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マイペースな、おっさん放浪記  作者: きすぎあゆみ
引き籠りなおっさんの旅立ち編
22/34

おっさん夜の町ヘ

続きです。

何とか今週も投稿出来ました。

宜しくお願い致します。

「ライナーさん」


 ガゼールとの連絡の魔法を終えてベッドに横になっていると、部屋のドアをノックする音とナリアちゃんの声が聞こえて来た。


「ああ、ナリアちゃんか!」


 まあ、今このタイミングで俺の部屋に来たと言う事は、夕食の準備が出来たのだろう。俺に用事が有る者など居ないと思うし、気配からナリアちゃんが近付いて来ていたのは解っていたし。


「このままで失礼しますね、夕食の準備が出来ましたので食堂に来て下さいね」


「ああ、了解した!」


 俺が部屋に入ってから一息吐ける時間を見計らってからなのか、それとも俺の分の夕食を作り終えたから呼びに来たのかは解らないが、有名な店での食事は何時でも大歓迎だ。


「それでは、失礼しますね」


「ナリアちゃんありがとう」


「いえ、どういたしまして」


 そう言ってから、ナリアちゃんの気配は遠ざかって行った。夕食の準備が出来たのなら有難い、食事を済ませてから行ってみたい所が有ったからだ。それは所謂「夜の街」だ。


 この町には夜にしか営業していない店も有るからだ。それは決して大人の店と言う訳では無く特殊や希少な素材や材料を扱う店等で、主に薬師や錬金術師や魔道具職人等の特殊な技能を持った職人達で、職人達が自ら買い付けに行く必要の有る店がそれにあたる。


 それらの特殊な技能を持った職人達は、決められた仕入れ先から素材や材料を配達して貰っているのだが、拘る素材や材料は自らが直接買い付けに行く事も有る。直接自らの目で見て吟味し確認しないと気が済まない者達も多く、その拘りが有るからこそ常に良い品質の物が造られる事へと繋がっている。


 だからって態々夜に買い付けに行かなくてもと思うのだが、昼間はお客への対応や仕事で忙しくその時間を作るのにも一苦労するというのも有る。まあ、時間が空けば昼間でも店に行けるので、必ずしも夜に店へと行く必要は無いのだが、そこは同業者達との交流の場や情報収集の場でも有るのでそこは仕方が無いのか?


 俺は身支度を整えると、って言いたい所だが特に何も無いので、着の身着のままで一階の食堂へと降りて行った。


≪旨い飯屋亭≫の食堂は相変わらずの盛況さで、空いている席が殆ど無い。安くもなくだからと言って高くもない、それでいて食事の味は一級品と来れば懐に余裕が出来ると来てみたくなるのは人の性だろう。


 俺が食堂兼酒場に顔を出すと、ナリアちゃんにカウンターの空いている席に案内された。俺が席に着くと俺の前に何種類もの料理が並べられた。


 パンと肉や野菜が沢山入ったスープと何かの肉を焼いた物と野菜サラダ。見た目の彩りも鮮やかで、より一層食欲が刺激される。


 昼間に行った≪創作料理ザ・ゼン≫程のインパクトは無いが、これはこれで値段の割に中々のボリュームだ。パンは庶民が普段食べる堅焼きのパンだが、品数と肉と野菜の量が多く香辛料も使っている様にも見える。


 食事付きの泊まりの金額でこの内容の食事ならば、金額を追加したら一体どんな料理が出て来るのか試してみたいが、今日は止めておこう。昼が遅い時間だったのと量も多かったので、ここで追加してしまって食べられなくなってしまうと料理人に申し訳無いからな。


 今日は大人しく出された料理を堪能する事にしよう。貧乏性の俺は残さず美味しく頂きました。


 食事を終えた俺は宿の受付で夜の町へと出掛ける旨を伝えて、宿を後にした。受付に居たのはナリアちゃんだったが、夜の町に出掛ける意味とかはまだ解って無いのだろう。別にやましい事は何も無いのだが。




 そして今からが、今日の本番で有る、夜の町に繰り出すのだ!べつに夜の町って言っても、怪しい店やいかがわしい店に行くわけじゃ無いからな!材料の仕入れに行くだけだからな!勘違いして貰ってはこっこまるなっ!って、…俺は誰に言い訳をしているんだ。俺は自立した大人だ!どこでナニをしようと自己責任だから何も問題は無い筈だ!


 俺は事前に調べていた情報と、この町を設計した時の事を思い出しながら夜の町を歩いて行く。夜の帳が降りた中で、真っ暗な裏通りを歩くのは余計な面倒事に巻き込まれてしまうかもしれないので、出来るだけ街灯の灯る明るい通りを歩く事にする。


 実際俺が行く予定の店は、夜でも人の出入りが有るので比較的大通りに近い所に有る。態々自分から面倒事に首を突っ込む趣味は無いので、余程の事が無い限り暗い夜道に近付く事は無いだろう。


 大通りやそこから枝分かれした通り沿いには基本的に大手や中堅の商会が店を出しているが、更に枝分かれした通りに入って行くと、一般人には用の無い様々な店がチラホラと見えてくる。薬草の専門店、薬草から抽出された薬品類の専門店、様々な粉末を扱った専門店、魔石の専門店、魔法石の専門店、魔鉄、魔鋼等の専門店、魔獣や魔物の皮の専門店、同じく牙や角等の各部位の専門店等々、取り扱う品物によって各業種事に分けられている。


 大手や中堅の商会に行けば常に需要の有る品物は手に入れる事が出来るのだが、特殊な素材や滅多に需要の無い素材や高品質な素材等は各種専門店に行った方が良いだろう。


 そう言う事なので、目星を付けた店を回っていく。先ずは宿から近い魔道具や魔法具、魔力を帯びた武器防具等を作製するために必要になってくる、魔石や魔法石の店に行く。宿屋≪旨い飯屋亭≫の建つ通りから一本隣の通りで商っている店だ。


 看板には≪魔石、魔法石、取り扱います≫としか書かれていないが、解る者には伝わるので問題は無いのだろう。入り口の外灯が灯っているので、閉店という事は無いと思いたい。


 入り口のドアを開けて店に入ると、店の奥にカウンターが有りカウンターの後ろには壁一面に、引き出しが並べられていた。カウンターには真っ白な髭を蓄えた老人が居て、お客だろうか五十代位の男と話している。店の中には他にも数人の先客が居り、店に置かれた品物を品定めしている。


 俺が店に入ると先客と店主かな?は一度俺の方を見たが、直ぐに興味を失ったのかまた陳列された商品を眺めている。店主の爺さんが先客と話をしているので、話が終わるまで店の中を物色してみるか。


 魔石と魔法石の店なのだが、店の中に陳列されている品はどれも品質としては余り良くは無い。確かに高価な品を取り扱っているので強盗や窃盗などの対策なのだろうが、本命はやはりカウンターの後ろの棚か店の奥にでも有るのだろう。


 大きさは加工し易いサイズで良いのだが色がくすんでいたり、色にむらが有ったり。大きい割に何の魔力≪魔素≫も感じなかったりと、魔石や魔法石としての価値や利用価値は低いのだが買えばそれなりの金額になるで有ろう物ばかりだ。


 知らない者からすれば陳列されている品でもそれなりの金額になるので、これはやはり善からぬ事を考える者に対する撒き餌の様な物なのだろう。しかしこの店で強盗や窃盗は、一般人には多分無理だろう。


 この店の入り口のドア、商品が陳列された棚の回り、カウンターの回り、カウンターの後ろの棚、そのどれもに魔力≪魔素≫の流れを感じる。その魔力≪魔素≫の発生源はカウンターと奥の部屋に二ヵ所有るので、そのどちらからでも操作出来る様になった防犯装置だろう。


 商品には勝手に店の外に持ち出せない様に範囲内限定の移動制限の魔法が掛けられていて、その魔法を解除無しで商品を勝手に店の外に持って出ようとすると、店の入り口のドア、商品が陳列された棚の回り、カウンターの回り、カウンターの後ろの棚にシールド系の魔法が展開して、店主や店主の許可を得た者以外はこの店内からは出られなくなる仕組みになっている。そうして窃盗犯等がシールド内で右往左往している間に、衛兵が駆け付けて御用となる訳だ。


 これは魔法装置や魔道具の類いだろうな。魔法装置や魔道具なら店の模様替えの度に術者が来て魔法の術式を書き換えをする必要が無い。店の模様替えの度に術者を呼ぶとなると毎回の出費が馬鹿にならないだろう。ところが魔法装置や魔道具なら魔法装置や魔道具を予め組み込んだドアや家具を造れば、初期投資は高く付くがその後の維持管理の費用は術者を呼ぶ事を考えると大幅に安く済む。


 後は魔力≪魔素≫回路を繋げば稼働するので店の模様替えをしても魔力≪魔素≫の回路を繋ぎ換えれば直ぐにでも使う事が出来る。どちらも魔力≪魔素≫の供給元である魔石や魔法石を取り替えれば、魔力≪魔素≫を供給する事が出来るので魔力≪魔素≫切れと魔法装置や魔道具が壊れない限り半永久的に使う事が可能だ。


 パッと見は取り扱っている商品が高いだけの普通の店に見えるのだが、目に見えないその店の裏面は中々拘りの強い店みたいだ。さてこの店には俺が望む物が商品として置かれているのだが、果たして一見の俺に売ってくれるのだろうか?

田舎の朝は、連日雪景色です。

それでも十年前と比べると雪の量が物凄く減ったのですが…。

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