おっさん馬車に揺られて
続きが書けましたので投稿しました。
宜しくお願い致します。
俺達は馬車に乗せられた。一応俺達の言い分を聞き入れて貰えたのか、俺、ルーチェちゃん、アービィー君の三人が幌馬車に乗り、輩達はお金の掛かった重厚感の有る立派な馬車に載せられている。
犯罪者や犯罪奴隷を運ぶ為の、護送用の鉄格子付きの馬車になるのだがね!
「歩いてアスケレードまで行く予定だったが、馬車に乗れたので此は此でラッキーだったかな!」
「それは良かったですね。私達は朝に出発したら町に逆戻りですけど…」
「…本当にそうだよね…ふぁー…」
「何だかんだ合ったが一応予定通りか?」
「ライナーさんはアスケレードの町に何か用事でも?辺境で自然以外は特に何も無い町ですよ?」
「…お休み…」
「俺は仕事いや趣味かな?で必要な素材や物の買い出しだな!アービィー君は寝るのか?」
「お仕事ですか?ライナーさんのお仕事は何をされているのですか?この人は何時もマイペースですから!」
「…スースー…」
「うーん何て言ったら良いのかな?魔道具を造ったり、錬金術で新たな金属を創る研究をしたり、新しい薬の開発をしたりかな(人に話せるのはね)?もう寝たのか?」
「魔道具に錬金に薬師ですか?でもライナーさんは剣の腕も確かなのに、言っては悪いとは思いますけど探索者が仕事を求めて辺境に向かっているのかと思っていました。寝付きだけは良いですから!」
「…スースー…」
「俺ってそんなに切羽詰まった草臥れたおっさんに見えるのかな?」
「いえ、そう言う意味では…有りません…済みません…」
「…スースー…」
俺達はのんびりと馬車に揺られて、辺境の町アスケレードに向かっている。馬車に乗るなりアービィー君は横になり眠ってしまったが、ルーチェちゃんはおっさんの相手をしてくれている。
まあ、アービィー君は狸寝入りだろうけど!何と無く辺りを警戒している様な感じがするからな!
馬車に揺られる事約一刻(約二時間)程、俺が当初目的地にしていた辺境の町アスケレードが見えてきた。
辺境に有る町だけ有って町の防備は物々しい。大型の魔獣や魔物、更には攻城兵器に対抗出来る様、高くぶ厚く頑丈な造りで防御の為の防壁なのに、防壁からの攻撃や防壁上の戦いを想定しているのか広さも十分に取られている。
「流石に辺境だけ有って凄い防壁だな、ここまでの防壁がいるのか?」
「さあ、私は生まれも育ちもアスケレードですけど、どうなんでしょう?」
「…うーん、…もう着いたの?」
「大型の魔獣かドラゴンでも攻めて来るのか?この辺りはそんなに物騒なのか?未だもう少しかかるぞ!」
「そう言う話は聞いた事は無いですね。ドラゴンって実在するんですか?防壁が見えてきましたよ!」
「ねー、お腹空いてない?何か食べたいな」
「ドラゴンは実在するぞ!若い個体はそうでも無いが、古い個体になると人族の言葉を理解出来るから、普通に会話が出来るらしい!そう言えば、昼飯を食べて無いな!」
「ドラゴンと会話って大丈夫なのですか?食べられたりはしないのですか?そう言えばそうでした!」
「何かお肉が食べたくなって来たよ!」
「若い個体は襲って来るかもしれないが、古い個体になると人族よりも遥かに賢いから、話し合いで済めばその方がドラゴンと戦うよりは全然ましだよ!肉か良いな!」
「ドラゴンと会話なんて物語の中だけの話かと思っていました!ドラゴンと戦うのも物語の中だけで十分ですね!私は出来れば軽い物の方が良いですね!」
「ドラゴンって食べられるの?」
馬車の中でのんびりと駄弁っていると馬車が徐々に速度を落として行き、そしてゆっくりと停車した。漸くアスケレードの町に到着した様だ。
思えば長い?道のりだった。転移魔法で転移したのは良いが、座標が少しずれていた様で徒歩半日の藪の中に転移してしまっていたし、藪を抜けるとそこは街道だったのは良いが、変な争い事に捲き込まれるしで俺ってそんなに運が悪かったか?
それは確かに神様へのお祈りもしたりしなかったりだし、興味の無い事には見向きもしないし、嫌いな食べ物は食べない主義だしそんなに俺が悪いのか?俺は自分に正直に生きたいだけなんだ!!
そんな事を思ってしまった、年齢不詳で人の良い普通のおっさんの心の叫びでした。
~~~
アスケレードの町に着いたので俺達は馬車から降ろされた。
先程から見えていた防壁には大きな門が有りその門は、馬車を二台横に並べても余裕が有る程に大きく造られている。その大きな門には町に入る為の順番待ちなのか、馬車や徒歩や荷車を引いた人族達が行列を成している。
しかし、俺達は大きな門の隣に造られた、小さな門の前に停められた馬車から降りた様だ。
「アスケレードに着いたので君達の身分証の確認をさせて貰うので、身分証を出して貰おうか!」
俺達が馬車から降りたのを確認したウォレンツ君に言われたので、俺は慌てて身分証を探し出した。
「身分証?ええとどこに仕舞ったかな?ちょっと待ってくれよ!ええと確かこの辺に…」
「ライナーさん、身分証は直ぐに見せられる様にした方が良いですよ!」
「おじさんは落ち着きが無いね」
「ライナーさん、町の出入りの時には身分証の提示は必ず必要なので、首から下げるなりした方が良いぞ!」
「んん、後で何とかしよう、それよりも、ああ、有った何処かに落としたかと思って焦ったよ!」
俺はそう言いながら背嚢の中を漁り、身分証を取り出すふりをしながら予備として持って来た身分証の内容を改竄した。
この世界の身分証は、遥か昔に栄えた超古代魔法文明時代に造られた魔法技術を利用して造られていて、限られた場所でしか発行や変更は出来ないし改竄なんて以ての外な、神話級の超高位魔法技術の塊だが、俺はこの技術を人族にもたらした存在と顔見知りだから、その魔法技術も習得済みだ。但し悪用はしない様、念を押されては居るが…此の位は問題無いだろう!
流石に本名がバレるのは問題だと思ったからだ。伝説の英雄?ライナス・フェールストンと同姓同名と言って誤魔化せれば良いのだが、アービィー君の様に鋭い者も居るだろうし、同姓同名だと身内と思われるかも知れないからな!
俺は伝説の英雄とは何の関係も無い赤の他人の良いおっさん、ライナーだ!
「ライナーさん、私達は専用のケースに入れて首から下げていますよ」
「僕も」
「当然俺もだ!」
何だか俺って物凄く田舎者扱いをされて居ないか?そんな事位俺も知っているよ!ただ身分証を改竄するための時間稼ぎの為の演技だったのに!まあ、良いさ俺は心の広いおっさんだからな!此の位は笑って許すさ!
「ほい、俺の身分証!」
「はい、私のです」
「僕のだよ」
「ああ、済まない。君達の身分証を照合するので警邏隊の詰所まで来て貰おうか!」
そう言うウォレンツ君に従って俺達は防壁の門の脇に造られた、警邏隊の詰所に入って行った。
勢いと思い付きで書いております。
読んで頂いている皆様、内容の齟齬等はご都合主義と言う事でご容赦下さいませ。
感想やアドバイスを頂けると嬉しいです。




