

香織「私は蓮斗や天羽君みたいな魔法の才能はない...でも、せっかく声をかけてくれたんだ、こんなところじゃ諦めない!」

私はそう自分の意思を口にし自分自身を鼓舞する。そしてそれと同時に詠唱を開始する。

香織「(今の私が使えるのは上位魔法が二種類、中位魔法が7種類...さっき中位魔法を全部使ったけどビクともしなかった。だったら!!)」

香織「二重詠唱・焦嵐〝裂空侵火〟」

私が今使える上位魔法の二重詠唱。不可視の壁自体は未だそこにある。しかし、魔法によってヒビが入りそこを火が燃やし崩していく。私が魔法を放ち3分ほど経った頃、不可視の壁は崩壊した。

香織「よしっ!」

壁が崩れたと同時に私は動いた。しかし私に続く影が目に映る。草薙先輩だった。

香織「なんで!?」

草薙「いやー、僕も腕輪の場所は分かってたんだけど、壁が邪魔で進めなかったんだ。でも君が破るのが見えたから追いかけてきた。」

香織「まさか、私が壁を破るのを待ってたんですか!?」

草薙「そうだよ!」

そう言い草薙先輩は加速し私よりも先を走る。このままではまずい。そう思った時ひとつ閃いた。

香織「風系統中位魔法・風塵ノ檻」

私がそう唱えたと同時に草薙先輩の動きが止まる。私はその隙に屋上へ向けて走る。

草薙「まだまだ!」

後ろを向けば風の檻を突破した草薙先輩が追ってきているのが見えた。

香織「もう少し止まっててくださいよ!」

草薙「断る!」

そう言いながら私は先に屋上へ到着。すると手すりに置かれた不可視の腕輪が目に入る。私はそこに向かって走る。後ろには草薙先輩。お互いもう魔法は使わずただ走るだけ。そしてついに

香織「取ったーーーーー!!」

不可視の腕輪は私の手の中にあった。草薙先輩との差はおよそ30cm。ギリギリの勝利だった。

香織「あー疲れたー....」

私はそういいながら仰向けになる。そして仰向けになりながら草薙先輩へ質問をする。

香織「最後、なんで魔法を使わなかったんですか?使っていれば勝てたのに...」

草薙「俺、魔力制限するの苦手なんだよ。だから下手に制御しようとすると暴発起こすから個人相手には使わないようにしてるんだ。まぁ、その結果君に負けたんだけどな。」

香織「あはは。そうだったんですね。でも、勝ちは勝ちですよ。」

草薙「お、煽るね〜。」

香織「スタートの時のお返しです!」

草薙「そう。でも、楽しめたよ。えーっと、君名前は?」

香織「美月和香織です。」

草薙「そう。ナイスファイト、美月和ちゃん。」

そう言い草薙先輩は私に手を差し出し私を起こしあげた。そして私と草薙先輩は握手をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蓮斗「香織さん、勝ちましたね。」

天羽「3年相手によくやったな。後からお祝いしないとな、な?祇梨。」

蓮斗「えぇ、そうしましょう。」

天羽「残るはあと1つ、単独戦だけだな。」

蓮斗「陣地守り、宝探し、そして単独戦。この大会の最大の目玉競技...頑張りましょうね。」

天羽「おう。」

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