本部と尋問
待つこと10分。副団長さんが呼んだであろう国防軍の応援がやって来た。副団長さんが何かを指示し応援にやって来た団員達はすぐに誘拐犯達を車に乗せていった。その光景をまじまじと見ていると副団長さんに西田と呼ばれた団員に話しかけられた。
西田「君たちは怪我していないかい?もし何かあれば直ぐにあそこに居る人達に言うんだよ。」
そう自分たちに気遣った言葉を投げかけてくれた。すると香織が不思議そうに
香織「もう周辺の警戒はいいんですか?」
西田「えぇ。もう応援も到着しましたし、周辺に怪しい人物もいませんでしたし。」
香織「へー、そうなんですね!」
そう香織は明るく返した。そんな和気藹々とする光景を見ていると副団長さんに話しかけられた。
小鳥遊「ではこれより君達を国防軍本部へと連れて行く。親御さんにも連絡を入れてあるので話を聞い終わったらすぐに帰れるから安心してくれ。」
4人「分かりました。/はーい!」
小鳥遊「まぁ、君だけは話を聞くのが長くなりそうだけどな。なぁ祇梨蓮斗くん。」
そう笑ってはいるけど圧の強い顔で言われた。
蓮斗「ハイッ」
私は少し悪寒を感じた。
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軍本部に着いた。そこはとても広く私たちの通う学園が3つは入りそうな程広かった。
天羽「来るのは二度目だけど、やっぱりデカイな」
香織「天羽くんってここに来るの2回目なの?」
天羽「うん。前回パンデモニウムを捕まえた時に話を聞くって事でここに来たんだ。」
香織「へーそうなんだ。って蓮斗!?どうしたのその顔!?すっごい冷や汗出てるよ!?」
蓮斗「いやー、あのですね、流石に派手にやり過ぎたと思いまして、、、絶対に怒られますよね...?」
天羽・香織「確実に怒られるな/怒られるね」
そう2人がハモった。正直とてつもなく怖い。そんな事を考えて胃が痛いと思っていると奥から5人の大人たちがやってきた。
小鳥遊「君たち二人はこっちの2人と話してくれ。」
天羽・香織「分かりました。」
小鳥遊「祇梨君はこっちの3人に話をして下さい。いいですね?」
蓮斗「え、なんで俺だけ3人なんでs」
小鳥遊「いいですね???」
蓮斗「ハイッ」
言い終わる前に副団長さんにとてつもない圧をかけられほぼ強制的に頷いてしまった。項垂れながらも話をする相手を見て私は固まった。
蓮斗「(なんで私だけ三対一なんだ...しかもこの人達って国防軍の最高司令官に加えてその補佐、第一団隊の隊長さんだよな、、、絶対警戒されてるなー)」
小鳥遊「では二手に分かれて何があったのか聞かせてもらいます。特に手荒な真似はしないので安心してください。」
そう言うと私たちは二手に別れ尋問が開始された。
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取調室のような所に通された。そこは想像とは違いソファーがあり高そうな机などもあり少し拍子抜けしてしまった。
蓮斗「(取調室というよりまるで来客室って感じなんだな。ちょっと意外だ。)」
???「それでは先程何があったのか正直に話して貰えるかな?」
蓮斗「はい。(この人は確か、)」
???「司令官。まずこういった話の場ではまず名を名乗らねば相手に不安を与えてしまいますよ。」
???「むっ、それもそうだな。初めましてだ少年。ワタシの名前は荒山厳十郎だ。そして他2人は」
東雲「東雲隼人です。」
新島「新島杏と申します。」
相手3人がそう名乗った。やっぱりと言うべきか相手方3人は国防軍の中でも五本の指に入るほどの発言権を持つ国防軍の要3名。
蓮斗「(この3人が出てくるって事は今回の件ってもしかして滅茶苦茶面倒事なんじゃ、、、)」
荒山「では、君の名前を聞かせてもらっても?」
蓮斗「はいっ!私は祇梨蓮斗と申します。」
そう言い私は頭を下げた。すると荒山総司令官が大きな声で笑い始めた。
蓮斗「え、私何か失礼なことを....」
東雲「いや、君は何も気にしなくていいよ。それより祇梨か...フフッ」
新島「東雲さん!貴方も笑ってないで司令官を落ち着かせるの手伝ってください!」
東雲「いやーごめんごめん。つい」
そう言い2人は腹を抱え笑っている荒山総司令官を落ち着かせ始めた。
蓮斗「(まただ、また私の祇梨という姓に反応した、、、何かあるのか...?)」
そんな事を考えているとやっと落ち着いたのか荒山総司令官が話し始めた。
荒山「いやーすまんすまん。その名を聞いた上で君のその態度、どうしても慣れなくてな。」
蓮斗「え、私の名前がですか?」
荒山「あぁそうだとも。気を悪くしたなら申し訳ないが、その祇梨を姓に持つ一人の男に我ら国防軍は非常に世話になっていてな。あの男と君の性格が真反対過ぎて笑ってしまったのだ。」
蓮斗「祇梨を姓に持つ男...?」
私が疑問に思い荒山総司令官に話を聞こうとした瞬間部屋の扉が開いた。そこに立っていたのは私の両親だった。
清和「よっ、蓮斗。今度は何したんだ〜?」
そう言いながら父が私の方に手を置きながら笑った。それを見て母が小さく笑っているのが目に入った。すると、
東雲「これはこれは、祇梨夫妻。このような時間に呼び出してしまい誠に申し訳ない。」
新島「すぐにお茶の準備をしますのでご子息の隣でお待ちください。」
なんと国防軍第一団隊の団長が床に膝をつき頭を下げていた。そしてもう1人の国防軍総司令官補佐がすぐに私の両親にもてなしを始めた。
紗奈「気にしなくていいから、気をつけてね。」
新島「はい。お気遣い感謝します。」
清和「そんな事しなくていいって毎日言ってるだろ?なぁ荒山。」
荒山「そういう訳にも行くまいよ祇梨。君は国防軍の大切な友人なのだから。」
蓮斗「友人?え、どういう事なんだ父さん!?」
私はこの状況が意味不明で頭が混乱してしまった。荒山総司令官の口から友人という言葉が飛び出した事でさらに混乱する羽目になった。
清和「それで?今日はなんでうちの息子が国防軍に、しかもその本部に連行されたんだ?」
父さんがそう質問した。すると荒山総司令官の隣に座っていた東雲団長が話し始めた。
東雲「今回祇梨さんの息子さんを国防軍本部に連行したのは、最近多発している亜人種誘拐の場面に居合わせた事、敵勢力を単身で制圧、上位魔法の使用について質問するためです。」
紗奈「蓮斗、貴方上位魔法を使ったの?しかも人が通るかもしれない場所で?」
母はそう言い私の方を見た。その目は全てを見透かしているようなモノで私は正直怖かった。
蓮斗「はい。私は短期決戦が最善手と思い、意識は完全に奪える雷系統の上位魔法を使いました。」
東雲「雷系統の上位魔法をこんな子供が...?」
新島「祇梨ご夫妻のご子息ですし、不思議はないのですが、やっぱり信じられませんね。」
そんな話をした2人は何かを考え始めてしまった。
荒山「ほー。その歳で上位魔法、しかも制御の難しい雷系統とな。ハッハッハ!祇梨蓮斗!お主国防軍に来ないか!?」
いきなりの勧誘。私は固まってしまった。すると、先程まで二人で話していた新島さんが荒山総司令官を止めに入った。
新島「総司令官。不用意な発言はお控えください。幾ら魔法の才があれど相手は子供。いきなり勧誘するのは如何なものかと。」
そう総司令官補佐の新島さんに説き伏せられ荒山総司令官は何も言えずに項垂れていた。すると父さんが話し始めた。
清和「荒山よ。流石にこいつはまだ高校生だ。いきなり勧誘するのは困らせちまうだろ?まぁあと数年もすればこいつも職を探すだろうからそん時勧誘してやれ。」
荒山「それもそうじゃな。だが祇梨蓮斗。先程の勧誘の返答。早くても問題は無いからな。」
そう言い荒山総司令官は大きな声で笑った。
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新島「はい。聞き取りは以上になります。お疲れ様でした。」
聞き取りが始まり30分程で終わりを迎えた。聞かれた事といえば誘拐犯との戦闘に関するものと相手が言っていたパンデモニウムや人攫いに関する事だけ。あとは今私が使える魔法に関してのことだった。
荒山「いやはや、お主がそこまで魔法を扱う事が出来るとはな。ますますお主が欲しいぞ祇梨蓮斗!」
東雲「まぁまぁ落ち着いて下さい総司令官。蓮斗君も困ってますし。」
清和「相変わらずだな荒山。有能な奴がいればすぐ勧誘する。だが、こいつがYESと言うまでは勝手なことをしたら、分かるな?」
荒山「そう威圧するな祇梨。流石にワタシもそこまで馬鹿では無い。人の道を外れはせんよ。」
清和「そうかい。そりゃ良かった。」
父さん達がそんな話をしている時ふと母さんの方を見るとお茶を飲んで微笑んでいた。
蓮斗「(こんな状況でリラックスしてるって、母さんって結構肝が据わってるのか...?)」
新島「話し合いは終わりましたが、蓮斗君?君もこれから上位魔法を使う時はできるだけ周りに人がいない状況で使ってくださいね?」
蓮斗「はい...気をつけます。」
東雲「まぁ君は祇梨さんの息子さんだし、多少は使用できる魔法も多いから使い方だけには気をつけるんだよ。」
蓮斗「はい!ってん?祇梨さんの息子だから...?」
東雲「なんだ、聞いてないのかい?祇梨さんは国内での魔法の使用制限が解除された会社の社長さんなんだよ。でよく依頼で国防軍の戦闘訓練の指南役になって貰ってるんだ。」
蓮斗「え、そうなんですか...?」
初めて知る事実に私は驚きを隠せずにいると新島さんが私の耳元で小声で何かを話した。
新島「「正直な所、国防軍で祇梨さんと対等に戦えるの総司令官だけなんですよ。東雲さんもよく祇梨さんに完敗させられてるんですよ。これ言うと怒られるちゃうので内緒ですよ♪」」
東雲「ん?どうしたの新島さん?なんか蓮斗君に言ったの?」
新島「いえ、特に何も言ってませんよ。」
そう言い部屋を退出する事になり私だけ外に出ることになった。後ろを振り向くと新島さんがシーッというジェスチャーをしていた。
香織「あ、蓮斗〜!もう終わったんだね!」
蓮斗「お疲れ様です。お2人も聴取終わってたんですね。」
天羽「俺たちは結構早く終わってたよ。まぁ何はともあれやっと帰れるな。大分な時間だな。」
蓮斗「そうですね。あっ、お二人の親御さんが来ましたよ。」
香織「あっホントだー。じゃぁ2人ともまた明日ねー!!」
天羽・蓮斗「おう。また明日。/はい。また明日。」
天羽「じゃぁお前もまた明日な。」
蓮斗「はい。また明日。」
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荒山「残ってくれてありがとう、祇梨。」
清和「いや、問題ない。それでどうだった?」
荒山「分かった。新島、頼む。」
新島「はい。それで祇梨蓮斗君の魔力を採取し検査にかけた結果、真っ黒でした。」
紗奈「やっぱり、か。」
清和「また面倒なことになったな。荒山、国防軍の中から隠密に特化した奴を2、3人蓮斗に着けてくれ。俺の方でも手配はする。」
荒山「分かった。東雲、今すぐ隠密に特化した者を2、3人手配しろ。あと、条件には戦闘が可能な者に絞れ。いいな?」
東雲「了!」
清和「最悪の場合、俺と荒山で対処する。それに異論がある者はここに居るか?」
4人「「ありません/ないな」」
清和「よし。これで最悪パンデモニウムが動いても対処可能だな。」
荒山「あぁ。もしパンデモニウムが祇梨蓮斗について知った日には彼の通う学園は襲撃されるだろうな。」
新島「確かに、我ら国防軍、祇梨さん率いる便利屋如月、覇王様率いる対厄災対処協会と全面戦争になってでも奪いに来るでしょう。その上であの学園には特異点となるであろう他2名の生徒も居ます。」
紗奈「万象の拒絶・同一化・改変...これがパンデモニウムの手に落ちれば冠位を抜いた全ての存在が滅ぼされるね。特に危険なのは....」
荒山「祇梨蓮斗。まだ本人は気付いていないがその力の本流、闇系統根源魔法〝黒王戦鬼〟これが他系統の最上位魔法を使って暴れるとなれば国が軽く4つは滅びるぞ。」
清和「そうならない為にも俺たち大人が頑張らないとな。」
紗奈「そうね。」
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蓮斗「父さんと母さん遅いなー。」
重苦しい話をしている大人を他所に私はそんなことに微塵も気付かず夜の星を眺めているのであった。




