会話
蓮斗「がハァッッッッッッッッ!!」
宵ノ森「まだまだぁ!」
訓練が開始してはや三時間が経過していた。私はと言うと開始して3時間、宵ノ森さんからの殴る蹴るなどの攻撃を受け続けていた。気が付けば歯が何本も折れ、鼻血などでもはや誰か分からなくなっていた。
蓮斗「ぜぇ、ぜぇ...まだまだぁ!」
蓮斗「雷系統上位魔法・雷翔絶刃」
宵ノ森「遅い!!そんなものではいつまで経っても私には届かない!根源魔法を使え!」
そう言いながら宵ノ森さんは私を後方に300mほど蹴り飛ばした。
蓮斗「出来るのなら、とっくの昔にやってます... !まだ、上手くいかないんですよ!」
蓮斗「(と言っても、殴られ過ぎて体のあちこちが痛い...骨が何本か逝ってるな...感覚もだんだん鈍くなってきた。早く、何とかしないと...)」
そう思考していると突然地面から氷柱が突き出してきた。
蓮斗「あっぶな!!」
ギリギリの所で氷柱を避け、地面に転がる。何が起こったのか分からずにいると、宵ノ森さんが目の前に現れ、腹部に強烈な拳を叩き込まれた。
蓮斗「アガッ.....!!!!!」
あまりの威力に体からミシミシという嫌な音が聞こえる。腹部から拳が離れた瞬間私が地面に膝をつき、地面に大量の血を吐き出した。
宵ノ森「蓮斗君、今君がしているのは訓練じゃない。殺し合いだ。今のまま行くなら私は君を殺す。もし殺されたくなければ、根源魔法を死ぬ気でモノにしろ。でなければ、君は一生、黒王戦鬼を制御する事は出来ない!」
その言葉と同時に宵ノ森さんの強烈な蹴りが顔に入った。もはや、苦悶の声すら出なかった。
蓮斗「ヒュ-、ヒュ-」
私が出せた音といえば、ただの呼吸音だけだった。
宵ノ森「.........。」
宵ノ森さんは静かに私を見ていた。その目には、一切の容赦は無かった。しかし、それ以上に何かを信じている様にも見えた。宵ノ森さんが再び動きだした。
宵ノ森「氷系統上位魔法・氷雪獣〝紅雪〟」
突如出現した白い獣が私に噛み付く。しかし、私は一切の抵抗ができない。瞬間意識にモヤがかかり始めた。
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蓮斗「(まずい、意識が.....)」
私の意識は徐々に薄れ、消えそうになった時声が聞こえた。
蓮斗「(また、黒王戦鬼か...?)」
そう思ったが、聞こえてきた声は私が致命傷を負った時に聞こえたあの冷たいモノではなかった。
「大丈夫、君ならできる。私たちを信じて...!」
声が聞こえた方に目を向けても誰も居ない。でも小さな光が幾つか見えた。
蓮斗「(誰...?)」
「私達は誰でもない。ただ、君の中にいるただの因子だ。」
蓮斗「(因子...?それって、月柳さん達が私にくれた...)」
「そう。私達は彼女達が君に渡した因子。今君が聞いてる声は、ただの幻想。」
蓮斗「(幻想...?)」
「話は後。今はこの状況をどうにかしないと。」
蓮斗「どうやって...?」
「私たちが君のからだを癒して、必要な箇所を補強する。不完全だけど、根源魔法を扱えるようにしよう。」
蓮斗「(できるのか...?私に?)」
「えぇ。できるとも。」
蓮斗「(でも、怖い...)」
「そう?」
蓮斗「(もし、制御出来なかったら、誰かを傷付ける...それがどうしようもなく、怖い...)」
「そうだよね。でも、悪いことだけ考えちゃダメ」
蓮斗「(え...?)」
「彼女が言ったように、頭を柔らかくして。怖いと思うから上手くいかないの。だったら少し開き直って、利用してやるって考えよう。」
蓮斗「(突然そう言われても、できる訳...)」
「できる。私達を、そして貴方自身を信じて。この二週間でやってきた訓練を思い出して。」
蓮斗「(今までの訓練...)」
「そう。今までの訓練は、この黒王戦鬼を制御する為のもの。だから、きっと大丈夫。」
蓮斗「(でも、やっぱり怖い。)」
「どうしても、怖い?」
蓮斗「(あぁ、こわい。でも、君たちの言う通り、少し、開き直ってみようかな...?)」
「そう。頑張って。」
蓮斗「(うん。)」
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宵ノ森「終わりか...やはり、まだ子供、覚悟ができていなくて当然か...一旦中止にするかな...!?」
蓮斗君に背を向けた瞬間私の魔法が突然消し飛んだ。すぐさま私が後ろに向き直ると私に魔法は完全に消え、蓮斗君だけが立っていた。
宵ノ森「(怪我が塞がって行く...それに、雰囲気もさっきと少しだけ違う...?)」
私がそう思いながら蓮斗君を観察していると蓮斗君が呟いた。
蓮斗「闇系統根源魔法・黒王戦鬼〝序〟」
そう呟いた瞬間、蓮斗君に変化が訪れた。1本の角が生え、両掌だけが黒く、異形化した。
宵ノ森「蓮斗君、君...」
蓮斗「お待たせして、申し訳ありません。ここからが本当の訓練です。」
宵ノ森「は、ははははは!やっぱり君面白いね!蓮斗君!流石は、あの二人の息子だ!」
どうやら私の見立ては外れていたらしい。訓練はここから面白くなりそうだ。




