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マイペースな、おっさん放浪記  作者: きすぎあゆみ
引き籠りなおっさんの旅立ち編
17/34

おっさん未知の味との遭遇

続きを投稿しました。

宜しくお願い致します。

「ゼンさん注文しても大丈夫かい?」


「ハイよ」


 俺たちが席に着く為りウォレンツ君が店主のゼンさんに注文しようとしていた。


「ウォレンツ君、メニューも見ないで注文するのかい?」


「そうです、私達は初めてですのでどの様な料理が有るのかメニューで確認したいです」


「匂いは良いけど、何の店なのか解らないから、メニューを見せて貰いたいのだけど…」


「そう言われるとそうだが、これを食べればこの店の事が解ると言っても過言では無いお薦めの料理が有るのだが…」


 これを食べればこの店の事が解るって?そんな料理が有るのか?店毎にお薦めの料理や得意料理が有るのは解るが、一つの料理でこの店の事が本当に解るので有ればその料理を食べない手は無いな。


「この店の事が解る?そんな都合の良い料理が有るのか?」


「常連のウォレンツさんが薦められるので有れば、その料理も気にはなりますね」


「僕はメニューを一通り見てみたいかな」


「味は俺が保証するから、騙されたと思って食べてくれ!」


「ウォレンツ!騙されたと思ってとか、俺は人を騙す程不味い料理は作った覚えは無いぞ!」


「済まないゼンさん。しかしゼンさんの料理を彼らにも味わって貰いたいんだ!」


 おい、騙すとか物騒だな!しかし、この何とも言えない香辛料の香りを嗅いでいると本当に空きっ腹に毒だな!油断をすると涎が滝の様に流れ出しそうだ!


「解った此処はウォレンツ君を信じて、ウォレンツ君のお薦めを食べさせて貰うよ!」


「ライナーさんが仰るので有れば、私もウォレンツさんのお薦めでお願いします」


「僕は取り敢えずそれでも良いかな?」


「おう、任せてくれ!ゼンさんセットをフルセットで四人前頼む」


「ハイよ」


 そう言ってゼンさんは厨房に引っ込んでしまったが、少しすると店の中に漂う香辛料の香りが強くなった気がした。香辛料の香りに混ざって、肉の焼ける匂いとパンを焼く様な匂いと何かの甘い匂いと、厨房の方から俺の涎を決壊させる程、空腹を刺激する食欲をそそる匂いが流れて来る。


「お待たせ、うちの自慢のフルセットだ!」


 待つ事暫くしてゼンさんが持って来た料理は、丸い大きなお盆に載せられた物だった。丸い大きなお盆の上に、小さな丸い深皿が何枚も置かれ、それぞれに色や具材の違うスープ状の物が入れられていた。中にはシチューの様に煮込まれた物も有った。又、別の小さな深皿には、生野菜のサラダ、野菜炒め、肉を炒めた物等が盛られていた。スープやシチュー、野菜炒めや肉を炒めた物、全てから香辛料の独特な香りがするが不快では無く、むしろ空腹を刺激する香りだ。


 そして丸い平皿が三つ有り、一つには平べったいパンの様な物が載せられ、もう一つには粒状の白い物が載せられ、もう一つには黄色い粒状の物が載せられていた。


「ゼンさんありがとう、俺の奢りだ皆遠慮せずに食べてくれ!」


「おう、頂きますと言いたい所だが、この料理はどうやって食べるんだ?」


「そうですね、スープばかりでどの様に食べれば良いのか解りません、何か食べ方の作法が有るのでしょうか?」


「…何だか変わった料理だね」


「ああ済まない、この料理は少し変わっていて、この平皿に載せられたパンの様なものを千切って、この深皿に入っているスープのどれかに浸して食べる、平皿に載せられたこの白い粒々と、黄色い粒々はスプーンで掬ってそれをスープのどれかに浸して食べる。そして口直しにこの野菜サラダや野菜炒めや炒めた肉を食べる、そしてこの野菜炒めや炒めた肉はスープと混ぜても良いし、それだけで食べても良い、食べたい人が食べたい様に自分の好きな様に混ぜたりしても良い料理だ、当然スープ同士を混ぜるのも有りだし、最後に余った物を全て混ぜて食べるのも有りだ!」


「何だか変わった料理だな、普通なら料理を混ぜるのはマナー違反な気がするな」


「そうですね、少し調味料を加える位なら解りますが、料理人が折角作った料理を混ぜたりするのはこの辺りでは無作法とされています」


「と言うことはこの辺の料理では無いのかな?」


「アービィー君は中々鋭いな、この料理は東方の料理でカリーと言うらしい」


 成る程東方の料理か!確かにライスと一緒に食べる料理と成ると、ライス=米を作っている東方の料理と考えるのが普通だな。そう言えば香辛料や調味料として使われている物も、東方や南方産の物が大半だからその事を踏まえて考えてみると、確かに東方の料理と言うのは納得出来るな。


「カリー?聞いた事が無いな。しかしこの白い粒々はライスだろ。これも東方の食べ物の筈だろ」


「そうなんですか?私はどれも見た事も聞いた事も有りません。ライナーさんは国外の事とか詳しいのですか?」


「この粒々は麦の親戚とかかな?」


 そんな事を呟きながら、アービィー君はスプーンでライスをつついて居た。君は元とは言え貴族だろ!行儀が悪いぞアービィー君!


「ライナーさんの言う通りこの白い粒々はライスと言う、東方の主食だ。俺も初めて見た時には驚いたが、食べてみると旨くてそれが段々癖になって、今ではこのカリーとライスにすっかり嵌まってしまったよ!アービィー君の言う通り麦の遠い親戚みたいな物かな?」


「カリーにライスか…でも、ゼンさんはこの国の人だよな?」


「そうじゃないですか?どう見てもこの国の人ですよね!」


「この白い平べったいパンみたいなのは、これはパンの親戚なのかな?」


「その通りゼンさんはこの国の人だが、商隊の料理人として色んな国に行っていた時にこの料理、カリーと出会ったらしい。そしてカリーの魅力にどっぷりと嵌まったって訳さ!この白い平べったいのはナンと言って、パンの親戚みたいな物だな!」


 この世界では外国に行く人間と言うのは限られている。殆どの人間が生まれ育った町や村から出ること無く一生を終える事も珍しくは無い。それなのに外国に行く商隊の料理人をしていたと成ると、ゼンさんの料理の腕、いや、腕もだがセンスや発想も確かな筈だ。商隊となると食料は当然持って行くが、出先の現地で購入する事も有るし外国の食材で料理を作る事も多々有っただろう。


「外国の料理だから見た目は変わっていて、作法も違うが香辛料の匂いが何とも食欲をそそるな!」


「そうですね、見た目や作法を気にしなくても良いのならとても美味しそうですし、もしかするとカリーは流行っているのですか?」


「僕は美味しければ見た目とか作法は気にしないよ」


「流行っているかは解らないが、この店の常連は俺を含めて何人かはいるから、カリーに嵌まっている人は確実に居るな」


 まあ、この店のメニューがカリーだけと言う事は無いだろう。外国に行った事が有ると言う事はその他の外国の料理が有るかも知れないし、外国の料理をこの国の人間に合うようにアレンジして出している可能性も有るな。この店≪ザ・ゼン≫は要チェクの店だな。


「そうなのか、取り敢えずは食べてみない事には何とも言えないな、やはり自分の舌で確認してみないとな!」


「そうですね、冷めないうちに頂きましょう!」


「太陽神様今日も生きる…頂きます」


 アービィー君は空腹に負けてお祈りをはしょったな!そしてもう食べてるし。君は本当に貴族なのか、いや、だったのか?


「おう遠慮せずに食ってくれ」


「それじゃお言葉に甘えて、頂きます!」


「豊穣の女神様…頂きます」


 ルーチェちゃん君もか!


 そして空腹が限界状態で有る俺達は、未知の料理を美味しく頂いたので有った。

勢いと思い付きで書いております。

読んで頂いている皆様、内容の齟齬等はご都合主義と言う事でご容赦下さいませ。

感想やアドバイスを頂けると嬉しいです。

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