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準備体操

本日のお品書き

・チート主人公

・愛らしい従魔

家に戻ってきてさっそくアリスたちを助ける準備をする。

といってもやることは至極簡単、なまり切った体を鍛え直すことだ。実はここ数か月まともに戦闘を行っていない。魔物との戦闘はコクロやハクトが全て受け持ってくれているため、俺は寝て、料理や家の家事をこなし、庭の畑の世話をしての繰り返しだった。

ゲームなんかでは一度上がったステータスが戦闘をしないからって下がることはないのだが、普通に考えれば筋肉は衰えるし、体力だって低価する。


改めて自分を鑑定してみたがやはり全盛期のステータスより2割ほど下がっている。


「だけど、やっぱり改めてみてもチートステータスだよなぁ」


改めて確認した俺のステータスはこんな感じ。


中条隼人 (25歳)


体力 1500

魔力 7000

力 1500

頑丈 2000

精神 3000

器用 5000

素早さ 4500

運 80


スキル

身体能力強化・ワールドマップ・アイテムボックス・鑑定・魔力感知・隠蔽・結界魔法・付与魔法・神の加護・契約


※神の加護

全武器適正・全魔法属性適正・全状態異常耐性・膨大魔力・体力自動回復・魔力自動回復・言語理解


固有スキル

ネットショッピング&検索(食料・美容関係のみ)


称号

異世界転移者

萌の伝道師

聖獣との契約者

封印されし者


もちろん結界魔法や付与魔法はこの世界に来てから覚えたスキルだが、元々の神の加護が強すぎる。スキルに載ってないが、全魔法属性適正があるためどんな属性の魔法も使えるし、武器だって初めて持ってみるものでもある程度使いこなせるし、ダメージ受けてもすぐ回復するし、状態異常にならないし。これをチートと言わずなんと言う。この前来たジンさんやウォーレンさんのステータスでもCランク冒険者、彼らを基準にすれば自分のステータスがどれだけぶっとんでるかが分かる。


しかも俺が主に戦闘で使う“付与魔法”、これがまたとんでもない魔法だった。


付与魔法

対象に能力を上乗せ、または減退させる魔法。能力を打ち消すものや解体させることもできる。


説明はこれだけなのだが、対象に「生き物」とないのがこの魔法のすごいところだ。つまり無機物や植物、果はこの場に漂う空気まで、どんなものでもこの魔法は対象だ。武器や防具に魔法を付与できるのだがから、鍛冶屋を使わなくても手軽に強化可能。しかも武器や防具の材料になる魔物の素材を付与することもできる。もっと言えば魔物の解体にも使え、素材・食材・その他(捨てる部分)に分解することもできた。さらにさらに、空気に炎の属性を付与すれば炎魔法の真似事までできてしまう。支援だけでなく攻撃や日常生活にまで使える万能魔法と化してしまった。

しかし、付与魔法もデメリットは存在している。それはその他の魔法より使用する魔力が多い点だ。一般人の魔力量なら支援魔法を2,3回使用するだけで魔力が尽きてしまうのだが、膨大魔力と魔力自動回復で全くデメリットにならない。


「さて、いつ呼ばれても動けるように準備体操だ。コクロ~!」


「なんだ?」


「ちょっと運動に付き合ってもらっていいか?ちょっとは体動かさないとと思って」


「構わんぜ。それより久々に体動かして俺に勝てんのか?」


「どうだろうなぁ。さっきステータス確認したら2割ぐらい下がってたし、日ごろから動いてるお前らとじゃ相手にならないかもなぁ」


ニコニコしながら言っているがこれからやるのは準備運動という名の模擬戦だ。フェンリル相手に普通の人間なら瞬殺されるのだが、なにせ俺チートスキル持ちなので。


家の裏に結界を張り、内部の広さを4倍ほど大きくする。これでサッカーコート2つ分ぐらいの大きさは確保できた。


「さぁ始めようか」


アイテムボックスから俺の得物を取り出す。取り出したのは170センチほどの黒い鉄棍。もちろんただの棍ではない。付与魔法で様々な金属を合成し強化してある。確か調子にのってミスリルとかアダマンタイトとかヒヒイロカネとか伝説の鉱物を混ぜたように記憶してるが、合成した金属が1万を超えたあたりから数えるのをやめた。


昆をクルリと回すと筋力が落ちる前に調整していたこともあり、少し重さを感じる。


まぁすぐに慣れるだろ。


コクロも本来の大きな狼の姿に代わり戦闘態勢に入っている。ちなみにコクロのステータスはこんな感じ。


フェンリル(コクロ)


体力 5000

魔力 1000

力 4500

頑丈 3000

精神 1500

器用 600

素早さ 8000

運 50


スキル

風魔法・雷魔法・気配察知・威圧・獣王の加護・神速・縮小化


※獣王の加護

身体能力向上・神聖属性適正・眷属支配・状態異常耐性・体力自動回復・狂暴化


称号

四天聖獣


相変わらずこちらもステータスが化け物。いや本物の化け物なんだけどね。種族が違うのだからステータスが違うのは当然。だが、それで勝負に負けるわけではない。


「それじゃあ最初は軽く打ち合いから」


始めようかと言葉をかけようとした瞬間30メートルほどあった距離を一瞬で縮め、前足を振り上げているコクロの姿があった。


「っちょ!!!」


間一髪で棍で受け止めるが簡単に吹き飛ばされる。空中で耐性を整えて着地するが、コクロの攻撃は止まらない。目で追うことすら困難なスピードで縦横無尽に移動して俺を翻弄する。


最初は軽く魔法や武器での打ち合いから始めようと思ってたのだが甘かった。野生を生き抜くコクロたちが模擬戦とはいえ、敵(俺)を前にして手加減なんてするわけがない。


考えが甘かったことはすぐに切り替える。ステータスで負けているなら底上げするだけ。


攻撃力上昇

防御力上昇

魔法抵抗上昇

素早さ上昇


“春の息吹プリマヴェーラ”という4種の強化魔法バフをかける。魔法名は叫ばないよ。恥ずかしいもん。


ちなみに魔法発動に必要なのは詠唱でも魔法名でもない。必要なのはイメージと才能。その魔法をどれだけ正確にイメージして魔力を流すのかということ。詠唱や魔法名を唱えることはその補助的役割だ。この世界では詠唱も魔法名を唱えるのもごくごく一般的なのだが、日本で厨二病を患っていたころを思い出すとどうしても気恥ずかしい。よほどのことが無い限りは唱えないよ。

あとはどんなに努力しても適正がなければ魔法は使えない。こればかりは生まれたときからの才能ということだ。もちろん潜在能力は眠っているため努力して開花する場合もある。大体の場合5.6歳で開花してその道に進む。だからこそこの前ジークさんやウォーレンさんに魔法適正(加護)を付けたときは大喜びした。だってとっくに使えないと思っていた諦めていた魔法を使うことができることが判明したのだから。


もちろんこんなことを考えていたらコクロからの猛攻撃を受ける。巨体からの体当たりや爪での攻撃、かみつきなどやってくることは狼みたいなものなのだがパワーが違いすぎる。だが、伝説級の武器と強化魔法で対抗する。

だけど、どんなに強化魔法で強化しても限界はある。今も速さはとてもじゃないが追いつけない。ならさらに工夫をするだけだ。


地を蹴る直後に踵あたりの空気に爆発を付与する。もちろん高火力のものではなく、小規模のもので爆風を利用して推進力を得るためである。イメージはロケット。爆風でダッシュして次に足が地に着く寸前でもう一度足裏の空気に爆発を付与して爆発させる。これを繰り返すことでコクロと同等のスピードを得る。


スピードが同等になればあとは死角から攻撃すればいいだけだ。巨体だからこそ死角は生まれる。卑怯ではないよ、これは戦略なのさ。


横薙ぎでコクロを追い込むと急速に加速して背後に回り込む。


貰った!!

あっ!これフラグだった。


フラグは回収されるもの。コクロは俺が死角から攻撃することを読んで、体を回転させる。当然飛んでくるのは尻尾。いつもはモフモフなのだが、今は強靭な鞭のような凶器だ。


防御が間に合わないと思った瞬間腕輪がにゅるりと動き出し、俺を守るように包み込んだ。目を開けると緑色の空間が広がっている。


「ヒスイ、ありがとう」


その言葉で俺を包んでいたものが元の姿に戻る。


その正体は翡翠色をしたスライム。饅頭のような形に戻りプルプルと震えている。


「まったく、せっかく主を叩き潰せると思ったのに邪魔しやがって」


ずいぶん物騒なことを言いながらコクロがゆっくりと近づいてくる。ヒスイは触手を手のように振るいコクロの足元をペシペシペシと叩いている。スライムなので言葉を発する機関がないためヒスイは体全体で会話をする。


「主をいじめるなって、最後の方なんて俺の方がボコボコ殴られてただろうが」


コクロは聖獣ということもありヒスイがなにを言っているか分かるようだ。どうやら俺がコクロにいじめられていると思って怒ってくれてるみたい。


「大丈夫だよ。コクロとはちょっと遊んでただけだから、いじめられてなんかないよ」


そうなの?と触手が止まり俺をじっと見つめると、よかったと言わんばかりに俺にすり寄ってくる。


可愛い奴め!!!


ヒスイは俺の使役している魔物だ。コクロやハクトと違いしっかりと主従の契約を交わしている。どちらの契約もあまり変わりはないのだが、最も違う点を言えば俺はヒスイの行動を強制できる点だ。


いや、そんなことしないよ。だってこんな可愛い子に対してひどいことするわけない。


今も俺の足元でプルプルとすり寄って愛情表現をしてくれている可愛いスライムにうっとりする。


「白けちまったな。もういい時間だしおやつにしようぜ主」


ヒスイをなでなでしていて気づかなかったがコクロとの模擬戦は1時間ほどやっていたようだ。時間もいいし、おやつにしよう。


「ヒスイもおいで、美味しいもの食べよ」


ヒスイはプルプルと震えてさっそく家に向かってぴょんぴょんと跳ねる。


こんな可愛いヒスイちゃん、実はグラトニースライムという特殊個体の最凶スライムだ。どんなものでも捕食し、その体を大きくして町や国を一匹で壊滅したこともある種らしい。災害級の魔物であり、討伐ランクは最上位。




ここ(魔の森)に住み始めたころ、庭に迷い込んできた翡翠色のスライムに餌をあげたのがきっかけで懐かれた。言葉を発することはできなかったが、こちらが言っていることは理解できるようで「明日もおいで」というと毎日決まった時間にやってきた。そんな日が続いているといつの間にかスライムが俺の従魔になっているとハクトが教えてくれた。俺からなにかしたわけではないのだが、スライムが俺を主だと認めたからだとハクトは言っていた。


「グラトニースライムはスライム種の中でも欲望に忠実で、知性も低いものと思ってましたが、この子はかなり賢い個体のようです」


話を聞くと、つい最近産まれたばかりの子だったようだ。俺の作るご飯を食べてあったかい気持ちになると言っているとハクトが教えてくれた。


「餌付けしたってこと?」


「いえ、おそらく主様の食事が原因でしょう。異世界の食事をとったことで何かしら変化があったものと考えられます」


よく分からなかったがこれからしっかり教育していけば問題ないとハクトは言っていた。



それから一緒にいるのだが、こんな可愛いヒスイちゃん、コクロやハクト並に化け物になってしまった。



ヒスイ(グラトニースライム)


体力 10000

魔力 1500

力 800

頑丈 8000

精神 8000

器用 1600

素早さ 500

運 80


スキル

異常状態無効・悪食・擬態・水魔法・巨大化・再生


スライムという特性上打撃も斬撃もほぼ無効。弱点である火も水魔法で対抗できる。他の弱点といえば体のどこかにある核を破壊することらしいのだが、上位種になればなるほどスライムの核は小さく見えにくいとのこと。ヒスイに至っては肉眼ではとらえられない。あとは再生を上回るほどの攻撃で倒しきるしかない。まさに鉄壁の防御を誇る。普段は俺から離れたくないようで装飾品に擬態している。人目があるから町に連れていけないと言ったら相当ショックを受けて、擬態して大人しくしてるから連れて行ってほしいと必死に訴えてきた。愛い奴め!!




それから俺の防御担当になって常に俺を守護しているらしい。ただ、能力を抜きにしてもヒスイは超かわいいよ。


ヒスイはもちろん!!とでも言いたいように触手を腰?に充てて胸?を張っている。

お読みいただきありがとうございます。


少しでも面白かった、続きが気になる方は高評価コメントよろしくお願いします。

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