お悩み相談定食屋「紅の家」
初めまして、白桜と申します。
腐男子とオネエの異世界ほのぼのファンタジー。ぜひお楽しみいただければと思います。
誤字や文章がおかしい部分など拙い部分も多いかと思いますが、温かい目で読んでいただければ幸いです。
危険な魔物が生息し、濃度の高い魔力が漂う特級危険地域“魔の森”。
この世界を納める王都「ユーディリア」から遥か北方に位置する広大な森はいまだに未知の領域として人々に認知されていた。さかのぼること数年前まではその位置には小さな村があるだけのなんの変哲もない場所だったのだが、ある日突然広大な森が広がり、膨大な魔力と強大な魔物が現れた。
王都でもこの異常事態にすぐに調査隊を向かわせ調べたが、あまりにも広すぎる森、その地域では見ることがない強い魔物、見たこともない生態系に調査は全く進まず。遂にその森を立ち入り禁止、特級危険地域と認定して人々を近づかせぬようにした。
しかし、この森には奇妙な噂がある。それは、どんな悩みも解決してくれる賢人が住んでいるという。しかもその賢人はこの世の物とは思えぬ美味な食事を提供し、客人の相談にのってくれるのだと。
ただし悪しき者が訪れぬように、客人として迎え入れるには条件がある。それは「真なる絆で繋がった同性2名以上で訪問すること」「その者たちの力のみで主人の元までたどり着くこと」
どこから流れたか分からない噂だったが、実際悩みを解決してもらった者は多くいる。あるものは強さを求め、あるものは未知の発明のアイディアを授かり、あるものは飢饉に苦しむ村を救ってもらった。
しかし、その誰しも賢人の名や正確な居場所を口にはせず、先の条件と一緒にこう説明する。
「魔の森にある紅の家を探し、主人に会え」
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魔の森にひっそり佇む和風建築の家。2階建ての建物の隣には立派な紅の木が聳え、そのすぐ隣に小さな菜園が広がっている。そこに一人の青年が麦わら帽子に手ぬぐい、作務衣という恰好で作業をしている。黒髪に黒い瞳、背は170前後、額の汗が光なんとも爽やか好青年な印象だった。
「今日もいい天気だな。ハクトとコクロもお手伝いありがとな」
そんな青年の足元には白と黒の子犬が器用に地面からジャガイモを掘り起こし、どういたしましてと言わんばかりに尻尾を振り「わん!」と鳴く。
その愛くるしい2匹に癒されながら作業を進めると、こちらに近づく人の気配を感じ青年はその方向をじっと見る。
「どちら様かは存じませんが、ここが紅の家ですよ。もし家に御用ということでしたら姿を見せていただけませんか」
その言葉から少しして2人の武装をした男性が現れた。2人とも20代半ばぐらいで、それぞれ剣と槍を持っている。
「失礼、こちらが紅の家ということだが我々はここの主人。賢人様にお会いするためにやってきた。賢人様はご在宅だろうか」
「ようこそ紅の家へ、遠路はるばるお疲れ様でした。あなた方を客人としてお迎えするかは条件次第となりますが、そちらはご存じでしょうか」
「無論。ここには我ら2人だけでたどり着いた」
「では失礼ながら確認をさせていただきます。ハクト、コクロ」
名を呼ばれた2匹の子犬は大きく息を吸い「ワォーーーン!」と遠吠えをする。2匹は少ししてから首を横に振り「近くに誰もいないよ」というように青年に伝える。
「ありがとう。どうやら隠れている方などはいないようですね。ご不快な思いをさせて申し訳ありません。どうも最近条件を無視してくる方々がいらっしゃるもので。この子たちが警戒しないのであれば問題はありません。改めまして、私はこの紅の家主、中条隼人と申します」
お読みいただき、ありがとうございます。
少しでも面白い、今後が気になると思った方は高評価よろしくお願いします。
作者のやる気にも繋がりますのでwwww