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VSペルマナ②

オケアノスの回復で火傷自体は治癒したが熱だけは防ぐことが出来ないため、俺とアモスさんの体からは汗が滝のように流れている。


「耐火、冷気付与エンチャント


2種類の付与でなんとか汗が止まる位までにはなったが体感で30度は超えてる感覚だ。


「これ以上の付与は他の付与の邪魔になって掛けられないから後は我慢だな。アモスさんもう少し防御付与上げる?」


「いや、そっちよりも攻撃の方に付与を頼む。お前あいつに決定打ないだろ?」


確かに相手は空を高速で駆け高温の熱気が奴の体を守っている。水や氷が弱点なのは確かなのだが、あれだけの熱量があると生半可なものでは逆に蒸発されてしまう。それなら魔力を上げて蒸発されないものを作ればと思ったが、あの熱気にそれだけの水量や冷気を当てれば水蒸気爆発が起きかねない。俺やアモスさんだけなら数十枚の障壁で守ることはできるが、ここは貴族の屋敷。間違いなく屋敷は吹き飛び内部の人たちは死ぬだろう。それだけで終わればまだ運がいい。最悪なのはこの辺り一帯が爆発に巻き込まれることだ。魔力探知で周辺を探ったが、離れているとはいえ貴族の屋敷らしい建物がいくつか発見でき、内部には人がいることも確認している。


「分かった。確かに俺じゃあいつを倒すほどの魔法は無いな。だけどアモスさんもあまり近づきすぎると熱気で」


「火傷ってのもなかなか気持ちいいもんなんだぜ!」


満面の笑顔で変態発言をしている爽やか青年。どうしよう萌える要素があるのに素直に萌えられない。もう考えるのはやめよう。


「分かった。筋力強化、武器強化、夏付与エンチャント


アモスさんの筋力を底上げ、イージスの盾は問題無いのでアモスさんの得物である大剣に斬撃強化と耐久強化、さらに物理・魔法を防ぐ障壁である夏の光源エスターテを展開。


「アノス行くぞ!回復は任せた!!」


「にゃにゃにゃ!!!!」


アモスさんとオケアノスが突っ込むなら俺が妨害。


「重力強化、付与エンチャント


ペルマナ本人に重力を倍加させる付与を施したいが魔法耐性が強すぎて抵抗される。ならペルマナのいる空間そのものに重力倍加の付与を施す。


「私のスピードの前には魔法なぞあってないようなものですわ!」


重力強化の付与を施した空間は次々と交わされる。広域に広げられればいいのだが今の俺が付与できる空間は精々数メートルが限界だ。それ以上になってくると座標指定にかなり時間が掛かる。


「動きは制限させるから後はなんとかしてくれ!」


「十分!!」


ペルマナを地上近くまで誘導するように高い位置に重力強化を施す。


「地上でなら俺たちの方が有利だ!!」


「舐めるな!」


地上近くまで降下してきたペルマナをアモスさんの大剣が襲う。本来ならペルマナの周囲の熱で剣自体が溶けてもおかしくないのだが、俺の付与とオケアノスの冷気で剣が熱に負けることはない。だがペルマナも機動力を活かしてアモスさんの攻撃をすれすれで躱していく。それどころか無数の炎弾をお見舞いして離脱していくためダメージはアモスさんだけに蓄積されていく。


「いい、いいな!!もっとだ、もっと俺に攻撃してこい!!!」


テンションが上がってきたのかアモスさんの発言もどんどんエスカレート。そんな状態になっても致命傷になるような攻撃はちゃんとイージスの盾で防いでるとことは流石というべきだろう。さらに幸運なことはそんなマゾな願いがイージスの防御力をどんどんあげていることだろう。さっきから盾自体が白い輝きを放ち俺の障壁で防げない炎を防御している。


「(それにしても全然大技が飛んでこないな。初っ端のアモスさんの盾を溶かした炎ならもっと効果的にダメージを与えられるはずなんだけど、回数制限とか魔力量が多いとかで使えないのか?)」


このとき俺は知らなかったのだが、どうやらペルマナの放っていた炎弾には弱体化デバフの効果が備わっていたらしい。攻撃と弱体化デバフが一緒になっている強力な技で、炎弾を耐えられてもどんどん弱体化デバフが積み重なっていつしか防御出来なくなって倒れるのがペルマナの必勝法だったらしい。しかもどんなに魔法抵抗が強くても抵抗レジストができないものらしく、普通ならとっくに負けている状況だったらしい。


「(どうなってるのよ!さっきから何発も攻撃を当ててるのに全く弱ってる気配がない。それどころか攻撃に関しては上がっていってる!!一体どうなってるのよ!!)」


ペルマナは知らなかった。強者であるアモスさんばかりに気を取られて俺が数十秒おきに強化バフを掛け直していることに。俺としては単純に強化バフが切れたからかけ直している程度の認識だったのだが、弱体化デバフで下がった能力を一瞬で元に戻しており全く弱体化していなかったらしい。どうやら俺のことを重力系を操作する攻撃魔法職だと思っていたようだ。


「(やけに強化バフの掛かりが悪いな。アモスさん魔法抵抗とか上げてるのかな?こりゃもう少し強力な強化バフでもいけるか)春、付与エンチャント


あまり強化バフを掛けすぎると体への負担が大きすぎて体への異常につながる。だから付与魔導士エンチャンターは対象がどれだけの強化バフを掛けるのが最適なのか見極める必要がある。今回は強化バフの掛かりが悪いと思い通常ならこれ以上重ね掛けしないものを付与する。4種の能力を底上げする春の息吹プリマベーラを掛けてようやくいつのもアモスさんらしい動きになった。


物質造形クリエイト、大地のアースニードル


地面を巨大な棘に変化させてペルマナを追い込むがその棘すら燃やし尽くしている。だが大地のアースニードルは囮だった。棘の死角からオケアノスの氷の棘がペルマナを襲う。魔力でしっかりとコーティングされた棘はペルマナの炎をもってしても溶けることは無かった。


「きゃあ!えぇい、鬱陶しいですわ!!」


初撃に放った紅蓮の炎がアモスさんとオケアノスを襲う。イージスの守りでも完全には防げないようで2人ともあちこちに火傷が見受けられる。だが今が好機。


拘束付与エンチャント


大技を放った後には必ず隙が生まれる。魔力で作り出された鎖がペルマナに巻き付く。


「こんなもの燃やし尽くして差し上げます」


自信に纏う炎を燃え上がらせるがこの拘束は解けない。


「な、なぜ?」


「そいつは特別でな。アモスさんに時間稼いでもらってようやく作り出した属性吸収の効果付き拘束バインドだ!お前の炎だって許容量いっぱいまで吸収するぞ」


「私の炎を吸収し尽くせると思わないで!」


「ああ、無理だろうが数秒は時間が稼げる」


その数秒がお前の命取りだ。


「物質造形、大槌!」


大剣を巨大なハンマーに変えたアモスさんがそれを振り下ろす。


「やったか?」


アモスさんがフラグ的なことを言ってしまったからだろうかハンマーの下から物凄い勢いで火柱が上がる。


「確かに強力な一撃でしたが私を倒すほどではなかったようね」


見た目には一切ダメージがないのだが、自身を包んでいた炎が明らかに弱くなっている。


「あれだけため込んでいた魔力をここまで減らされるとは思いませんでした。私少々侮っていました」


このまま消耗戦になれば俺たちが勝つ。だがこういう前口上をする輩は決まってなにか奥の手を隠しているものだ。油断はしない。


「残念ながら私に奥の手なんてものはありませんよ。このまま戦い続ければあなたたちが勝つでしょうね。特にあなた、あれだけの魔法を連発していたのに魔力が全く減っている気配がない。A級冒険者さんに引っ付いている腰巾着だとばかり思ってましたけど、あなた一体何者です?」


「コーネリアからは何も聞いてないのか?」


「先ほども言った通り、私は強い殿方を食らうことが目的。コーネリア様から力を頂きはしましたが、あなた方のことまでは聞いておりません」


ペルマナの言っていることはおそらく事実だろう。それなら俺たちをここに足止めしているのは本当に偶然なのか?


「村でアモスさんに声を掛けてきた女性もあんたの差し金なのか?」


「村の女性?何を言っているのか分かりませんが、私はあなた方を買ったにすぎません。ギルドが強い冒険者や邪魔な者たちを売ってくれるのでそれを買い取っているだけです」


そうなるとギルドで俺たちに依頼をしてきたジュリアンナという女性は関係なかったのだろうか。


「隼人考え事は後にしろ!」


ついつい考え事に夢中で意識が散漫してしまった。ペルマナは元々俺たちがいた3階にある部屋へ飛んで行ってしまった。何をするか分からなかったがとにかく後を追いかけようとしたそのとき


「「「うぁーーーーーーーーーーーー!!!」」」


叫び声が響いた。


「まさか!」


「あの部屋にいた護衛の人たちを」


あの部屋にはペルマナを守るように護衛らしき人たちが数人いたはずだ。オケアノスの八つ当たりと俺が使った鎮魂歌レクイエムで気絶してそのまま。おそらく自分の魔力を回復するために食ったのだろう。


今から行っても間に合わないことは分かっていたがアモスさんが瓦礫を足場にして3階の部屋へと飛び移っていた。


「おい、ここにいた人たちは」


「私の非常食ですから、こういう時に食べられてこそでしょ。でもやっぱり味がいまいちなのよね。冒険者のランクが高いからって味まで美味しいとは限らないのかしら」


一瞬アモスさんの魔力が膨れ上がった。あれは怒ってる。日ごろ怒らない人が怒ると怖いんだよなぁ。


「お前はここで倒す」


アモスさんの魔力の質が変わる。マゾヒズムは単にダメージを魔力や力に返還するだけのスキルではない。このスキルは変換した力や魔力を貯めておくことも出来るらしい。ただ、その魔力を使っている間だけダメージを変換できなくなる。アモスさんが本気を出すときにだけ使う裏技のようなものらしい。


「あぁ、いいですわ。その魔力、そのお顔、あなたこそ極上のディナーにふさわしい!!」


今のアモスさんなら俺の支援が無くても十分ペルマナに勝てるだろう。問題なのは余波、こんな高魔力を保持する二人が本気で戦えば被害は甚大。アモスさんの肩には変わらずオケアノスがサポートするように乗ってるので、俺は被害が広がらないように尽力しよう。


「隔離結界」


お読みいただきありがとうございます。


少しでも面白かった、続きが気になる方は高評価コメントよろしくお願いします。

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