学園都市での訓練
ひょんな事から私は日本に存在する三大都市を巡ることになった。総司令官の話では、力を制御するための修行の旅の様なものらしい。
蓮斗「ついた。ここが最初の目的地、学園都市エーゼルファリア.....本当に色んな学生がいるんですね。新島さん。」
新島「はいっ。ここは日本国内でも有数の教育機関が統括する大規模な学園都市です。ここでは科学や魔法、民俗学や生物学。ありとあらゆる分野の学園がひしめき合っていて、果は冠位や厄災について学ぶ場所なんです。」
蓮斗「魔法があるのに、科学も研究するんですね。ちょっと意外ですね。」
新島「そうでもありませんよ?蓮斗君は何故今日本が世界でも1、2位を争うほど魔法教育が進んでいるのか、知っていますか?」
蓮斗「さあ、分かりませんね。」
新島「ズバリ、科学の応用で他国に差をつけてるんですよ!」
そうウィンクをしながら新島さんが誇らしげに言った。
蓮斗「魔法と科学、それに一体どういう関係が...?
」
新島「簡単な話です。火が燃えるには酸素が必要。水ができるには水素と酸素が必要。そんな中学生位で習う簡単で、尚且つ生きていく上で必要不可欠なものは全て科学と繋がってるんです。」
蓮斗「なるほど...?」
新島「まだよく分かってなさそうですけど、それを知れば少しは力を制御出来るかもしれないですよ?」
そう言い新島さんは楽しそうに笑った。そんな事を話しながら歩いていると目的地に着いた。
蓮斗「学園都市エーゼルファリア・統括、組合?」
その仰々しい名前に少し後ずさりした時正面玄関が開き一人の男性が出てきた。
???「お久しぶりだね、新島さん。そっちが連絡に会った少年かな?」
新島「はい、ご無沙汰しております。楽海さんもお元気そうでなによりです。はい、こちらが連絡しておりました今日から1週間お世話になる祇梨蓮斗君です。祇梨蓮も挨拶して。」
蓮斗「あ、はいっ。初めまして。私は祇梨蓮斗と申します。1週間よろしくお願いします!」
楽海「こちらこそよろしくお願いするよ。おっと、自己紹介がまだだったね。私は楽海界人。楽海と呼んでくれ。」
蓮斗「はい、分かりました。」
蓮斗「(この人が、学園都市エーゼルファリア唯一の男性...そして、決して怒らせてはならない3人のうちの1人...)」
楽海「ハハハ、面白いね君。」
蓮斗「エッ、」
いきなり面白いと言われ私は混乱した。何か変な事をしてしまったかと頭で考えるが特に変な行動はしていない。すると楽海さんが口を開いた。
楽海「君、魂が二つあるね。」
蓮斗&新島「?」
楽海「君の魔法属性に魂に近い何かが憑いてる。それの対策に来たのか。うん、面白そうだ。」
蓮斗「(この人、私の事情を一目見ただけで...?)」
楽海「取り敢えず、玄関で話すのもなんだし、客室に案内するよ。私の後をついてきて。」
蓮斗&新島「はい/分かりました」
そう言い楽海さんは私たちを連れて歩き出した。後ろ姿を見て改めて思う。この人、めちゃくちゃ強い。下手したら総司令官とじゃ比べ物にならないほど、魔力が大きい。だが何故か、少しばかり違和感を感じた。
蓮斗「...?」
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楽海「では改めて、ようこそ学園都市エーゼルファリアへ。私達は君を歓迎するよ。」
客室につき椅子に腰かけると楽海さんがそう言った。統括組合と言うだっけあって、建物の中はとても広く綺麗だった。しかし、事前情報で知っていたため身構えていたが、楽海さん以外全員女性。正直やりにくい事この上ない。
楽海「ハハッ、見るからに窮屈そうだね祇梨君。私も最初にここに来た時はそうだったから気持ちは分かるよ。」
蓮斗「やっぱり見抜かれてましたか、、、」
新島「蓮斗君ってもしかして女の子苦手なの?」
蓮斗「苦手とかではないんですが、こう、人数が多いと圧倒されるというか、まぁはい。」
私はなんの話しをしているのか分からなくなってきた。すると話題を変えるように楽海さんが話し始めた。
楽海「おほん。では、今日から1週間祇梨君がする特訓について教えていきますね。」
蓮斗「よろしくお願いします。」
楽海「やる事は1つ。魔力を知覚して今の倍は操れるようになって貰う。以上。」
えらく簡単な課題だった。私はそんな事で良いのかと思ったと同時に楽海さんが口を開いた。
楽海「君、何故君自身が暴走したか、分かるか?」
蓮斗「え、」
唐突に質問が来た。だが、私には何がいけなかったのか分からなかった。何故、あの時私の中にある闇魔法が暴走したのか私は知らない。私は分からず黙りこくってしまうと楽海さんがこう言った。
楽海「答えは1つ。君の魔力の使い方が下手だからだ。」
口に出されたものは予想の斜め上だった。その言葉に私は質問をした。
蓮斗「下手と言いますとどの辺がですか…?一応上位魔法は使えるのですが...」
楽海「まずその認識から変えようか。魔法というのは高い位の魔法使用=魔力の使い方が上手いとはならないんだ。真に強いものは下位の魔法でも魔力の使い方が上手いから下位以上の性能を発揮させられる。だが君のは単なる魔力でのゴリ押し。それじゃぁいつまで経っても黒王戦鬼は制御できないよ。」
蓮斗「そうなんですか...」
私は今猛烈に反省していた。確かに、今までの私は使える魔法を自身の魔力がある限り使用し続けるという戦法だった。だがそれがいけなかった。そう思い反省すると同時に私は魔力の使い方が上手くなれば今まで以上に魔法を扱えると心から嬉しく思った。すると楽海さんがこう言った。
楽海「魔力の扱い方が上手くなればもしかしたら闇魔法を扱えるようになるかもしれない。」
蓮斗「なるほど...分かりました。頑張ります!」
私は力強く返事をした。だがここに来てから疑問に思っていたことを楽海さんに質問する。
蓮斗「えっと、訓練には全く関係ないんですけど、なぜこの学園都市には女性しか居ないのですか?」
そうシンプルな質問。その質問をした途端楽海さんは大きな声で笑った。
楽海「ハハハ!確かに、外から来た君からは変に見えるだろうね。答えは簡単。この学園都市の生徒は人とは異なった種族なんだよ。」
蓮斗「人とは異なった種族...?」
楽海「あぁ。この学園都市の生徒の祖先は人と様々な神話生物の混血種なんだ。だから悪魔と人のハーフだったり、龍や天使、獣神のハーフもいる。そして、何故かこの学園都市の住人は女性しか生まれない。その上で子孫を残すのは女性1人でも行えるからこの都市には女性しかいないんだよ。」
蓮斗「なるほど、興味深いですね。」
小さい疑問だったが、それが解消され訓練にも身が入りそうだと私は思った。
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1日目、私は学園都市北西部にある山岳地帯に来ていた。楽海さんの話によるとここには地脈と地脈が重なり合う場所であり、空気中の魔力が他よりも多いらしい。確かに空気中の魔力濃度が高く、訓練にはうってつけだろう。
蓮斗「魔力の操作か...今まで意識していなかったが、また基礎から鍛えるのも良いかもしれないな...よし、魔力操作・地...」
魔力操作・地。大地の下にある地脈の流れを感知し、それを操作、自身の中に取り込むもの。これを使うのは初めてだが、なるほど難しい。熟練の魔法使いなら、この操作を無意識下で行い、魔力を補うとも聞く。訓練のしがいがありそうだ。
蓮斗「1分間に地脈から取り込めた魔力は私の魔力の1/500程度か...まだまだだな。」
やはり難しい。どこを改善すればいいかと考えていると背後から誰かが歩いてくる音がした。その音は徐々にこちらに近ずき目の前にある茂みをかき分け1人の少女が現れた。
蓮斗「君は...」
???「あ、あの、初め、まして。私は戸塚花梨って言います。先生に言われてここに来ました。」
蓮斗「先生...楽海さんか。それで私に何か用ですか?」
戸塚「えっと、魔力操作について、教えてあげなさいって言われた、教えに、来ました。」
蓮斗「楽海さんの指名か、じゃあよろしくお願いします。戸塚さん。」
戸塚「よ、よろしくお願いします...」
そうしてお互いに挨拶すると戸塚さんが私の近くに来て地面に触れた。すると
蓮斗「!?(地脈からの魔力吸収が、私とは比べ物にならないほど多い!!)」
戸塚「こんな感じです...」
蓮斗「ど、どうやったらそこまで多くの魔力を地脈から吸収できるんですか...!?」
戸塚「えっと、祇梨さんはこれを取り込む、って意識しているから取り込める量、少ないんだと思います...」
蓮斗「取り込むという意思がダメなんですか?」
戸塚「はい、地脈とは世界そのものが、作り出した魔力を、世界に循環させる、魔力回路の様な、ものです。そこから魔力を得ようとするなら、並大抵の操作では、不可能です。ですから取り込むのではなく、地脈そのものに、接続する、という意識で、やってみてください...」
蓮斗「取り込むのではなく、接続する...」
戸塚さんの言葉を聞き私は今まで取り込む事を意識していた魔力操作をやめ、接続を意識して再び魔力操作を発動させた。だが、
蓮斗「できない...何か、コツとかがあるのでしょうか?」
戸塚「えーっと、接続するにはある一定以上のイメージが必要、なんです。そのイメージが不完全だと、接続は不可能、です。」
蓮斗「一定以上の、イメージ...か。」
私は思考を巡らせる。接続とは何か、どのようなイメージが必要なのか、私は考え続けた。するとふと、頭に1つの現象が思い当たった。
蓮斗「根源魔法...」
そう。根源魔法とは厳密に言えば魔法と言うよりは儀式に近いもの。その属性を司る魔力そのものに接続し、一時的ではあるが人を髪に近づける。私はそれを知っている。黒王戦鬼だ。意識は無かった。でも、何か大きなモノから力を絶えず供給され続けた感触が体に残っている。もしそれが接続だったのであれば、
蓮斗「魔力接続・地脈」
自身の魔力回路を地脈、世界のそのものの魔力回路と繋げるイメージ。
蓮斗「(集中しろ、魔力を感じそれを操作して自身に繋げろ。イメージし続けろ。)」
すると
戸塚「わ、凄い...ただやり方を説明しただけで...」
私の体には地脈の魔力が巡っていた。自然の魔力、とても荒々しいが、それでいて静かな魔力...
蓮斗「これでいいのかな?戸塚さん。」
戸塚「は、はい。初めてにしては、上出来だと思います。これを今日から1週間、続けていきましょう。私がコツを教えていくので。」
蓮斗「はい。よろしくお願いしますね戸塚さん。」
戸塚「よ、よろしくお願いします...」
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楽海「へー。魔力接続をああも簡単に、君たちが言う通り彼、力の使い方を知って鍛えれば、化けるんじゃないかな?ねぇ、新島さん。」
新島「はい。彼は元々独学で上位魔法を扱えるまでに至った天才です。ここから鍛えたらどこまで成長するのか、私も楽しみです。」
楽海「私も楽しみだよ。彼が完全に成長したら、私も一手手合わせしたいものだよ。」
楽海「(流石はお前の息子というわけか。なぁ、清和。)」
新島「楽海さん、何か言いました?」
楽海「いや?何でもないよ。」
新島「あ、それと総司令官より先程連絡があったのですが、」
楽海「?」
新島「最近、パンデモニウムが亜人種族や特殊な力を持つ存在をさらう事件が多発しています。この学園都市も狙われる恐れあり、との事です。」
楽海「ハハッ、大丈夫でしょ。もし来たとしても、俺には叶わないよ。」
新島「...」
新島「(こちらに対してじゃないとはいえ、楽海さんの空気が変わった瞬間の威圧感は、堪えますね...)」
楽海「それに、若い子たちも育ってきてる。私はあの娘たちの行く末を見守るだけだよ。」
新島「楽海さんらしい考えですね。」
楽海「それ褒めてるの?」
新島「えぇ、もちろん。」
楽海「君もここから更に強くなれよ、祇梨蓮斗。守りたいものを守れるように...」




