お出迎えと歓迎会
1週間が終わり今日は土曜日だ。あの誘拐未遂から早い事2日が経過していた。そして今日、遂に凛ちゃんをお出迎えする事になった。国防軍での手続きも終わり、今日から正式に家族になると思うと安堵や心配、喜びといった様々な感情が出てくるものである。そして今私は、母さんと一緒に国防軍本部に向かっていた。
蓮斗「母さん。今日父さんは来れなかったの?」
紗奈「えぇ、急ぎで終わらせないといけない案件があったらしくてそれを今片付けに行ってるらしいわよ。でも、夕飯の時間には帰れるらしいから何も心配いらないわ。」
蓮斗「そ。なら安心だね。」
紗奈「それはそうと、蓮斗。あの時必死だったけどなんかあった?」
蓮斗「...?質問の意図が見えないんですが?」
紗奈「凛ちゃんの事よ。あの時の蓮斗、凄く必死に見えたからさ。凛ちゃんと何か話してたけど、それが理由?」
蓮斗「まぁ、ね。あの時聞いてたのは凛ちゃんの境遇だよ。最初は試しに聞いてみて励まそうと思ってた。でも、あまりにも可哀想で、凛ちゃんにとってトラウマでしかない施設に戻すのはあまりに酷だと思った。だから頭下げてでも頼み込んだんだよ。」
紗奈「そうだったの。まぁ蓮斗がそれでいいなら私たちに問題は無いわ。」
蓮斗「ありがとう、母さん。」
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車で走ること1時間。私達はようやく国防軍の本部に到着した。入口には警備員が配置されており、厳重な警備が敷かれていた。だが私たちは国防軍の司令官補佐から送られた入館証を持っていた為すんなりと通された。門をくぐり車を走らせていると前方に新島さんと他2名がたっていた。
新島「お待ちしておりました。ではこちらへ。」
新島さんはそう言い私たちを建物内に招き入れた。部屋に通された私たちはお茶を飲みながら待機していた。5分ほど経過した時部屋の扉が開いた。
新島「お待たせしました。今日をもちまして、望月凛さんは祇梨夫妻が引き取る事になります。もし何かありましたらすぐに連絡してください。」
そう言い新島さんは部屋を出た。何やら慌てていたようにも見えるが気のせいだろうか?それはそうと
蓮斗「今日からよろしくね。凛ちゃん。」
凛「はい...。よろしくお願いします...」
そう言うと凛ちゃんは不器用に笑って見せた。
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香織「蓮斗ー!凛ちゃんって子何処にいるの!?私早く会いたーい!!」
蓮斗「ちょ、香織さん、、まっ、、、」
香織はそう言いながら私に指でツンツンしてきた。私はどうすればいいかと考えていると香織は翔さんに襟首を掴まれ、私から引き剥がされていた。
蓮斗「翔さんありがとうございます。助かりました。」
翔「気にすんな。それはそうとその凛ちゃんって子はお菓子食べるかな...?」
翔さんはそう言い心配そうに持ってきたプレゼント用のお菓子詰め合わせをみながらそう言った。
蓮斗「大丈夫じゃないですかね?アレルギーとかがあるとは聞いてないんで。」
香織「そっかー、良かったねお兄ちゃん!」
翔「それなら、いいんだが。」
蓮斗「じゃぁそろそろ呼んできますね。」
そういい私は部屋を出て凛ちゃんを呼びに行った。
翔「なんか、ドキドキするな。」
香織「それ、私もー!」
〜3分後〜
蓮斗「紹介します。今日から我が家に来ました。望月凛ちゃんです。」
凛「えっと、これからよろしくお願いします。望月凛、です...。」
翔「どうも初めまして。俺は隣に住んでる美月和翔だ。翔って呼んでくれ。」
香織「(ジーーー)」
香織が自己紹介する番のはずだが自己紹介をせずにりんちゃんの方を凝視していた。するとムクりと立ち上がりスタスタと凛ちゃんの方へ歩いていき凛ちゃんの肩に両手を乗せた。
蓮斗「か、香織さん...?」
翔「お、おい?どうしたんだ?おーい!」
香織は翔さんの呼び声にすら答えなかった。すると凛ちゃんが小さく震え出した。
凛「あの、えっと、ごめんなさ、、、」
凛ちゃんが謝ろうとした瞬間香織がバッと顔を上げ大きな声で言った。
香織「可愛い!!!」
凛「え...?」
蓮斗・翔「「はい?」」
私と翔さん、凛ちゃんの3人はその一言に面食らい固まってしまった。だが香織は続けて話し始めた。
香織「肌白くて綺麗だし、スベスベ、髪の毛もサラサラで羨ましい!ねぇねぇ!何かお手入れの秘訣とかあるの!?あったら教えて欲しいなー!」
凛「え、え?」
香織の底抜けの明るさと同性に対して発揮されるスキンシップで凛ちゃんは呆気にとられて固まっている。ふと我に返った私と翔さんで香織を止めに入る。
翔「ちょいちょいちょい、困ってる!困ってる!落ち着け香織ー!!!」
蓮斗「そうですよ香織さん!落ち着きましょう!」
香織「えー、まぁそれもそうだね!」
そういい香織はようやく凛ちゃんから離れた。まだビックリしているのか凛ちゃんが固まっている。
蓮斗「(頭の上に?マークが見えますね...)」
翔「お前なー、初対面の、その上年下にあんなにグイグイ行ったら怖がらせるだろ!気をつけろ!」
香織「はーい、」
香織は翔さんに叱られて少ししょんぼりしているように見える。すると固まっていた凛ちゃんが喋りだした。
凛「あの、皆さんは、私の角の事どう思いますか...?やっぱり、気持ち悪いです、か?」
その発言を聞き香織と翔さんの動きが止まった。
凛「私、この角で昔いじめられてて、それで、」
翔「俺はかっこいいと思うよ。その角。」
凛「え?」
翔さんは凛ちゃんの話を遮るようにそう言った。凛ちゃんも思わぬ感想が飛び出して困惑している様子だった。するとそれに続けて香織が口を開いた。
香織「私は可愛いと思うなーその角!凛ちゃんの魅力を引き出してるって言うか、凛ちゃんの個性っていうか、何て言えば良いか分からないけど私は好きだな!!」
凛「え、え?気持ち悪く、ないんですか…?」
香織・翔「「全然?/そんな事ない!」」
凛ちゃんが質問した瞬間2人が同時にそう答えた。凛ちゃんにとって自分の角に対してそんなこと言ってくれた人は今まで1人もいなかったのだろう。それでここまで自分を卑下する様になったのかと思うと胸が痛くなる。
蓮斗「凛ちゃん。私や私の家族も含めて、私の知り合いに君を気持ち悪いなんて言う人は居ません。それにそんなこと言う人が居れば私が黙らせます。」
香織「そーだそーだ!」
翔「そうだな。まぁこれから交流があるだろうから、困った事があれば俺に言いな。そこの馬鹿は身内に手出されると加減しないから。」
蓮斗「誰が馬鹿ですか!」
香織「私も力になるよ!それに、私凛ちゃんと仲良くなりたいし!」
そんな話をしていると凛ちゃんの目から涙が零れた。
凛「あ、ありがとうございます...私、とっても嬉しいです...!」
そういい凛ちゃんは泣きながら笑った。
蓮斗「うん。いい笑顔ですね。」
香織「可愛いー!頭撫でさせてー!!!」
翔「香織ー、あんまり強くしすぎるなよー。あ、これプレゼントのお菓子詰め合わせ。良かったら食べてね。」
凛「ありがとうございます。お菓子、あんまり食べたことないんで、楽しみです!」
翔「そうかそうか、何か欲しい物があればすぐに蓮斗に言うんだぞ?こいつならなんでも買ってくれるぞ(笑)」
蓮斗「買いますけど、なんかバカにされてる気分です。」
香織「気のせい気のせい!」
そんな他愛もない話をする事がすごく新鮮なのか、凛ちゃんの顔はとても良い笑顔だった。
蓮斗「改めて今日からよろしくお願いしますね。凛ちゃん。」
凛「!はいっ!よろしくお願いします!」




