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マイペースな、おっさん放浪記  作者: きすぎあゆみ
引き籠りなおっさんの旅立ち編
21/34

おっさんの予定外

続きです。

日々の生活の中で、予定していない事って多々有りますよね。

≪旨い飯屋亭≫で部屋に案内された俺は、部屋に入るとドアの鍵を掛けると部屋の中を見回した。裏通りの安宿と比べると少し高めな宿代を取るだけ有って部屋は僅かに広めで、家具もベッドに小さめのタンスに一人用のテーブルに椅子のセットとその辺は普通かな。


 ベッドのシーツは清潔で、布団もそれなりに柔らか過ぎず硬過ぎず。小さいとはいえタンスが有るのは普通の人族なら有難いだろうな。俺には必要が無いけど。テーブルと椅子のセットが有るので書き物も出来るし、食事も摂れる。前もって調査した甲斐が有ったという事だ。


 部屋の確認を終えたので背負っていた背嚢を下ろし腰の剣も外す。これで少しは身軽になった。次に自分自身に浄化の魔法を掛けて、身体と衣服や下着を綺麗にする。


 うん、リフレッシュ出来て気分的に楽になった。いや、待てよ荷物を下ろす前に浄化を掛けた方が荷物も綺麗になったよな…。そう思い背嚢と剣に浄化の魔法を掛けた。二度手間になってしまったが仕方が無いな。


 身体はそこはでは疲れてはいないが、何だかんだ言って面倒事に捲き込まれたせいで精神的には少し疲れていたからな。後は旨い物が有れば言う事は無いのだが、それよりも先にしなければいけない事が出来たので、それを片付けるとしよう。


 俺はベッドに腰掛けると倒れ込み天井を見上げた。


「…見た事の無い天井だ…」


 そりゃそうだ!今日初めて泊まる宿の天井だから見た事有る筈が無いだろう!…虚しい…一人になったのはいつ以来だろうか?


 山奥の館に籠ってから俺の回りには、俺の世話をするために常に魔導人形達が居た。いや、違うか。俺は魔法や魔道具製作や魔導工学を学んでからは、家事や身の回りの世話をさせるための魔導人形造りに没頭した。俺は趣味の時間以外の事で頭を悩ませたく無かったので、時間が有れば試作した魔導人形に改良を施し少しずつ進化させてていった。


 そうして気が付いた時には俺の世話をするためだけでは無く、警備用の魔導人形や趣味や仕事の助手用の魔導人形まで製作してしまっていた。




 それはさておき、俺は自宅が有る山奥の館で留守中の全責任を任せている、執事型の魔導人形に連絡用の魔法で連絡を取った。


「もしもし、オレオレ!」


「はい、ご主人様何事でございましょう」


 もっと違う反応を期待したのだが、こんな事をするのは俺かこの世界の高位な存在くらいしか居ないので、バレバレって言えばバレバレだよな。


「ガゼール仕事を頼みたいが、良いか?」


「何でもお申し付け下さいませ、ご主人様」


 うん、いつでもどこでも完璧な受け答え。名前はガゼール。俺が造った魔導人形の中では二番目の古株だ。面白味は無いがそういう風に作ったのはおれ自身だから仕方が無いって言えばそれまでか。仕事に関しては完璧で突っ込みどころが無いが、もう少し面白味と言うか柔軟性が欲しいかな?


「今日の昼間に俺達に絡んで来た、輩達の事だが解るか?」


「はい、ご主人様が使役されている鳥からの視点で、状況は確認しておりました」


 流石だなとは言っても、もし俺が何か不測の事態に陥っても良い様に、警備用の魔導人形達が常時俺の回りを監視しているので、輩達の事の報告を受けて情報を共有していたのだろうな。


「その輩達だが、今回含め以前の犯罪も立件されれば犯罪奴隷に落とされる予定だ。そして危険箇所や重労働の人足として使い潰されるだろう」


「犯罪者ですので当然の報いだと思われますが、ご主人様には何か他に彼等に使い道が有るとお考えで?」


 普通に考えればそういう反応になるだろうな。犯罪者には犯した罪の重さに応じて様々な処罰が有る訳だし、犯罪奴隷に落とされるという事はそれだけ罪が重いという訳だから同情する必要が無いのが普通の反応になる。それが喩え魔導人形で有ってもだ!


「奴等を俺の手駒として使いたい、奴らの身請けを頼めるか?」


「ご主人様の手駒としてですか?失礼ですが彼等にそれだけの価値が有ると仰られるのですか?」


 問題はそこだよな!確かに輩達に際立った能力や才能は見られなかった。しかし、リーダー格の輩に関しては、犯罪者なりにその中で何が何でも上に這い上がろうとしていた様に思える。何がそこまで輩リーダーを駆り立てているのかは解らないが、その方向性を変えてやれば使えるかもしれないと思ったのだが。


「さあ、どうかな?使えるかもしれないし使えないかもしれない。だが犯罪奴隷として使い潰されて死にたく無ければ、俺のために必死に働けば生きられると解ればどちらを選ぶかな?」


「生きるか死ぬかの選択を、彼等自身に選ばせると言う事ですね」


 何か身も蓋も無い全く容赦の無い言い方だな。内容としては間違ってはいないのだが、もう少し柔らかく言えないのだろうか?それとも俺に絡んできた輩達に対して怒っているのかな?


「そうだ、今まで自分達の勝手気儘にやりたい放題してきたみたいだから、その報いも受けさせないとな。だから俺の奴隷になるのかならないのかは奴等自身に決めさせると良いだろう」


「畏まりました。ご主人様がそう仰られるのでございましたら、私達は従う他ございません。それではその様に取り計らわせて頂きます」


 堅い、堅過ぎる。仕事に対する完璧さを求めて仕上げた結果だから責任は俺に有るのだが、もう少し柔軟性が欲しいな。俺には柔軟に対応しているのに、俺に悪意の有る者達に対しては容赦が全く無い。それはそれで良いのか?俺に仕えるのだから間違ってはいないのか…!


「ガゼール。済まないが、任せたぞ」


「承知致しましたご主人様。後日結果をご報告致します。」


 ふっ、これで面倒な仕事を一つ部下に押し付けてしまった。まあ、ガゼールなら上手く片付けてくれるだろう。彼?に対しては信頼しか無いからな。


「ああ、了解した。その他にも何か有ったら連絡をしてくれ」


「畏まりました、ご主人様。それと一つ宜しいでしょうか?」


 ん?ガゼールが俺に意見するとは珍しくは無いが、何か思う事でも有るのか?確かに犯罪者を雇う事には若干、いやかなり忌避感が有るみたいだがガゼールにはガゼールなりに俺への忠誠心からの行動だから仕方が無いか。


「どうした?何か問題でも有ったのか?」


「いえ、今後人族の中で諜報活動を行える、魔導人形の製作を具申致します」


 諜報活動用の魔導人形か…今まで考えない訳でも無かったが、俺は俺の趣味以外の事に特に人族の情勢等には興味が無かったから造らなかったけど、今回みたいに素材が足りなくなった時に俺の代わりに動いてくれる存在が居ると助かるよな。これは大いに検討の余地は有る事だが…。


「諜者型の魔導人形か、輩達を教育して諜者に仕立て上げようと思ってはいたが、確かに魔導人形なら半永久的に活動出来るから有りか…」


「ご主人様が今後人族の町等にお出掛けになられる事が有るかと思われます。ご主人様がご自分で使役した動物等で調査されずとも、魔導人形達で事前に調査が可能と思われますが、如何致しましょう」


 流石としか言いようが無いな。俺の事を考えて少しでも俺が動き易くなる様に、俺の一歩も二歩も先の事を考えている。俺の俺による俺のための魔導人形は、何時でも俺の事を優先してくれている。


「解った、魔導人形の素材はほぼ揃っていると思うから、作製を許可する。統括はガゼールに一任する、助手達に伝えて作製を始めてくれ」


「お任せ下さい、ご主人様」


 うーん、確か魔導人形の素材は有ったと思う。無ければガゼールから連絡が有ると思うからその時に考えよう。


「ガゼール、その他に何か気付きとかは有るか?」


「いえ、ございません」


 まあ、彼なら何か有れば連絡が有るだろうし、そうでなければ事後報告で連絡をしてくるだろう。


「そうか、それじゃ留守は任せたぞ」


「畏まりました、ご主人様、ご安全に」


 ガゼールが丁寧に頭を下げている様子が見えていないのに、想像できてしまう。そうか、連絡用の魔法を相手の姿が見られるように改良してみようかな?時間が有ればだけど。


「ああ、了解した」


「それでは、失礼致します」


 俺は連絡用の魔法を閉じると、そのまま目を閉じて暫しの休息を取る事にした。

宜しくお願い致します。

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