新生活と魔法
私の名前は望月凛。訳あってここ祇梨家に居候する事になった今年14歳の中学3年生だ。ここに来てからはや1週間が経過し、新しい生活にも少しづつ慣れ始めていた。リビングでお茶を飲んでいると私の1個年上の祇梨蓮斗さんが2回から降りて来た。
凛「おはようございます。蓮斗さん。今日も早いですね。」
蓮斗「うん、おはようございます。凛ちゃん。」
蓮斗さんは年下の私に対しても敬語で喋るちょっと不思議な人だ。
凛「今日、お休みですけど何か用事でもあるんですか?まだ朝の7時なのに。」
蓮斗「いつもの日課ですよ。もし良ければ凛ちゃんも一緒にします?魔法の特訓。」
凛「え、いいんですか?」
蓮斗「もちろん。あ、でも怪我したらいけないんで凛ちゃんは見るだけですけど、」
凛「蓮斗さんが良ければぜひご一緒させて下さい!蓮斗さんが魔法使う所もう1回見てみたいです。」
蓮斗「分かりました。じゃぁ朝食を済ませたら中庭に行くんで待っててください。」
凛「はいっ!!」
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蓮斗さんが朝食を終えて中庭に出てきた。すると蓮斗さんが私に1冊の本を渡してきた。
凛「あの、これは...?」
蓮斗「それはね、火系統魔法の魔法書だよ。父さんが前出張のお土産で買ってきてくれたんですよ。」
凛「そうなんですね。中、見てもいいですか?」
蓮斗「いいですよ。」
蓮斗さんから許可を得た私は魔法書を開いた。そこには多くの魔法が記されており、中には上位魔法や最上位魔法についても記されていた。
凛「あの、これ!もしかして凄く高価なものだったりしません!?」
蓮斗「えーっとですね、申し訳ないんですけど、その本の値段は私も知らないんですよね。だからそんなに緊張しなくてもいいんじゃないですかね。」
蓮斗さんはそう言った。でも正直、緊張しなくていいなんて言われてもとてもじゃないが冷静になんてなれない。なぜならこの本には最上位魔法についても書かれているからだ。私も一応学校には通っていた。だからこそ分かるが、本来であれば最上位魔法の発動方法が書かれた魔法書は一般には流通しない。何故なら危険すぎるから。もし万が一素人が発動させようとすれば辺り一面が吹き飛ぶことになる。だからこそ、最上位魔法について記された魔法書は政府や国防軍、国有数の組織しか所持し、管理している。
凛「(もしかして、蓮斗さんのご両親って、ものすごい大物なんじゃ...?)」
蓮斗「じゃぁ、始めましょうか。」
凛「え、はいっ。」
蓮斗「それじゃあまずは火系統中位魔法〝炎槍〟」
そう言葉を呟いた瞬間蓮斗さんの手に1本の長い炎の槍が出現した。
凛「これは確か、火系統中位魔法の炎槍ですよね。それって熱くないんですか?」
蓮斗「大丈夫ですよ。これは術者自体には影響は出ませんがこの槍の先が少しでも相手に触れれば相手の触れた部分から発火します。危ないんで近づいたらダメですよ。」
凛「はい、分かりました。」
蓮斗「じゃあ2つ目。火系統上位魔法〝爆炎樹〟」
凛「へっ........?????」
2つ目の魔法を蓮斗さんが発動した瞬間私は間の抜けた声しか上げられなかった。それもそうだろう。たった今蓮斗さんは上位魔法を発動させた。上位魔法といえば扱える者が極端に少なく、尚且つ扱いづらい物だったはず。なのにも関わらず蓮斗さんは顔色1つ変えずに発動した魔法を眺めていた。
蓮斗「これも成功ですね。」
凛「あ、あの!蓮斗さん!それ、大丈夫なんですか!?こっちに来たりしませんか!?」
蓮斗「大丈夫ですよ凛ちゃん。これは、術者の意思に則って行動します。だから聞けんわないんで安心してください。」
凛「は、はぁ...。そ、そういえば蓮斗さんって詠唱しないんですか?」
蓮斗「そうですね、詠唱はあんまり得意じゃないですね。詠唱したら舌噛みそうで怖いですし。」
凛「そんな理由で無詠唱魔法使う人初めて見ました。」
蓮斗「それに私が使っているのはその魔法の系統と階級、魔法名を詠唱する簡略詠唱です。完全無詠唱となると極端に魔法の出力が下がるんで、あんまりオススメはしません。」
凛「そ、そうなんですね、参考になります。」
凛「(全くと言っていいほどさんこうにならない...!蓮斗さんってもしかして滅茶苦茶規格外なんじゃ)」
蓮斗「これで最後ですよ、凛ちゃん!」
凛「はい!」
蓮斗「火系統最上位魔法!」
凛「最上位魔法!?使えるんですか!?」
蓮斗さんのその一言で私は冷や汗が吹き出した。最上位魔法。国内で扱える者は10人と少し。もしかして蓮斗さんもその1人なんじゃと思ったその時。
蓮斗「走れ〝蛇炎〟!」
簡略詠唱は終わり、高まっていた魔力が一瞬で霧散した。
凛「え、え?」
私はそんな事しか言えなかったが蓮斗さんがこちらを振り向きこういった。
蓮斗「失敗しちゃった!(笑)」
失敗したことを笑顔で報告され私は体から力が抜けその場にヘタり込んでしまった。
凛「蓮斗さん、最上位魔法を使う時はせめて一言下さい。すごく心臓に悪いので。」
蓮斗「あはは、申し訳ない。」
凛「でもやっぱり、蓮斗さんでも最上位魔法は使えないんですね。」
蓮斗「まぁね。こればっかりは練習あるのみですからね。」
蓮斗「じゃぁ日課の練習も終わりましたし、部屋に戻りましょうか。」
凛「はーい!」
そういい私は立ち上がろうとした。ふと蓮斗さんの方を見たら黒い角が生えてるのが見えた。その瞬間私は全身の毛が逆立つのを感じた。すぐに私は目線を下に向けたが、怖くて蓮斗さんの方を見る事が出来ない。
凛「(何、何!?あれは何!?怖い、怖い...!)」
心の中でそんな事を考えていると
蓮斗「凛ちゃん?大丈夫?」
そう蓮斗さんに声をかけられた。恐る恐る蓮斗さんの顔を見ると角は生えていなく、代わりに心配そうな表情をした蓮斗さんだけがそこに立っていた。
蓮斗「大丈夫?具合悪い?」
凛「あ、いえいえ!何ともないです。」
蓮斗「そうですか?それならいいんですが,,,」
そういうと蓮斗さんは部屋に戻って行った。私はその背中を呆然とみていることしか出来なかった。
凛「今のって、幻...?」
そんな言葉が出たが返事が返ってくることはなかった。




