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捨て身の力と禁忌の存在

そこには1体の鬼がいた。その風貌は正しく言えば片角のボロボロの男。全身のいたる所から出血しなぜ立てているのかが分からない異形。私たちはその姿を目にした時全員が戦慄し息を飲んだ。しかし、その顔には見覚えがあった。

新島「蓮斗、くん...?」

そう、そこに立っていたのは私と一緒にここに来た祇梨蓮斗だった。彼はつい先程あの邪神によって遠くに吹き飛ばされたはず。その上、神からの直接攻撃ともなれば、動ける筈が無い。しかし彼は今私達の前に立っている。

月柳「まさか、黒王戦鬼なのか...?」

私はその一言で全身に鳥肌が立った。また、あの怪物が表にでてきたの考えると体が動かない。私がそう思っていると、彼はゆっくりと口を開き言葉を紡ぐ。

蓮斗「大丈夫です...俺は、祇梨蓮斗です....。」

彼はそう言った。私は安堵しかけたが彼の発言に違和感を感じた。今彼は自分のことを〝俺〟と言ったのだ。いつもの蓮斗くんなら一人称は私の筈。そう思っていると蓮斗くんが動き出した。ゆっくりと1歩1歩、邪神に近づく。その刹那、腕再生させた邪神がこちらに攻撃を仕掛ける。

滝壺「今、邪魔をするな…!!」

滝壺「火系統最上位魔法・蛇炎」

そう詠唱した瞬間巨大な蛇が邪神の巨体に噛みつき後方へ引きずって行く。

滝壺「一応確認だけど、君本当に蓮斗君だよな!?黒王戦鬼が成り代わってるなんて事ないよな!?」

蓮斗「はい...大丈夫です。滝壺さん、アレを倒すの手伝って貰えますよね?」

蓮斗くんは滝壺さんの問いにそう答えた。私はまだ、何かあるんじゃないかと少し引っかかるがこの考えは今は邪魔だ。今は彼の体を少しでも回復させよう。そう思い近づこうとした時月柳さんがそれを阻止した。

新島「え、どうしたんですか?月柳さん。」

そう思い神の方へ目線を移すとその場に居た六柱の神が何かを警戒するような面持ちで蓮斗くんを見ている。

月柳「理由は分からんが、童め、黒王戦鬼の力を僅かとはいえ引き出せたのか...!」

黄昏「あれは、私達神とは全くの別種...下手に近づけば命が危ない...だから近づいちゃダメ。」

そう言いながら黄昏さんが私の前に立つ。すると

滝壺「蓮斗君、その体でまだ戦うつもりか?」

そう滝壺さんが蓮斗くんに問いかけた。すると蓮斗くんは滝壺さんの目を真っ直ぐ見て言った。

蓮斗「俺は、あれに勝って、因子を取り込まなければならない。だから、戦います。」

その言葉を聞き滝壺さんは数秒考えて

滝壺「分かった!ただし、無茶だけはしちゃダメだ。分かった?」

蓮斗「分かりました。」

そう言った2人は同時に邪神の方へ向き直り、同時に地面を蹴った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蓮斗「闇系統上位魔法・黒豹の群れ〝千〟」

彼がそう詠唱するとその場に千を超える大量の黒豹が出現した。出現したそれらはその全てが邪神に向け走り出し、飛びかかる。さながら獲物を狩る獣のように。

滝壺「祟炎魔法・呪光・焼爛」

滝壺さんも蓮斗くんに続き魔法を発動。光に当たっている場所がいきなり燃えだした。やはりと言うべきか、黒王戦鬼も強かったが、それを一方的に倒す滝壺さんもとてつもない強さを持っていた。

月柳「皆の者!これよりあやつら2人を援護する!遠距離魔法が使える者は準備が整い次第攻撃を開始せよ!いいか、ここで奴を仕留めるぞ!」

戦士達「おォォォォォォ!!!」

そう雄叫びを上げその場に居た全ての戦士が魔法を発動させた。攻撃は次々と邪神に命中し体の表面だけだが抉り取っていく。それが不快と言わんばかりに邪神がこちらに目を向ける。しかしこちらには来られない。なぜなら

滝壺「祟炎魔法・祟呪崩炎」

蓮斗「闇系統上位魔法・黒掌崩壊」

こちらに意識を向ければ目の前にいる存在からとてつもなく重い一撃が飛んでくる。それを理解したのか、邪神はこちらに意識を向けなくなった。

月柳「刹那!黎明!お主らの出番じゃ!」

二柱「「分かった!/了解...」」

黎明「権能解放・明けの明星」

刹那「権能解放・停止世界」

二柱同時の権能解放。邪神は刹那さんの権能で動きが止まり複数体の黎明さんの攻撃で4箇所が同時に爆ぜた。しかし、相手も神。刹那さんの権能を破り再び動き出す。爆ぜた4箇所の再生に注力しているのか先程よりも動きが遅い。

月柳「次、黄昏と花園、麻姫!」

三柱「「「分かった!/OK!/承知〜」」」

黄昏「権能解放・神獣跋扈」

花園「権能解放・植物世界」

麻姫「権能解放・幻覚世界」

続いて3人同時に権能を解放。瞬間植物が伸び邪神を拘束、幻覚世界の影響で邪神の動きが更に鈍り迫り来る神獣に対し一切の防御行動を取らずに攻撃を喰らう。体の装甲が大破し夥しい量の出血。血が抜けた事により気付けになったのか再び行動を再開。体を再生させながら神獣達を薙ぎ倒す。

新島「特殊異能・千里眼〝解析〟」

私は自身の能力を発動させ相手の弱点を探す。しかしやはり神と呼ばれる存在、弱点らしい弱点がどこにも見えない。私が邪神の姿を見ているととある1箇所だけ再生が不十分な場所を発見した。あそこは先程蓮斗くんが雷魔法で攻撃した場所。

新島「右脇腹を狙ってください!さっき攻撃された場所の再生が不十分です!おそらく雷魔法が有効です!」

月柳「良くやった、新島よ!お主らも聞こえておるな!?間宮と童!右脇腹を狙え!」

滝壺「了解!」

蓮斗「.......」

そう滝壺さんが返事をすると陣形を組みかえ私たちは魔法を放つ。しかし、どれだけ再生が不十分と言っても相手のあの再生能力をどうにかしなければ話にならない。私が考えを巡らせていると

蓮斗「二重詠唱・鬼哭雷煉」

滝壺「祟炎魔法・炎滅災禍」

滝壺さんと蓮斗くんが同時に強力な魔法を発動しながら邪神に突っ込んだ。魔法が命中すると同時に邪神の腹部に物理攻撃。邪神が後退りをし恨めしそうに2人を見る。

滝壺「蓮斗君、ここからペースあげるけど着いてk...蓮斗君!?」

その声が聞こえた私と神達はそちらに目を向ける。そこにあったのは出血が酷く意識が朦朧とし片膝を地面に着いてなければすぐに倒れてしまいそうなほど疲弊している蓮斗くんの姿だった。

滝壺「これは...!もういい蓮斗君!これ以上戦えば君の身がもたない!すぐに月柳達の所へ...」

蓮斗「...........」

滝壺さんがそう呼び掛けても蓮斗くんは反応を示さない。その目は虚ろで、もはや立っていることすら奇跡と思えるほどの状況。その場に居た刹那さんが駆け寄ろうと動き出そうとした瞬間、

蓮斗「俺の、コレは、まだ未完成...今の俺じゃ、完全には力を、引き出せない...だったら、別の力を加えれば、いいだけ、だ。」

蓮斗「因子解放・再生因子....」

そう呟いた瞬間蓮斗くんの体にあった再生の因子の1つが体を飛び出した。それと同時に丸かった形が円型に広がり蓮斗くんを包んだ。その瞬間酷かった出血が止まり傷が塞がった。それと同時にその円形の光は消えた。

新島「今のは一体...?」

月柳「おそらく、童が保有していた因子の1つを消費して生命維持に関わる怪我を癒したのかもしれん。現に6つ持っておった筈の因子が1つ減っておる。」

新島「それって、マズいんじゃ...!」

月柳「正直少しマズイ事になりそうじゃ。一旦妾達はここを離れよう。」

新島「で、でもまだ滝壺さんと蓮斗くんが...」

月柳「安心しろ!先程は不意を打たれたゆえ防御し切れなかったが、完全な警戒態勢に入っている間宮の防御はそう簡単に突破できん!刹那!頼む!」

刹那「分かった!」

そう言うと刹那さんは私を抱えてその場を離れる。

滝壺「大丈夫か?蓮斗君。」

蓮斗「はい、先程よりはマシになったと思います。滝壺さん、1つお願いがあるんですけど良いですか?」

滝壺「あぁ。言ってみてくれ。」

蓮斗「今から二重詠唱を使います。10秒だけ時間を作って貰えないでしょうか?」

滝壺「OK。10秒位任せな。」

そう言いながら滝壺さんは魔法を発動させた。

滝壺「火系統最上位魔法・焦熱牢獄」

滝壺さんが最上位魔法を発動。超高温の檻が形成され邪神はその檻に囚われた。高音で徐々に体が焼け邪神は苦悶の声を上げ、その場で暴れだした。

滝壺「約束の10秒、稼いだよ蓮斗君。」

そう言った瞬間滝壺さんはその場から離れた。すると魔力を体に流しイメージの構築を済ませた蓮斗くんが詠唱した。

蓮斗「二重詠唱・黒王〝雷帝〟戦鬼」

瞬間蓮斗くんの周囲に落雷が発生した。その落雷は蓮斗くんに収束していき蓮斗くんは雷と闇で出来た球体に覆い隠された。徐々にその球体にヒビが入り次の瞬間球体は砕け散り蓮斗くんの姿が顕になった。その姿は先程の姿に加え電気で形成された2本目の角が生えていた。

新島「あれは、なにか分かりますか?滝壺さん。」

私達が避難している場所に到着した滝壺さんに私はそう問いかけた。すると滝壺さんは険しい顔で首を傾げる。

滝壺「おそらく、根源魔法と上位魔法の二重詠唱なんだろうけど、普通は2つも階級が違う魔法の二重詠唱は出力が落ちるはずなんだ。でも、見た感じ出力がさっきよりも上がってる様にも見える...」

そう言いながら滝壺さんは口に手を当て考え始めた。確かに、さっきまでの蓮斗くんと比べると明らかに強くなってる。どんなカラクリがあるのか分からずにいると邪神が咆哮を上げながら灼熱の檻を破壊した。それと同時に蓮斗くんが動き出す。

蓮斗「この状態を保てるのは、せいぜい2分、それまでに、倒す...!」

滝壺「神達はこの場に居る者達を守れ。俺が蓮斗君をサポートする。」

神々「分かった!」

そう言い滝壺さんは魔法を放ち出した。蓮斗くんは黒王戦鬼のパワーに加えて雷魔法の特性を自身の体に付与した事によって先程とは比べ物にならないほど強くなっていた。しかし、

蓮斗「ん゛ぁ゛ガ....!」

鼻と目から出血。少しして吐血も始めた。やはり、あの魔法は体に対してとてつもない負荷がかかるのだ。だが、蓮斗くんは止まらない。ただ目の前にいる強大な敵に喰らいつく。

邪神「お゛お゛お゛お゛」

邪神が口を開き光線を放つ。それは蓮斗くんの眼前まで迫り命中する寸前

滝壺「二重詠唱・蛇炎〝蝕炎〟」

祟炎魔法と蛇炎の二重詠唱で光線を弾き返す。その光線は邪神の顔を削りやや後退させた。その隙を蓮斗くんは見逃さなかった。

蓮斗「雷系統上位魔法・紫電雷砲」

形態が変わっているためか上位魔法の威力も底上げされている。邪神がその攻撃で怯んだ瞬間蓮斗くんは掌印を結んだ。

月柳「あやつ、まさか!間宮!」

滝壺「分かってる!新島さん、耳塞いでっ!」

新島「え、あ、はい!」

滝壺「空間系統最上位魔法・次元断層結界!」

そう言われるがまま私は耳を塞ぎその場に屈んだ。その瞬間滝壺さんが突如として結界を張りその場に居た全ての戦士達を結界で覆い隠した。

蓮斗「今なら、使えるかな...」

蓮斗くんの方に目を向けると邪神の四肢が何かで貫かれその場に固定されていた。そして次の瞬間。

蓮斗「雷系統最上位 魔法・千変万化〝神雷〟」

とてつもない轟音と光、そしてとてつもない揺れがその場を襲った。もはや屈んでいることすら叶わず私は地面に伏した状態でその場を転がる。周りを見ると屈強な戦士たちが全員地面へ倒れ自分の意思で動けなくなっていた。転がりながら私はどうにかして体勢を立て直そうとすると滝壺さんが

滝壺「今は立たない方がいい。正直揺れはこれからもっと強くなるよ。」

その声を聞き声の方向に目を向けると神々と滝壺さんがその場で微動だにせず立っていた。

月柳「間宮よ、あの童、もはや人の域を超えておらんか?まだ完全には使いこなせておらんが、それでも下位の神ならば殺せるであろう?」

黎明「それは、僕も思う、けど、なんか変な、感じが、する。さっきまで、あった、3つ目の魂が、消えてる.....でも多分、また蓮斗の中に、現れる。」

黄昏「確かに。それに少しだけ蓮斗の人格が変わってるね。まるで、2つの人格が無理やり混ざってるみたいな感じ。」

新島「2つの人格が無理やり混ざってるみたいな感じ...?それってどういう......あっ」

私はその時あることに気付いた。先程の神の発言、そして滝壺さんが言った、階級無視で出力が上がった謎、そしてさっき見た蓮斗くんの歪とも取れる姿。それらを合わせて考えると1つの結論に至る。

新島「蓮斗くん、まさか、二つの魂を無理矢理一つにして魔法の出力を上げてるんじゃ.....」

私のその発言に神々と滝壺さんが驚愕の表情を浮かべる。

滝壺「確かに、それなら階級を無視した二重詠唱で出力が上がった理由付けにもなる...!本来魂は一人につき一個。それ故に見落としていた!新島さん、それ結構いい着眼点だ!花園、蓮斗君の魂を見てくれ!」

花園「OK〜。ふむ、新島ちゃんの言う通り2つの魂が無理矢理一つになってるね〜。これじゃぁいつ魔法が解けてもおかしくないね。」

月柳「どうする、間宮!?あの童が死ねば、均衡が崩れるぞ!」

そう言われた滝壺さんは今まで以上に頭を巡らせていた。数秒の沈黙の後滝壺さんが口を開く。

滝壺「アレを使う。悪いけど、これは月柳達にしか見せれない。だから新島さん達は少し眠っていて。」

新島「えっ、それってどう言う...」

私がそう言いかけた時滝壺さんの指が額に当った。次の瞬間にはもう私の意識は途切れていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

月柳「眠らせたのはいいが、どうするのじゃ?童はまだ起きて魔法を放ち続けておる。」

滝壺「なーに、少し封印を解くだけさ。」

月柳「それもそうじゃな...アレを殺すのか?」

滝壺「そうだな、蓮斗君が根源魔法を発動させた時、これなら蓮斗君でも倒せるんじゃないかと思ったけど、流石に早すぎたな。もう10秒したら蓮斗君は意識を失う。だったら、最後の美味しいところを彼にやらせようかなって。」

黄昏「そんなやり方、彼はどう思うかな...」

滝壺「仕方ないさ。どれだけ精神力が強くても肉体が着いてこれてない現状じゃ今の蓮斗君の成長は見込めない。それに、俺もそろそろ自分の領界で暴れられるのにも我慢出来なくなって来たし...」

月柳「そうか、一応言っておくが、やり過ぎるなよ、間宮。」

滝壺「分かってる。蓮斗君が意識なくしたらすぐこっちにやるから回復頼むわ。」

月柳「心得た。」

滝壺「じゃあ、やるか。」

滝壺「霊基解放、空狐長.....1%」

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