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不人気ダンジョンと面倒な敵

「案外あっさりと集まったな」


 あれから二時間、合計30体のサンドゴーレムを撃破した俺ら二人は、軽く伸びをしながら第7階層へ降りる階段を歩いていた。


「最初の三体を含めて33体狩って土嚢は21だからな。今日は比較的運が良いかもな」

「それは言えてるな」


 サンドゴーレムの採取物のドロップ率はおおよそ3割強と言われている。それでありながら今回のドロップ率は驚異の7割近くとなれば、運が良いというのも分からなくはない。


「次の第7はたしかカッパーゴーレムだっけか?」

「そうだな。郡山は第1、2階層がアイアンゴーレム、第3、4階層がブロンズゴーレム、5階層がロックゴーレム、今俺達のいる第6がサンドゴーレムで、次にいく第7はカッパーゴーレムってなってるからな」


 カッパー……つまるところ銅製のゴーレムはアイアンゴーレムやブロンズゴーレム、ロックゴーレムのような固さはないし、サンドゴーレムのように再生能力があるわけでもないが、その特性として体から高出力の電気を飛ばしてくる、モンスターではそこまで珍しくない魔法型のゴーレムだ。

 正直最初は魔法使えるモンスターに嫉妬したが、魔剣とかでも似たようなことはできなくないし、それに魔法型のモンスターは狩るのも少し面倒だから、相手をしたくないというのが本音だ。


「一応絶縁グローブは装備しとけよ。お前の鎖は俺のハンマーや剣みたいに絶縁テープで持ち手のとこ巻いてないんだから」

「あぁ、そういえばそうだったな」


 普段は鎖を操るのに邪魔だから着けてないが、カッパーは電気を飛ばしてくるし、武器をぶつけて感電しても嫌だから、ダンジョン素材で作られた電気を完全に通さない特殊なグローブ(三組一つで税込み33000円)を収納から取り出して装着する。


「と、さっそく奴さんが見えてきた……あ?」


 階段を下りて康成が件のゴーレムを見つけたのだが、次の瞬間疑問符が口から漏れた。


「どうした康成……っては?」


 何に驚いたのか俺も階段を降りて第7階層の入口を見て、その光景に絶句した。

 そこにいたのは紛れもなくゴーレムだった。色や見た目は間違いなくカッパーゴーレムなのだが、件のゴーレムの両肩と両手にはガトリングが装着されていたのだ。それも良くゲームやアニメで見かけるような六連砲身じゃなく、なんと十二連砲身。しかもそれが四つ全てに搭載されて、弾帯……ガトリング砲やマシンガンにおけるマガジンのような帯状の物体のこと……が見えないうえに、その砲身がゆっくりとこちらを示している。それが示すのはつまり


「っ!!康成!!」

「分かってる!!」


 すぐさま俺らは上層への階段を上った。次の瞬間、俺達が今まで立っていた場所にうるさい金属音と共に大量の弾丸が飛んでいた。もしあの場に居たら今頃俺達の体は汚いミンチに変貌していただろう。


「嘘だろ、あれ」

「あんな特殊個体、初めて見たぞ」


 背中に冷たいものを感じながらそう呟く。命名するとしたら『クアッドガトリングカッパーゴーレム』といったところか?あんな殺意の塊の特殊個体は初めて見た。

 仙台のスタンピードでも特殊な個体は少なくない数を見てきた。が、あんなふざけた進化をした特殊な個体は見たことがない。


「あれに手榴弾とか効くと思うか?」

「効くだろうが、有効打にはならねぇだろうな」


 康成の言葉に完全同意だ。むしろあれを倒すには手持ちの札が圧倒的に不足している。


「そもそも、どういう進化をしたらあんな特殊な個体になるんだ?」

「だな。例えば銃を大量に手に入れた個体が……って場合でも、それがあんなワケわからねぇ進化をするとは思えねぇし、そもそもゴーレムに対してだと、並みの銃弾じゃ歯が立たねぇぞ」


 俺ら冒険者が使う銃弾は、火薬の中に少量の魔石の粉末を混ぜることで、弾に魔力とやらを弾頭に纏わせることで威力を増している。

 そうでない銃弾ではゴブリンやウルフ程度の皮膚が比較的薄いモンスターはともかく、オークやオーガといった皮膚が厚い、もしくはリザードマンのような皮膚が硬質の鱗のようなもので覆われているモンスターには歯が立たない。

 そしてその魔石の粉末入りの銃弾も、ゴーレムのような肉体そのものが硬質の金属や石材などという、中が空洞になっていない、言ってしまえば歩くインゴットの塊のようなモンスターが相手では貫通どころか傷をつけるのさえ難しい。

 だからゴーレム相手に銃は使われない。ましてやあのゴーレムが使うようなガトリング砲なんて、空間収納に弾帯を入れて連射しまくっても採算が取れない。カッパーゴーレムのドロップアイテムである銅のインゴットの価格は15万程度だった筈だから、良くてトントン、下手すると弾代&砲身の替えでマイナスになる。


「さてどうする?あんなモンスター相手にするのは不可能だぞ」

「そうだな。見た感じ弾も銅製みたいだな、弾の速度はまぁ言わずもがなだ」

「あれ以上の隠し球があると思うか?」

「……無いだろうな。あの特殊個体の外見からして、固定砲台みたいなタイプだろ。電気も弾の発射に使ってるだろうし、電気で攻撃してくることはまず無いだろうな」


 それでもあの弾幕は普通に脅威でしかないし、やつを倒さないことにはその下の階層の素材も手に入らない。

 どうするべきか、そう悩んでいた時だった。


「お二人さん、もしかしてあのゴーレムを倒しに来たのか?」


 後ろからぞろぞろとやってきた十数人の冒険者が俺達に声をかけてきた。それも入口で俺達に視線を向けてきた連中も何人か居る。


「あんたらは?」

「俺達は郡山ダンジョンを拠点に活動してる『片平組』の冒険者でな、あのゴーレムの処理に来た」

「『片平組』……まさか?」

「まぁお察しのとおり、いわゆるダンジョンヤクザってところだ」


 その一言になるほどと思ったところで、彼らは続けてこう言った。


「もし可能なら、やつを倒すのに協力してくれねぇか?当然謝礼はするぜ」

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