おっさん旅に出る
続が書けましたので投稿しました。
宜しくお願い致します。
「いざ行かん、久方振りの外の世界へ」
テンション高くそんな事を口にして館から出ようとしたら、背後から声をかけられた。
「行ってらっしゃいませ旦那様」
「「「行ってらっしゃいませご主人様」」」
館の玄関ホールに集まった俺の僕達。俺が設計から造り上げた、魔道自動人形の執事型やメイド型それと警備型。そんな魔道自動人形達がホールに集まっていた。
「見送りは要らないと言っただろう」
「はい、ですがご旦那様をお見送りしないと言うのは私達の存在意義に関わりますので、お見送りはさせて頂きます」
「わかったよ、暫く留守にするが宜しく頼む」
「はい、お任せ下さいませ旦那様」
「「「お任せ下さいませご主人様」」」
俺が何も言わなくても俺の考えを先読みして動いてくれる僕達。誰に似たのやら仕事に対してプロ意識が強く、そして頑固だ。
素材を探しに外出する事は伝えたが、折を見て時々帰ってくる事も伝えたのだが、館の主が外出する時の見送りと、帰宅時のお出迎えは僕の職務だと言って譲らなかった僕達。
俺に対する忠誠心なのか、職務に忠実なのか俺には理解出来ない。自分で考え学習し行動する完全フルオートの魔道自動人形達。
設計、加工、組み立て、仕上げ、スイッチオン、そして個体毎に割り振る仕事の大まかな説明や資料を渡す所までは俺が手掛けたが、その後は基本的に放置。失敗を繰り返しながらも少しずつ改善し最適化し効率化する、学習機能と言う便利な機能を着けた事で、調べ物や会議まで行う事が出来てしまう優秀な僕達。
そのお陰で俺の引き籠り生活は非常に充実して、何不自由の無い日常を送る事が出来た。快適過ぎて館から出たく無くなったとも言えるが…。
「では行ってくる!」
「「「行ってらっしゃいませ」」」
ホールに居る僕達に見送られながら俺は館から旅立った。
両開きの玄関ドアには二体のメイド型の僕が控え、俺が通るタイミングでドアを開け「行ってらっしゃいませ」と頭を下げる。
「ご苦労!」
俺はそう一言言うと玄関から館の外に出た。館の無駄に広い前庭を歩き、表門にそこにも警備の為に僕が居る。門番の詰所と、門の前に各2体ずつ。
警備の僕は俺の姿を見ると両開きの門を開けて、俺を迎えてくれる。
「「「「お気をつけて行ってらっしゃいませご主人様」」」」
「おう、ありがとう」
そう言うと、俺は何十年以上ぶりに館の敷地から外に出たのだった。
当初の予定通り先ずは近くの町に向かい、そこで更に様々な情報を集めて希少な素材集めの旅を始める事にした。
使役の契約を交わした小鳥に町から徒歩で一~二時間の所で、尚且つ人目に付かない場所を探してもらい、小鳥の視点を介して超久しぶりに使う転移魔法!
しかし超久方振りという事も有り、少し座標がずれてしまった。街道脇の森の中に転移してしまった。
まぁ、弘法も何とやらと言うやつだ。何処の諺か格言かは覚えていないがが、今の俺の状況にはピッタリな言葉だと思う!
転移魔法の転移先の座標のズレは時として命に関わる。その為、その後何度か転移を繰り返し、小鳥との視点と座標との誤差の修正を行った。
無事、転移先の座標のズレを修正出来たので森から街道に出る事にした。
やっと森から抜けられた、そんな事を思っていたら、何やら怪しい雰囲気の場面に出くわしてしまった。
何やらその場にいる全員が、こちらに武器を向けて構えている。(おっさんは悪いおっさんじゃ無いよ良いおっさんだよ♡)って言える状況でもなさそうだな。取り敢えず敵意が無い事を伝えないといけないな。
俺は両手を上げて「お呼びでない?」と、言いながら少しずつゆっくりと危なそうな連中から離れて行った。
勢いと思い付きで書いております。
感想やアドバイスを頂けたら嬉しいです。