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聖獣リヴァイアサン 前編

ヒスイのお品書き


ヒスイ「お魚がとってもいっぱい!!でもなんか物凄い大きな気配がする・・・・


本日のお品書き

・蒼喗

・海鮮料理


主と一緒にお料理楽しいの!!」

聖獣リヴァイアサンの元へはハクトが転移魔法で送ってくれる。聖獣間でなら転移は可能なのだという。ハクトから転移魔法を教えてもらおうとしたのだが、これは聖獣同士の強い魔力がないと成立しない魔法なのだということで不可能だという結論になった。


「それでは転移を開始します。皆様魔法陣から出ないでくださいね」


用意されていたのは直径2メートルほどの魔法陣。よくファンタジー小説なんかでみるような複雑な模様が描かれている。


「相変わらず魔法陣書くの上手いよな。俺魔力操作下手だから魔法陣って上手く書けないんだよな」


「こればかりは慣れとしか言えませんわね。まぁ主様の場合魔法操作が雑すぎますのよ。もう少し魔力を操る修行に力を入れていただければ効率的になる魔法がいくつあることか」


やばい久々にハクトの小言が始まってしまった。


「でも隼人って魔力操作下手なのか?あんな的確に付与魔法を使ってるし、むしろ俺からしたら物凄い繊細な魔力操作してるように見えるんだけど」


「アモス様のおっしゃる通り、主様が使っている魔法はどれもこれも魔力操作の練度が高いものばかりなんですけど、正直力業ですわよ。通常使う魔力の倍を使って無理やり発動させているのですから」


その言葉にシンラまでもがありえないという顔でこっちを見ている。仕方ないじゃないですか!俺は魔法なんてない世界からやってきて、この世界で魔法の修行をしたのだって1年ちょっとぐらいなんだから!!


「そればかりか魔力操作が雑すぎて生活魔法すら使えないのですから驚きですわよね」


その言葉で子供たちまでもが驚愕の表情を見せる。


「ハヤトさんって生活魔法使えないんですか?!え、でも使ってましたよね。料理とかにも使ってましたし」


「そうだよ!生活魔法って魔力と適正を持ってれば誰でも使える魔法なんだろ。ライトとかライターとか俺だって火の属性適正あるからライターなら使えるぞ」


ハイネが驚き、ロビンが指先に小さな炎を灯すライターの魔法を使う。


「確か隼人さんって全属性の適正持ってましたよね。なら生活魔法だって全部使えるはず」


「そうだぜ。実際一緒に臨時パーティー組んだ時だって普通に使ってたろ!」


ううう・・・みんなが当たり前に言っていることなのにどんどん肩身が狭くなってきてる。


「あれ全て付与魔法ですのよ。主様は無機物にも付与魔法ができますから、その空間にある空気に対して属性付与をして生活魔法と同じ効果をしているにすぎませんの。でも生活魔法と付与魔法では使用魔力が桁違いに違いますから、魔力の無駄遣いとしか言えませんわね」


さきほどロビンが使ったライターの消費魔力を1とするなら、俺が同じような炎を作るのに使用する付与魔法は10、つまりどんなに魔力が低くても使えるほどごく微量な魔力で使える魔法を10倍近く多い魔力で発動させている。


「信じらんねぇ。付与魔法で生活魔法の代わりをするなんて金貨で銅貨を買ってるとほぼ一緒だろ」


良い例えをするね。つまり無駄遣い!!・・・・・・ほっといてくれ!!!!


「それじゃあハヤトさんが使ってる付与魔法ってもしかして物凄い魔力消費量なんですか?」


「そこも納得できないところではあるのですけど、ロビン様のいう通り、主様と他の付与魔導士では消費魔力が桁違いに違います。ただ、付与魔法に関してだけ言えば威力を主様は抑えることも大きくすることも自由自在にできますのよ。本人曰くイメージがしやすいとのことなのですけど、それなら同じ要領で生活魔法や他の魔法もできるはずなのに、なぜか失敗しますのよね。単純に大きな魔力を流すことに慣れすぎているからごく微量の魔力を要する魔法が失敗してしまいますのよ」


俺のイメージとして魔力は電気、魔法を家電に例えると成功しやすい。魔力という電気エネルギーを家電という魔法に注ぐことで魔法が稼働する。そのイメージで電気の流す量を調整できるんだけど、付与魔法以外だと家電が電気に耐えられなくて壊れてしまう。


「もともと付与魔法は発動せさるのに魔力の蓄積上限値が大きく差がありますの、一般的に使われている生活魔法や属性魔法の上限値を10とするなら付与魔法は100ほどまで魔力の蓄積ができます。魔力操作が雑でもそこまでの差がある魔法なら発動が可能でしょうが、上限値が1の生活魔法なんかでは魔力を込めすぎて、魔法事態がオーバーヒート、失敗してしまうということですわね。ロビン様とハイネ様は後学のために覚えておく方が良いかもですが、一般的にこのようなことはまずおきませんので、例外として覚えておいてくださいませ」


いつの間にか子供たちの魔法授業になってしまっている。しかもアモスさんやシンラまで素直にハクトの話を聞いている。


「まぁ隼人は例外中の例外ってことだな」


「隼人さんって凄い魔導士だと思ってましたけど、苦手なこともあるんですね。それも膨大な魔力量の弊害でもあるみたいですからある意味羨ましい悩みでもあるんでしょうけど」


アモスさんは相変わらずガハハハッと笑っているし、シンラは羨ましそうにこっちを見てる。なんか子供たちは真剣にハクトの話を聞いているし、ハクトは子供たちに教えつつも「もっとしっかりしてくださいませ」というよな目で時々こちらを見てくる。


またも俺だけ肩身が狭くなってきているのは気のせいだろうか。


「っと、主様の魔力操作がダメダメな話はここまでにして、リヴァイアサンの元に向かいましょう」


最後の最後に魔力操作の駄目さを強調させて転移魔法陣を発動させる。でもハクトが使う魔法は本当に繊細な魔力操作で正直ここまで出来るようになるとは思わないが、もう少し魔力を上手く扱えるようにはならないとなと思う。ちなみに魔法の名門でもあるローゼン・クロイツ伯爵の魔力操作も凄まじく、ハクトも褒めていたのであの人に習うのもありだ。ハクトだと感覚的な説明が多いから・・・・


ハクトが魔法陣を発動させると転移特有の浮遊感が数秒の後目的地に到着した。


着いた場所は海底神殿、海の中なのだが空気の膜が神殿全体を覆っているため息は出来る。ただし、深海数百メートルにあるここにたどり着ける人間はまずいないとのこと。


「呼びつけておいて出迎えもなしとはなめられたものでございます」


コクロほど感情を表に出さないハクトだったがこちらから出向いているのに案内が一人もいないことに腹を立てているようだ。


「いいじゃないかそれぐらい。それより案内が来るまでこの景色を堪能するのもいいだろ」


海底神殿というだけに回りには色とりどりの魚たちが泳ぎ回り、深海数百メートルにも関わらず光が乱反射している美しい光景が広がっている。子供たちはもちろんアモスさんもシンラもこの美しい景色を楽しんでいる。


「そうはおっしゃいますが、私にも聖獣としての威厳という物があります」


「お前って変なところでプライド高いよな」


それからその場で待ってみたが誰も来なかったので仕方なく俺たちは神殿の中へ入った。昔一度だけこの神殿に招かれたことがあったからリヴァイアサンのいるところは大体知っている。というか神殿の一番奥にある祭壇にいるはず・・・・・・


「あの方が他の聖獣や人間に会う時は必ずその祭壇にいるはずなんです。マイペースな方ですから案外呼び出したことすら忘れてるんじゃないですか」


「そんなバカな」「そんな訳ないですよ」など言っているのが聞こえるがあの方ならそれぐらいありえるかもと思ってしまった。なんでこの世界で力がある人(獣)って変人が多いんだろう。ここにいるSランク冒険者も変人だし・・・・俺のことじゃないよ。


神殿の奥まで行くと案の定というか予想通り巨大な青い竜の頭だけが祭壇の上に乗った状態で眠っている。顔だけで現代の3階建ての家とほぼ同じぐらいの大きさがある。


「本当に寝てやがる」


「大きいですね。うーん、流石に勝てる気がしません」


キャッスルタートルには無謀にも手を出したのにと思うが、大きさはキャッスルタートルの方が大きいが保有している魔力量や力の大きさがまるで別物だ。それこそ大人と子供くらい違う。シンラもそれを直感で感じ取ったのか流石に手を出すことはなかった。


「シンラのやつ案外大人しいよな。これなら子守役はいらなかったか?」


「隼人さんは僕をなんだと思ってるんですか!流石に聖獣を前にして勝算もなしに突っ込んだりしませんよ」


勝算があれば突っ込むのね!やっぱりこの子には子守役が必要だわ。アモスさんにはしっかりと手綱を握ってもらわなくてわ。


「聖獣リヴァイアサン!呼びつけた本人が眠っているとはどういうことです!!」


ハクトの声が神殿に木霊する。結構な魔力がこもっているのか神殿全体が少し揺れるほどだった。それだけハクトも怒っているってことだろう。


「ん?ふぉーあ・・・・・おお、もうそんな時間かね。お主らが来るまですこーし眠るつもりだったんだけど、寝すぎてしまったかの」


大きな欠伸をして体を起こそうとするがそのままだと体が大きすぎて神殿が壊れかねない。


「動くなら小さくなってからにしてくだいませ!!あれほど神殿にいるときは寝ぼけないで下さいと申し上げているではありませんか!」


「すまんのう。今日もいい日和なもので、眠くてかなわん・・・・・・ぐ~~Zzzz」


「だから寝るなと言っているではありませんか!!」


ハクトが我慢できず物凄い巨大な火球をリヴァイアサンに向かって放ってしまった。リヴァイアサンも眠っておりよける様子はない。しかしハクトの火球はリヴァイアサンの体に焼けどの一つもつけることは出来なかった。


「ふぁ~あ・・・なにをするんじゃ。これでは焼き魚になってしまうではないか」


「そのままこんがりと丸焼きにしてコクロの胃袋に収めて差し上げましょうか!」


「それは嫌じゃのう。しょうがない」


リヴァイアサンの体が急に光出すと先ほどよりもかなり小さな姿に変わる。今は大型のトラックと同じぐらいの大きさまで縮んでおり、さっきまでは見えなかった胴体までもちゃんと祭壇の上に乗っている。


「これでいいんじゃろ。それよりお主らは何用じゃ?」


「ですから、あなたが呼びつけたのではありませんか!用がないのなら私たちは帰りますよ!!」


「おーおーそうじゃった、年をとったせいか最近忘れっぽくってのぅ」


「あなたが忘れっぽいのは元々でしょうが!!」


聖獣同士のじゃれあいを俺は愛くるしい目線で眺めているが、他のみんなはなんだか落ち着かない様子だ。


「みんなどうしたんだよ。愛くるしい動物たちの触れ合いに言葉もないってか!」


「いや、これ本気で喧嘩になったら俺たち死ぬよな」


「さっきの火球だって平然と受けてたけど鉄を簡単に溶かすほどの火力だったよ」


シンラとアモスさんは青い顔をしている。


「あれくらいいつものことだって、昔コクロが完全にキレてリヴァイアサンにガチの落雷落としてた時に比べれば優しい方だって」


本当にあの時は死ぬかと思ったよね。コクロのやつ周りガン無視で落雷落とすもんだから被害が尋常じゃなかった。


「ほら、あそこの壊れてる柱とかコクロがやったやつだよ!懐かしいなぁ」


思い出を語っているとますますみんなの顔色が悪くなっていく。なぜ?


「隼人君、すまないねぇ。またフェンリルの嬢ちゃんに怒られてしまったよ」


ようやくハクロのお説教から解放されたリヴァイアサンがゆっくりと俺に近づいてくる。


「お久しぶりですね。ご挨拶が遅れてしまってすみません。リヴァイアサン様はお代わりありませんか?」


「他人行儀じゃのう。お主には他の聖獣も含めて名前で呼ぶことを許しておるのだから気軽に呼んでほしいと言っておるじゃろ」


さすがに契約をしているハクロやコクロならいいが、他の聖獣を真名で呼ぶことはためらわれる。


「そこに関しては私も同意ですわよ。主様は私たちの主なのですから、聖獣と同等の立場と考えてよろしいですのに」


「まぁ今日は久々だし徐々に慣らしていきます。蒼喗せいぐん様も相変わらずで安心しました」


リヴァイアサンの真名は蒼喗、この名を発することができるのは同じ聖獣でるハクトたちとその主だけらしい。リヴァイアサンとはそもそもが種族名を表すものであり、俺たちに向かって人間と言っているのと変わらないと言われてしまった。まぁ元々聖獣は4体しかいないわけだから種族名で呼んでも別に区別はできるから問題ないのだそうだ。だけどやっぱり親しい者には名前で呼ばれたいらしい。


「うむうむ、そのうち言葉遣いも砕けていってくれるとうれしいのぅ。さて、今回呼んだ件じゃが」


おそらくサウスランドのことだろう。サウスランドは蒼喗様が管理されている地域、さすがに国一つを壊して何も説明が無いのはまずい。今回はその説明によばれたのだろう。


「そろそろ魚にも飽きてきてのぅ。なにか美味いものが食べたいのじゃ」


・・・・・・・・・・・・・どうしようリアクションが全く思いつかない。


「あ、あ、あなたというお人は何を無駄な用事で呼び出してくれてますのーーーーー!!」


ヤバい初めてハクトが怒りでこんなに叫ぶのを見た気がする。それぐらい非常識なことでよびだされたのだろう。


「いいではないかぁ。お主らは毎日隼人君の作った美味い料理を食べておるのだろう。前に作ってきてくれた菓子なぞ舌がとろける様な美味だったからな。ついでに食事でもしながらサウスランドのことを話そうではないか」


国一つ潰したことが食事のついでにされてしまった。相変わらずマイペースなお方だ。まぁ定食屋として食事がしたいと言われれば作らないわけにはいかない。


「でもこんなところで料理なんてできませんよね。隼人さんが持ってる野営用の調理道具じゃリヴァイアサンの食事を作るのは大変じゃないですか?」


「ふっふっふっシンラ君、この前西城の奴が俺監修の元素晴らしい魔道具の開発に成功したのだよ」


これは自信作!アイテムボックスから取り出すのは簡易キッチン!!これさえあれば外でも家と同様のキッチン設備を実現させてくれる画期的なアイテム。魔石搭載の洗い場、魔道オーブンに4口の魔道コンロ、適度な広さの作業台に魔道冷蔵庫まで完備してる超一級品だ!!


「これで野営するときですらうまい飯が食えるぞ!」


皆この素晴らしいキッチンセットに驚いて声もでないようだ。それほどこのキッチンは素晴らしい、ほぼキッチン召喚と言ってもいいくらいの設備なのでアイテムボックスが相当広くないと使えないのが難点ではあるけれど、うまい飯を食べるためならそんな些細なことなぞ気にしないだろう。


「いや、これは使えんだろ」


「なんで!!!」


「これってハヤトさんくらい大きなアイテムボックスじゃないと入らないよね。冒険者ってみんなそんな大きなアイテムボックスをもっているものなんですか?」


「ハイネ覚えておけ、隼人ほど大きなアイテムボックスを持っている奴はいない。高ランク冒険者でも宿屋の一室程度の広さがあるアイテムボックスやマジックバックを持っている程度だ」


「それじゃああんなに大きな設備なんて入らないよな。それに食料とか水とか武器とかの方が優先されると思う」


「ロビンのいう通り、僕は基本現地調達だから食料はないけど。替えの服とか予備の武器、薬とかの常備薬とテントなんかの野営道具を入れればほぼいっぱいになるね」


人間サイドから物凄い正論を言われてしまった。


「い、いいんだよ!俺なら入るんだから!!それに食材とかだって設備にある冷蔵庫に入れればいいだけだし」


今更ながら冷蔵庫はアイスなどのデザートや生地を寝かせる用にしか考えていなかった。そのため冷蔵庫もかなり小さめだし、この量だと一人ならまだしも複数人のパーティーの食材は入らない。


「凛のやつも作ってるときはテンション上がって作ったけど途中で冷静になったんじゃねーかな」


「凛さんならありえそうです。せっかく作ったものを無駄にする人じゃないと思いますから、ハヤトさん用と考えたんじゃないですかね」


確かに途中から西城のテンションが徐々に下がっていったような気がする。なんか自信満々に言った手前どんどん恥ずかしくなってきた。


「とにかくこれなら料理作れるからみんなで手分けして作るぞ」


「「俺 (僕)に料理させて無事ですむと思ってんのか (るんですか)」」


アモスさん、シンラ、ロビンの三人が口を揃える。確かにシンラやアモスさんが料理できるとは思わない、ロビンは現代で料理ぐらいしたことあると思ってたけどヤ〇ザのお家って部下が全部やってくれるから料理なんてやったことないのかも。


「仕方ない役立たずは置いといてハイネは手伝ってくれ」


「は、はい。ハヤトさんほどはできないと思いますけどお手伝い程度でしたら」


謙遜だと思うが素直に手伝ってくれる子は貴重だ。正直あまり期待はしてなかったのだが、予想以上にハイネは料理ができた。元の世界でも料理はしていたようだったので、手際はそれなりによかった。ヒスイと一緒にサラダやハンバーグを作っている。


そして俺が作るのは角煮、使う肉はオークなのでオークの角煮なのだが、今日は短時間でできる角煮を作る。大きな肉の塊を手ごろな大きさにカットして塩コショウで揉んでおく。鍋に醤油、みりん、酒、砂糖、しょうが、ネギの青い部分を入れて一度火にかける。肉の表面に焼き色を付けたらたれが入っている鍋に肉を投入。本当なら圧力鍋を使って時短するところだがそんなものはこの世界にない。しかし、魔法を使えば似たような環境を作り出すことができる。要は内部の気圧を高めて液体の沸点を高めてやればいい。鍋と同じ大きさの石を焼い上から肉たちをタレごとプレス。蓋をして密封してあとは数分放置。石には温度が下がらないように付与魔法を掛けているので常に沸騰状態を維持してくれる。もちろん石は綺麗なものを使ってるから問題なし。途中で石をどけてゆで卵と大根に似たダイキュンと呼ばれる根菜をくし切りにして投入。今度はコンロで数分煮れば完成。


蒼喗様からも海の幸をいただけたのでこちらも調理していく。メカジキに似た魚はたっぷりのバターでソテーに。アサリみたいな貝があったので、砂抜きをしたあとに中身を野菜といためてミルクを入れ味を調えてクラムチャウダーにする。マグロみたいな赤身の魚は軽く表面をあぶって醤油タレに漬けて漬けにしておく。こっちでは生魚を食べる習慣がないのであぶったが本当ならそのまま生で漬け丼とかにしたかった。もちろん微生物とかのことを考えて切り身のにはしっかりと浄化の付与を掛けているので問題ない。あぶった赤身は半分を漬けにもう半分はフライにしていく。表面を軽くあぶっているので衣が綺麗な色になったらさっと上げれば完成。半分に切るとレア状態の綺麗な赤い断面がとても美しかった。


「これぐらいあればいいだろ。定食にはしないけど好きなものを食べてもらえればいいしな」


各料理を大皿に乗せて蒼喗様のところに運ぶ。いつの間にか岩でできた椅子やテーブルがあり、全員まだかと言わんばかりにキラキラした目でこちらを見ている。


「お待ちどうさま。俺からはとろっとろのオークの角煮、白身魚のバターソテー、ミルクたっぷりのクラムチャウダー、炙り漬けとフライ。ハイネには海藻を使ったサラダにブラッドグリーズのハンバーグを作ってもらったぞ」


ブラッドグリーズはその名の通りクマ。その肉は癖が強く食には不向きとされているが、実はクマ肉はひき肉にしてある程度熟成させると癖がだいぶ緩和されてうまみが強くなっていく。今回はいい熟成具合のクマひき肉があったのでハイネにハンバーグを作ってもらった。もちろん香辛料である程度臭いを抑えている。蒼喗様からもらった海藻とレタスを一緒に盛り付けてヒスイが黙々と擦ってくれたゴマにマヨネーズと醤油、砂糖、お酢を混ぜ合わせたシンプルなドレッシングだが、これが海藻サラダに合う。


だが俺の素晴らしい説明も虚しく、出した瞬間に手を付け始めている男衆(一部例外あり)


「うま!!この肉最高!!!!」


「この魚をタレに漬けたやつご飯がとっても進みます。ご飯おかわりください!!」


「クマ肉ってこんな美味いんだな!ちょっと癖はあるけど俺は結構好きな味」


人の方は豪快に食べているのに対して聖獣の2匹はなんとも優雅に食べている。それなのに減っていくスピードが同じなのはなぜだ!


「この乳のスープもいいのうぉ。貝が入るだけでこんなにもうま味がでるのか」


「海の草もさっぱりしていてゴマのタレと合いますわね。お肉やお魚でこってりした油をサッと洗い流してくれるようですわ」


そしてなぜ皆々食レポを始めてしまうのか。一番納得いかないのは料理が足りないと追加を要求してくること。おかげで俺もハイネも料理が食えない。ちゃっかりヒスイはハクトの横でオーク角煮を満足そうに食べていた。



お読みいただきありがとうございます。


少しでも面白かった、続きが気になる方は高評価コメントよろしくお願いします。

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