プロローグ
何処か怪しげな光があちこちから見える森の中に金髪碧眼の賢そうな青年は居た。
賢そうな青年は精霊である俺に頭を下げていた。
「お願いです…。僕と契約してくれませんか?」
この世界で精霊と言えば契約という言葉がすぐに出てくる。ただし、精霊の力は強く、上位の精霊となると、世界の地形を一瞬で変えるぐらいは造作もない。それこそ、自我のある上位精霊なら尚更、だからこそ精霊は契約する相手を選ぶ。
「お前は…俺と契約して何がしたいんだ。世界征服か?それとも、冒険者にでもなって、一山でも当てるつもりか?」
俺は賢そうな金髪の青年に何がしたいのか聞いた。
その俺の問いに対して金髪の青年は面白い解答をした。
「僕は………」
青年の回答は、特に俺好み面白いモノだった。
「面白い!契約してやる。俺は精霊王グリフィールだ。お前の名前は?」
「マナハ」
「そーか…。良い名前だ。これからよろしく……マナハ」
この物語は精霊王グリフィールと世直しマナハの話である。
♢
風が強く吹いている。
寂しい荒野に俺達は来ていた。
俺はマナハに今回の目的地を聞いていない。
「マナハ…次の目的地は何処にするんだ?」
マナハは碧眼の目を俺に向けた。
マナハの碧眼は俺との契約で精霊眼と呼ばれる特殊な目になっている。目の特徴は、物の状態が分かる能力だ。中々に使い勝手が良い目だ。
俺の問いに対してマナハは堂々と答えた。
「ラシティア大陸南のラシュール荒野です」
にしても最果ての荒野か…。
通りでさっきから人の姿が無い訳だ。
ここで何を、マナハはしたいのか気になるな。
まぁ、それは後で良いか。
俺はマナハの前でピカピカと浮いた状態で言う。
「そーか。今回も楽しい旅になるといいな…」
マナハはそんな俺を見て楽しそうに言う。
「はい!」
今回も楽しい旅になりそうだ。
マナハと契約して正解だった。
「マナハ。お前の夢まで遥かに遠いな…」
マナハは何処か可笑しそうに笑っていた。
「いいんですよ。世直し出来るのはあなたのお陰です。ありがとうございます。グリフィールさん」
俺はそんな事を面と向かって言われて少し照れ臭かった…。
精霊王を照らさせるなんてやっぱり、マナハは面白い奴だな。
そう言えば前回の旅の目的地はラシティア大陸で一番東側にあるニロン山だったなぁ。
「マナハよ、ニロン山の地形は破壊痕は、何処か痛ましかったな…」
マナハは悲しそうに目を伏せてから、空中に浮いてる俺を見た。
「はい…。世界は先の大戦で、どこもかしこも壊れてしまいましたからね…」
そう、ラシティア大陸は少し前に勇者と魔王の壮絶な戦いがあって各地が戦場になってしまったのだ。
ただの人族と魔族の戦争だったならまだ良かったのだが…。
女神様に愛されし勇者と魔族の人族への怨みが具現化した魔王との戦いだったから、それはもう各地の被害は悲惨であった。
魔族も人族も共に大きなダメージ負い、人族は勇者を失い、魔族は王を失った。
そんな惨たらしい戦場を繰り広げられたラシティア大陸は龍脈に大きなダメージを与えて終戦を迎えた。
それが原因でマナハの故郷は…。
俺は世界の痛ましさに嘆くマナハを見ていた。
「前回のニロン山への旅はお前にどんなモノを残してくれたんだ?」
マナハは何処か吹っ切れた顔をして俺を見ていた。
「僕にこの旅の目的を再確認させてくれました。だから今回も夢の為に頑張らないといけません」
マナハの決意は凄いな。そうだな、俺もコイツを最大限にサポートしなければならないな。
「今回も、俺らで荒野に希望を与えるとするか」
「はい!」
旅は道連れ世は情け。
マナハ、俺はお前に出会えて最高に嬉しいぜ。
これからもよろしくな!
作者は、こういう感じの物語が地味に好きです。プロローグ見ていただきありがとうございました。
更新頻度は遅いし満足いく文字数は書けないと思いますがよろしくお願いします。