特質「祟炎」
滝壺「君が祇梨蓮斗君か。うん、確かに色々混ざってるね。俺も長く生きてるけど、君みたいな存在は数える程度しか会ったことがないね。」
彼はそう言いながら私に顔を近づけた。その目は全てを見透かしているかのように私の姿を捉えていた。
蓮斗「初めまして、祇梨蓮斗です。今日から1週間宜しくお願いします。」
滝壺「うん、よろしく頼むね、蓮斗君。」
そう言うと滝壺さんは私から顔を離した。
大量「月柳、ここの時間の流れ今より遅くできる?できるなら一番遅くしてもらえると助かる。」
月柳「可能じゃが、どうするつもりじゃ?」
滝壺「いや、俺が教えれるのは魔法の扱いだけだからな、1週間以内に稽古を完了させる。」
滝壺さんはそう言った。それを聞いた月柳さんはやれやれと言ったふうな顔をし右手を上げた。
月柳「時間操作・低」
月柳さんがそう言うとなんと言うか、私たちが立っている場所が変わったような気がした。
月柳「お前さんの言う通り、1時間を1日に引き伸ばした。これで十分かえ?」
滝壺「ああ、十分だ。これで心置き無く稽古をつけれる。」
蓮斗「1時間を1日に引き伸ばした...?それが本当なら、ここで5ヶ月訓練するってことですか!?」
私は先程の月柳さんの発言をざっと計算しそう言った。それ程までに時間を引き伸ばせる事よりも、それだけの時間が必要ということに私は驚愕した。
滝壺「まぁ、少し少ない気がするけど、君なら大丈夫だよ。」
滝壺さんはそう言いながらお茶を飲んだ。
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滝壺「さてと、じゃあ俺が君に行う訓練について話していこうか。」
蓮斗「はい、よろしくお願いします。」
滝壺「いきなりだけど質問するね。君は魔法を放つ際、どういうイメージをする?」
蓮斗「イメージ、ですか?」
滝壺「ああ。」
蓮斗「そうですね、魔法を完璧に放つとかですかね。」
滝壺「はい、減点。」
私が答えた瞬間滝壺さんはそう言った。だがその理由は私には分からなかった。今まで私は魔法を構築する際、暴発や、不発を避ける為に魔法を〝完璧〟に仕上げることを意識していた。だが、滝壺さんはそれを聞き減点と言った。その意味が分からず滝壺さんの方に目を向けると彼は話し出した。
滝壺「確かに、魔法はイメージとそれに必要な魔力の2つで発動する。国防軍の団長達は魔法を使う際は〝発動させた上で相手に当てる〟と言う2つ目のイメージがある。しかし君の場合は魔法を扱う際は魔法のイメージを後回しにしてその〝完璧に放つ〟というイメージが先行してるんだ。だから発動しない魔法があったり、制御が難しい魔法があるんだ。」
滝壺さんのその言葉に私はハッとした。確かに私は最上位魔法は発動せず上位魔法も完全には操れてはいない。思い出してみればそのどれもが〝完璧に放つ〟と言うイメージが強かった。
蓮斗「じゃあ、そのイメージを無くして魔法のイメージを強めれば良いんですか?」
滝壺「半分正解だけど半分不正解。魔法のイメージと発動のイメージの2つが同じくらいになった時初めて最上位魔法や上位魔法は扱える様になるんだ。」
蓮斗「なるほど、奥が深いんですね。」
滝壺「まあね。でももう1つ君には悪癖がある。」
蓮斗「悪癖、ですか...?」
滝壺「ああ。君、魔法扱う時さっきのイメージ以外は何も考えない様にしてるね?」
蓮斗「え、はい。発動に邪魔かなって...」
滝壺「キミの記憶を少し覗かせて貰ったけど、魔法を扱う際君は良くイメージしながら魔法を構築するけど、無意識なのか考えない様にしてるからかは分からないけど体に魔力が集中してるんだ。あれじゃあ、魔法を放つと言っているようなものだ。イメージも大事だけど、その辺の魔力の操作も訓練しなきゃね。」
蓮斗「(確かに、普段魔法を使う時はイメージ以外は思考から外してたから、その癖に気づいてなかった。学園都市で学んっだ魔力操作はあくまで地脈との接続とそれによる魔力回復のものだった。ここで訓練すれば、その癖が治るかもしれない...!)」
私がそんな事を考えていると滝壺さんが魔法を発動させた。
滝壺「火系統最上位魔法・蛇炎」
そうく詠唱した瞬間完璧な蛇炎が現れた。私がどれだけやっても発動しなかった最上位魔法を今目の前で平然と発動させた。私は開いた口が塞がらなかった。
滝壺「さっき言ったように魔法のイメージと発動のイメージの2つが同じくらい完成していたらこうやってどんな魔法でも使えるんだ。」
蓮斗「魔法のイメージと発動のイメージ.....」
蓮斗「(この際悪癖に関しては今は考えるな、今はただこの2つのイメージを同じレベルまで完成させろ、、、)」
蓮斗「雷系統上位魔法・紫電雷砲」
滝壺「!!」
滝壺「水系統上位魔法・魔水之泉」
私が魔法を放った瞬間滝壺さんは魔法を発動させ防御していた。私が慌てて駆け寄ると滝壺さんに肩を叩かれた。
滝壺「凄いね君。さっき言ったことをこの短時間で実行して、なおかつ少しではあるけど改善してた。うん、君、教えがいがありそうだ!」
そう言って滝壺さんはにこりと笑った。
月柳「しかし今ので満足してはならんぞ童。確かにお主は先程の説明を今実行して少しは改善しておったが、まだまだ、実践には使えんほど発動が遅く、制御も効いておらんかった。最初の目標はその2つの解消じゃな。」
そういいながら月柳さんは新島さんの髪を弄っていた。
滝壺「確かに、発動までに約15秒。制御が完全ではなくこちらにも飛んできたことを考えるとその2つを解消しないと本来の稽古はつけれないね。」
蓮斗「え!?」
滝壺「だから、この2つの課題を君にはこの空間内の時間で2ヶ月で克服して貰おう。」
私はその発言を聞き正直自信がなかった。今までの癖で訓練に影響が出るのではと言う不安や熟練の魔法士と同程度の技量をたった2ヶ月でつけれるとは到底思えなかったからだ。すると
滝壺「諦めてもいい。でも、そこで諦めたら君はいつか必ず君の中に居る〝ソレ〟を抑え切れずに身近な人を傷つける。それでもいいの?」
よくない、それは私が一番回避したい未来。それなら、
蓮斗「そんな未来は絶対に来させません。だから、訓練お願いします...!」
私はその場で深々と頭を下げた。すると月柳さんと滝壺さんは顔を見合せ笑い
2人「「任せろ!/任せるのじゃ」」
そう言った。
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滝壺「ところで蓮斗君は特質属性の魔法は見た事があるかい?」
蓮斗「特質属性ですか?見たことないでs、あ...」
その瞬間私の脳に1つの魔法が浮かんだ。
蓮斗「改帰魔法、ですかね。」
月柳「改帰魔法?なんじゃそれは。聞いたことも無い魔法じゃな。どこで見たんじゃ?」
蓮斗「前回までいた学園都市でですね。今まで見た事ない魔法だったんで、記憶に残ってます。」
滝壺「(楽海の奴、見せたのか?)」
そう月柳さんと話していると滝壺さんが何かを呟いたが私には聞こえなかった。
滝壺「うーん、俺も聞いたことないかな。」
蓮斗「それにしてもなんでそんな質問をしたんですか?」
滝壺「それはね〜、俺が特質属性だからだよ!」
そうウキウキした顔で滝壺さんが言った。
蓮斗「そうなんですか!?どんな魔法なんですか!?」
滝壺「おぉ、すごい食いつき。」
私は滝壺さんの発言にとても興奮していた。特質属性は世界でも数が少ない希少魔法。それを扱える存在が今目の前にいるのだから興奮しても仕方ない。
蓮斗「なんて名前なんですか?」
滝壺「それはね〜、祟炎魔法って名前だよ。」
蓮斗「祟炎魔法...?」
特質属性は少ない。だからこそどんな魔法か時になっていたが案の定よく分からない名前の魔法が飛び出してきて私は困惑した。
蓮斗「それって、どういう魔法なんんですか?」
滝壺「簡単に言うと火魔法と呪いが合わさったみたいなものだね。」
新島「火魔法と呪いの複合ですか、そんな魔法があるなんて初めて知りました。」
話していると月柳さんに髪の毛を弄られている新島さんが口を開いた。国防軍の総司令官補佐の彼女が初めて聞くとなれば私が知らないのは無理もないだろう。
蓮斗「それでその魔法の効果ってどんなものなんですか?生物には効くんですか?」
滝壺「即生物に効くか考えるのは怖いけど無論効くよ。俺の魔法は触れた者を延焼と呪いによる衰弱や状態異常で倒すって言う形の魔法だね。大抵の存在は問答無用で殺せるよ。」
蓮斗「結構危険な魔法なんですね。」
月柳「まあな。あれは神クラスを超える強さを持たんとまず抗えん。故に妾がここ妖人街での特例以外での使用を禁止しておる。」
新島「そこまでなんですね、祟炎魔法って。」
月柳「当たり前じゃ。あの魔法は少しでも制御を乱すと確実に3桁程度の死人がでる。妾とて、1度食らったがまだその傷が癒えておらん。」
蓮斗「とんでもないですね、滝壺さん。」
滝壺「ハハハ、確かに危険だけど俺にアレを使わせるのはさっき月柳が言ったように神を超える力を持った者だけだ。それ以下の力しか持たないものはそもそも勝負の土俵にすら立てないよ。」
そういいながら滝壺さんは社に寝転がった。その姿を見た私は冷や汗をかいた。
蓮斗「(隙が一切ない、本当に化け物だなこの人。)」
そんな事を考えていると不意に滝壺さんが言葉を発した。
滝壺「今の君じゃ、俺には指一本も触れられないよ。もし俺に一撃でも叩き込みたいなら今よりもうちょっと強くなりな。」
月柳&新島「?」
蓮斗「はは、精進します...。」
こうして私は2つ目の試練場、妖人街の最強との訓練の日々が始まった。




