2.机ドン♡ ~後輩からの告白~
「なんで、夏なんかに?」
「そ、可愛いでしょー♡」
いや、そんな問題じゃなくって!
私は、年下の下級生にツッコむ。
部活の後輩である、下級生は何を思ったのか、先輩の私に、真夏に白い手袋を贈ってくれたのだ。
白い、モコモコした手袋。
ペンギンが、スイカを食べている絵がプリントされている。
何処でこんなものを見つけてチョイスしたのだろう。
にこにこしている後輩に、不審げな目を向けるのを思わずしてしまった。
あれか、冷え性の私に対する嫌がらせか?
「先輩、夏でも」
「どーせ、冷え性ですよ! 歳ですよ!」
遮って、事実を言ってやる。
後輩は目を丸くしている。
「あれ? 分かっちゃいましたか?」
「……」
あざとい顔して、絶対にワザとだろう!
「だったら、聡明な先輩ならもう解っていますよね? この後に僕が言う事」
「言う事?」
私は首を傾げる。
遅くなったが、ここはクイズ研究会の部活だ。
弱小の部活ではあるが。
まるで、解けない問題を出されたかのように、頭の中は「?」だ。
「じゃあ、教えてあげます」
「いい! 考えてるから、ちょっと待って、クイズでしょ?」
私は机に向かってテスト問題を解くように、真剣に考えた。
だが、
「……降参」
机に突っ伏した。
「おバカな先輩に正解を言ってあげます」
「お・バ・カ……⁉」
私が思わず顔を上げると目の前に後輩のドアップの顔があった。
「!」
「大晦日に僕とデートするからです♡」
「は⁉」
後輩はにっこりと小悪魔の顔でサラッと続きを言う。
「そう、だからその手袋付けて来てくださいね」
ドン!
机にドンされてドアップの顔がさらに近付く。
真っ赤になって口をパクパクさせてる私に後輩は不敵に微笑んだのだった。
こうして大晦日のわたしの予定は埋まったのだった。
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