クライマックス
香織「月曜日から蓮斗が投稿再開するんだってー。元気にしてるかな?」
翔「あいつの事だし、元気にやってるんじゃないか?」
香織「そうだよね〜。あ、凛ちゃんお菓子食べる?何か食べたい物があればお兄ちゃんが作ってくれるってさー。」
凛「あ、今は特にないので、大丈夫です...!」
香織「そう?じゃあ食べたくなったら言ってね。」
翔「お前な...。」
天羽「流れる様に翔さんが作る前提で話進めてましたね。」
香織「あはは〜、気にしない気にしない!!」
そう談笑しながら私達は家でくつろいでいた。今日は土曜日、私は凛ちゃんを、お兄ちゃんは天羽君を誘って家で遊んでいた。不意に時計を見ると12時を回っていた。
香織「あ!もう配信始まるんだった!!」
天羽「配信?」
翔「あぁ、あいつ芸能事務所がやってる配信を毎週見てるんだよ。確か朝日の配信だったはず...」
凛「香織さんって、アイドルが好きなんですか?」
香織「うん!昔から好きでよく見るんだ〜!」
そう言い私は動画サイトからライブを選択した。するとちょうど始まった所だった。
アイドルA「こんにちは〜!今日の配信は私達はがいつも、踊りの練習や、演出で使う魔法の訓練を行う訓練場で行いまーす!」
アイドルB「ですが今日は、先に訓練場を使っている人もいるみたいなので、その人たちの練習風景を見て見ましょう!!」
天羽「へー、思ってた配信とは違うけど、結構面白そうだね。」
香織「でしょー!気に入ったら天羽君もチャンネル登録しときなよ〜!」
天羽「気に入れば、しますよ。」
凛「(香織さん凄くウキウキしてるなぁ...)」
そう話していると、アイドル達が訓練場の前まで着いた。その外装はとても大きく、中がとても広いのが見て取れる。私はそんな感想を抱いているとアイドル達は訓練場の中に入った。アイドル達が喋りながら歩いている映像を見ていると不意にお兄ちゃんが変な事を言い始めた。
翔「なんか、変な音聞こえね?」
天羽「そう、ですね...確かに聞こえますね。」
お兄ちゃんに続き天羽君も同じ事を言い始めた。私も耳を澄ましてみると確かに、何かがぶつかり合う様な異質な音が聞こえた。それにアイドル達も気付いたのか、表情が少し強ばる。
アイドルA「何か変な音するね...」
アイドルD「先に使ってる人が、魔法の練習をしてるのかな...?」
アイドルB「それになんかどんどん音、大きくなってない?」
その言葉にアイドル達に緊張が走る。訓練場のの入口に着くと、先程まで微かにしか聞こえなかった音が、ハッキリと聞こえるようになっていた。
アイドルA「じゃあ、開けるよ...?」
そう言い彼女が扉を開けた。瞬間、とてつもない揺れがその場を襲った。アイドル達はその場にたっていることが出来ずに膝を着く。揺れが収まると、アイドル達は呆然と訓練場の中を見ていた。彼女たちの目線の先には、凄まじい光景が広がっていた。
アイドルA「なに、あれ...」
アイドルB「分かんない....」
彼女たちが唖然とするのも無理もない。訓練場は大規模な破壊痕が着いており、辺り一面氷で覆われ、所々が燃えているという、正しく異常な状態だったからだ。するとアイドル達に気付いた誰かがアイドル達に近づいてきた。
新庄「皆さん、大丈夫ですか?」
アイドルC「あ、はい。ちょっとびっくりしちゃっただけです。」
新庄「それならば良かったです。」
アイドルA「あの社長、これは一体どういう状況なんですか...?」
そう彼女が社長に質問をする。それに答えようと社長が口を開こうとした瞬間、誰かによってそれは制止された。
???「外は危ないので、話すのであれば結界内でお願いします。」
聞きなれない女性の声がその場に響いた。アイドル達も分からなかったらしく声の方へ顔を向けた。そこには一人の女性が腰かけていた。
新島「初めまして皆さん。私の名前は新島杏、国防軍の統括総司令官補佐をやっている者です。」
なんとそこには国防軍の総指揮の補佐をしている新島杏さんが居た。
アイドルC「え、本物...?」
画面の向こうでそんな声が聞こえた。かという私達も驚きを隠せなかった。
香織「なんで国防軍の偉い人が、朝日にいるの?」
天羽「さぁ...?なんか用があったのは確かだね。」
私と天羽君がそう話していると新島さんが喋り始めた。
新島「私がここに居るのは、貴女達のプロデューサーさんに用があったからです。貴女達に何かするつもりはありませんので、そんなに緊張しないでください。」
新庄「新島さんの言う通り、彼女たちは用があってここに来ているので、あまり騒がないように。」
アイドル達「分かりました。」
朝日の社長とアイドル達がそんな話をしている最中、動画のコメント欄はもの凄い勢いで流れていた。
「なんで国防軍の新島さんが?」
「唐突な有名人登場で笑う。」
「神回だね。」
そんなコメントで溢れかえっていた。そんな中、いきなり爆発音のような音が、訓練場に響き渡った。音が聞こえたと思ったつかの間、誰かがこちらに吹っ飛んできた。
アイドル「きゃあ!!」
突然の出来事にアイドルたちは驚き、悲鳴をあげていた。画面越しの私達もそれに驚き、変な声が出た。すると、新島さんが慌てたように吹っ飛んできた人物に声をかけた。
新島「蓮斗くん、大丈夫!?」
香織「え.....?」
「蓮斗くん」。彼女は今確実にそう言った。一瞬私達の脳裏に蓮斗の顔が浮かんだ。瞬時に今いる4人が顔を見合せ、沈黙が流れた。
翔「今新島さん、蓮斗くんって言わなかったか?」
凛「言いましたね...」
天羽「言ったな。」
翔「まさか、蓮斗じゃ....」
天羽「いやいや、流石に人違いだと思いますよ。」
お兄ちゃんの言葉を遮るように天羽君が言葉を発した。私も何か引っ掛かるモノがあり、画面を食い入る様に見ていた。
???「大丈夫、です...!」
画面の向こうから聞き馴染んだ声が聞こえた。その人物はその場に立ち上がりこちらに目線を向けた。そこには私達のよく知る、祇梨蓮斗が立っていた。
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新島「大丈夫!?」
蓮斗「大丈夫、です...!ただ少し、吹っ飛ばされただけですので...!」
私は結界の近くまで吹き飛ばされて来た蓮斗くんに駆け寄りながら聞いた。近づいて気付いたが、蓮斗くんに体は至る所に怪我を負っていた。おまけに、所々、氷魔法の影響か凍傷や凍結している部位も見受けられる。
新島「やっぱり宵ノ森さんも、蓮斗くんに攻撃を通せるんだね...」
蓮斗「そうですね、流石に本気ではやってはいない様子ですけど、それでもこれだけのダメージを通してくるので、油断出来ない相手です。」
私と蓮斗くんが会話をしていると、訓練場の中央部から宵ノ森さんが歩いて来るのが見えた。その手には夜の闇の様な黒く鋭い槍が握られていた。
宵ノ森「...ん?どうしてフィリスのみんながココに居るの?...あ、そうか今日配信日だったね。」
蓮斗「配信?あぁ、朝日がやってる週一の...」
宵ノ森「流石に、私と君との戦いに巻き込む訳には行かないね。結界を張り直そうか。」
蓮斗「はい、お願いします。」
宵ノ森「空間系統最上位魔法・広域展開〝次元断層〟」
蓮斗「(さっきから感じていたが、ぽんぽんと最上位魔法を...どれだけの魔力を保有してるんだ...?)」
新島「では皆さん、こちらに来てください。念の為、私がもう1枚結界を張るのでその中から観戦して下さい。」
全員「分かりました。/はーい。」
結界の構築が始まり、結界内には蓮斗くんと宵ノ森さんだけが残った。
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宵ノ森「そういえば私、槍を使わせれば君の勝ちって言ったよね。どうする?もうやめておくかい?」
蓮斗「ここまで来て、やめませんよ。まだ貴女に一撃も入れていませんしね。」
宵ノ森「はは、君ならそう言うと思ったよ。じゃあ、お互い本気で行こうか...」
蓮斗「えぇ...。」
蓮斗「(闇魔法の最上位魔法を2回も使った...。だから、ここら周辺の地脈の魔力も空っぽ。だから使えるのは体術と少しの魔法だけ...でも、一つだけ使える魔法がある...でも、)」
宵ノ森「蓮斗君。」
蓮斗「はい?」
宵ノ森「今君が考えてる事をやって良い。全て私が受け止めてあげるから。」
蓮斗「...!!はい、分かりました!」
蓮斗「(あそこまで言ってくれたんだ。その期待に応えよう。)」
私はその場で息を整えた。そして詠唱を開始した。
蓮斗「鬼神、夜の闇、殺戮の王、暗き魂、死の大地、響く断末魔、月に照らされる骸、彷徨う亡霊」
蓮斗「闇系統根源魔法・黒王戦鬼〝災禍〟」
闇系統の最上位魔法を使った事により私は黒王戦鬼の力を更に制御することが出来た。因子を併用し、今出せるギリギリのラインでの発動。先程より出力が高くなり、体に力が溢れる。
宵ノ森「へぇ...もうその領域まで行けるのか。うん、とても良いものを見せてくれた君に、今の私ができる最大でお返しをするよ。」
宵ノ森「二重詠唱・炎氷神化〝冠〟」
宵ノ森さんがそう口にした途端、とてつもない圧が迫ってくる。今宵ノ森さんは2つの根源魔法で二重詠唱を行ったのだ。そんな事が出来る宵ノ森さんに私は軽く乾いた笑いが出てしまった。
蓮斗「はは、私に憑いてる黒王戦鬼より、宵ノ森さんの方が強そうですね...。」
宵ノ森「フッ、そんな事はどうでもいいさ。今はただ、お互いの全力をぶつけ合おう。」
蓮斗「えぇ、そうですね。」
私がそう言い切ると辺りには静寂が流れる。私達はお互いから目を離さず、じっと相手を見つめる。
新島「(来るっ!)」
その瞬間、私達は互いの眼前に出現した。それと同時に拳と槍がぶつかった。とてつもない衝撃波が生じ、辺りに散らばった氷塊や瓦礫が結界まで吹き飛んだ。
宵ノ森「二重詠唱・凍結蛇炎」
蓮斗「闇系統最上位魔法・暗天災禍」
二人の最上位魔法が衝突し大規模な爆発が生まれた。観戦している新島さん達は私達二人の常軌を逸した攻防に息を呑む。
宵ノ森「いいぞ蓮斗君!だが、もっとだ!もっと君の力を見せろ!」
蓮斗「言われなくても分かってます!!」
蓮斗「二重詠唱・雷帝斬風」
私の放った魔法は宵ノ森さんにあっさりと防がれた。しかし、出力が格段に上がり、宵ノ森さんは防御ごと後ろに吹き飛ばされる。
宵ノ森「はは、凄いな!防御した筈が、問答無用で吹っ飛ばされるとは思わなかったよ!」
蓮斗「少しは、疲れてくださいよ!」
宵ノ森「何を言う蓮斗君!ここまで体力を消費するのは久しぶりだ!誇っていい!」
蓮斗「素直に喜べません!」
私達はそんな事を言い合いながらも戦闘を続ける。連続の最上位魔法の発動。私に残った魔力はせいぜい最上位魔法一発分のみ。
蓮斗「(さて、どうする?魔力が尽きても根源魔法は継続されるが、魔法が使えないのは厳しいな...どうすれば宵ノ森さんの防御を突破できる?考えろ!)」
私はここ1週間の宵ノ森さんとの戦闘を思い出す。何か、宵ノ森さん攻略の糸口がないかと思考し続ける。すると一つだけ、本当に少しだが宵ノ森さんの防御を貫通することが出来るかもしれない。そう考えがまとまった瞬間、私に宵ノ森さんの神速の乱れ突きが襲いかかった。
蓮斗「くっっそ...!!!」
宵ノ森「さっきから何か考えている様だが、それをさせる程、私は甘くないぞ!」
間一髪、全ての突きを躱したが、体勢が崩れた。その隙を宵ノ森さんが見逃す筈もなく、槍の横薙ぎが腹部に強烈に突き刺さる。
蓮斗「がァっ!?」
私は瞬時に吹っ飛ばされ、地面に転がる。
蓮斗「はぁ、は...ア゛ア゛......!!!」
息を整えようとした瞬間激痛が走る。そして次の瞬間、私は大量の血を吐いた。
アイドルA「ひっ.....!!」
アイドルC「凄い....!」
新庄「まさか、あそこまで宵ノ森が本気を出すとは....それ程、あの少年が強いのか...?」
朝日の面々は様々な反応を示していた。ライブ配信を移す画面はとてつもない盛り上がりを見せていた。
蓮斗「治癒系統上位魔法・治癒再生付与」
蓮斗「(はぁ、はぁ、上位魔法を使ったせいで、魔力がほんとにギリギリだ...常時発動する特殊異能に、魔力を回さなかったのは正解だった....)」
宵ノ森「さぁ、これを避けてみな。」
宵ノ森「三重詠唱・災禍〝千変万化〟」
蓮斗「ここに来て、なんて魔法使うんですか...」
蓮斗「(まだだ...まだタイミングじゃない...)」
私は防御魔法も展開せずに魔法を真正面から受けた。魔法が終わり、煙が晴れる。私の姿を見た新島さん達はあまりの光景に目を瞑った。私は辛うじて耐えた。が、防御体勢で前に出した右腕は全ての骨が粉砕し、もはや、原型を失っていた。
宵ノ森「これを、魔法も使わずに耐えたか...でも、これ以上は君の身がもたない。終わりにしよう。」
そう言い宵ノ森さんが一歩踏み出した。
蓮斗「...!!ありがとう、ございます!」
宵ノ森「何を...。な!?」
私は宵ノ森さんがほんの一瞬集中が途切れるタイミングを見つけていた。それは、私が大ダメージを受けた瞬間。私はそれを狙って最上位魔法を発動させる。
蓮斗「闇系統最上位魔法・黒消滅閃」
私が今持つ全ての魔力を一点に集中させる放つ全てを消滅させる黒い閃光。それは宵ノ森さんが発動させた全ての結界を貫通した。
蓮斗「はぁ、はぁ.....」
観戦組「.......」
宵ノ森さんが立っていた場所は濃い煙で包まれていた。そしてその煙は次第に晴れ宵ノ森さんの姿が顕になった。そこには傷一つ無い、無傷の宵ノ森さんが佇んでいた。
蓮斗「はは.....あそこまでやって、無傷って、無茶苦茶じゃないですか...」
私はその姿を見て全身の力が抜けた。もはや立っていることすら私には出来なかった。私は前に倒れようとした。しかし、それは誰かの手によって倒れなかった。受け止めた人を見ると宵ノ森さんだった。
蓮斗「宵ノ森、さん...」
宵ノ森「はは、龍灯って呼んでって言ってるのに...あと、君の最後の魔法、見事だったよ。流石に防ぎきれなかった。」
そう言い宵ノ森さんは右手を見せてきた。そこには、皮膚が裂け、血が滲む手があった。
蓮斗「あ....」
宵ノ森「これは君が最後に放った魔法で出来た傷だ。だから君は、課題を全てクリアしたんだ。」
蓮斗「よか、った.....」
宵ノ森「うん、お休み蓮斗君。今はゆっくり寝て、休んでくれ。」
私は宵ノ森さんに一撃を入れれた事を知り安堵した。そして、私はそのタイミングで気を失った。こうして私は、日本の三大都市、学園都市、妖人街、東京での修行を終えた。
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龍鬼「おぉ、あの少年、滅茶苦茶強くなってるじゃん。まさかあの龍神に一撃を入れるとはね。凄いね、兄者もそう思うだろ?」
???「まさか、この短期間でここまで強くなるとは、思わなかった。」
龍鬼「天廻龍が、見込みのある魂を転生させたとは言ってたけど、ここまでとはね。なぁ兄者。いや、滅亡神?」
滅亡神「そうだな。転生者の魂と黒王戦鬼、そして、祇梨蓮斗という3つの魂を保持する者。これからどうなるのか、楽しみだ。」
龍鬼「ははは、そうだな。あとそれと、」
滅亡神「?」
龍鬼「天羽綾人と美月和香織が真祖達と接触したね。これについてはどう思う?」
滅亡神「いいんじゃないか?その2人の人間は、祇梨蓮斗と同じレベルのポテンシャルを秘めている。強くなるのなら、文句は無いさ。」
龍鬼「そう、ならいいか。それに、末っ子があの二人をずっと観察してるから、問題ないか。」
滅亡神「あいつずっとあの二人見てるのか。なんと言うか、暇なんだな。」
龍鬼「はは、そう行ってやるな兄者。俺たち冠位は暇な方が、世のためだろ?」
滅亡神「それもそうだな。」




