最後の関門
新庄「ようこそ、芸能プロダクション朝日へ。私達は君たち二人を歓迎しよう。」
そう言ったのは朝日の社長、新庄武尊だった。私と新島さんは中に通され面会をしていた。
新島「いきなり誘拐事件の現場に居合わせたのかと思って焦りましたよ。」
そう言いながら新島さんは苦笑いを浮かべた。先程の誘拐は宵ノ森さんの魔法で幻覚を作り上げていたらしい。時間も2時間も経っておらずせいぜい10分そこらしか経っていなかった。
蓮斗「(人でも、神に近い力って使えるんですね。正直、本物と幻覚の区別が今でもつきません...)」
私がそんな事を考えていると扉が開き、数人が中に入ってきた。
宵ノ森「やぁ、さっき振りだね、祇梨蓮斗。君の話は、色んな人から聞いてるよ。」
蓮斗「はぁ、それって誰から聞いたとかって聞いても大丈夫なやつですか?」
宵ノ森「えぇ。話していたのは、清和に紗奈さん、間宮に界人だね。」
蓮斗「え゛」
今宵ノ森さんが出した名前は私の両親や私が今まで巡ってきた場所の訓練をつけてくれた人達の名前だったからだ。私が呆然としていると新島さんが宵ノ森さんに質問していた。
新島「宵ノ森さんって、蓮斗くんのご両親や、滝壺さんや楽海さんとお知り合いなんですか?」
宵ノ森「えぇ、そうよ。皆とは腐れ縁でね、たまに会って食事もするよ。」
新島「そうなんですか!仲がよろしいんですね。」
宵ノ森「そうでもないさ。ところで蓮斗君、さっきから私を見ているが、私に惚れたか?」
蓮斗「いや全く。ただ...」
宵ノ森「キッパリと言うね君。ただ何かな?」
蓮斗「貴女の使っていた幻覚を作る魔法に興味があって、どうやるのか教えて貰えませんか?」
宵ノ森「えぇ...私こう見えて結構美人って自負してるんだが、自分の魔法に負けるとは思わなかったよ...」
新島「宵ノ森さん、蓮斗くんはそういう子です。」
蓮斗「?」
何やら宵ノ森さんの肩に手を置き新島さんが励ましている様に見えるのは私の気のせいだろうか?
新庄「おほんっ!今日から1週間君達はここで宵ノ森と訓練をすると聞いてはいるが、それほどまでにその少年が切羽詰まっているのか?」
新庄社長がそう切り出した。新島さんは私の事情を今まで滝壺さんと楽海さん、神々にしか打ち明けていない。それは私に気遣っているのだという事は分かっていた。今この空間には私と新島さん、新庄社長と宵ノ森さん、朝日に所属するアイドルや俳優もいる。ここで話せば、私が闇魔法の使い手とバレる。そう思い新島さんは言い出せないのだろう。しかし私は覚悟はもう済んでいる
蓮斗「質問に答えます。今私は黒王戦鬼に憑かれており、それを制御するために、国防軍の総司令官の推薦された場所を巡っています。今は2回の暴走を経験しています。」
朝日の人々「!?」
私の発言にこの場の話が聞こえる者達が驚愕の表情を浮かべた。無理も無い。今自身たちと同じ空間に、かつてあったした大災害が存在してるのだから。拒絶されるのなんて分かっていた。
蓮斗「やはり、こうも一般の方が居る場では訓練は出来ません。不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。」
そう言い私が頭を下げようとした時誰かが吹き出す音がした。
宵ノ森「フッ、アハハハハハハハハハハハ!」
そちらに目を向けると宵ノ森さんがお腹を抱えて笑っている所だった。その場に居た全員が面食らい、状況を上手く呑み込めていなかった。一通り笑った宵ノ森さんがゆっくりと顔を上げ私の顔を見た。
宵ノ森「なるほど、国防軍の総司令官がいきなり通達を寄越したかと思えば、そういう事か...君も厄介な奴に憑かれたものだな。」
そう言い宵ノ森さんはこちらに歩いてくる。私の目の前まで来て、宵ノ森さんは私の顔を手で掴んだ。
宵ノ森「うん、気に入った。君の訓練は私が直々に行おう!社長、異論はありませんね!?」
その唐突な発言に朝日に所属する全員が驚いていた。無論私も新島さんも例外ではない。
新庄「...いいのか?黒王戦鬼と言えば、倒すには冠位クラスの強さがなければ厳しいぞ?」
宵ノ森「それ、分って言ってますよね、社長?」
その発言を受けて新庄社長はやれやれと言った表情を浮かべ口を開く。
新庄「...分かった。お前には多くの貸しがある。それに、お前なら、黒王戦鬼にも勝てるだろう?だから、ここでの訓練を認める。」
新島「本当ですか!?」
新庄「あぁ。これでも社長だ。二言は無い。」
新島「やったね!蓮斗くん!」
蓮斗「はい、ありがとうございます。新庄社長。そして、宵ノ森さん。」
宵ノ森「よろしくね、蓮斗君。あとそれと、私の事は宵ノ森じゃなくて、龍灯って呼んでね。」
蓮斗「...?分かりました。」
こうして無事、私たちは3つ目の場所で訓練を開始することになった。




